NHKで再放送された「太宰治短編小説集 駈込み訴え」を見ました。
太宰治の小説をドラマやアニメなど様々な方法を使って表現した番組で、
本放送の時は知らなかったのですが、
今回たまたま再放送してるのを初めて見ました。
「駈込み訴え」を演出してるのは映画「ゆれる」「ディア・ドクター」などを
手がけた西川美和さん。
あの登場人物たちを日本の現代のボランティア活動をする女子高生に置き換えてます。
下手をすれば一気に俗っぽい感じになってしまいそうなこの置き換えですが、
人の内面を深くえぐり取るような映画を撮ってこられた西川さんらしく、
思春期の少女の、あっという間に極端から極端へ振れてしまいそうな
美しさと危うさが常に漂っていて、
そこにさらに香川照之さんの淡々とした、でもいつ爆発してもおかしくなさそうな
朗読が重ねられていて、約30分、ずっと目を離せないような
緊張感のある、惹きつけられる作品になっていました。
以前小説を読んだ時は、一気に最初から最後まで熱にうかされるような
流れの勢いのある作品だと感じたのですが、
今回のドラマ(?)では静かな作りになっていたのが面白いなと感じました。
その静かな見た目の下に複雑な感情がうねっている訳ですが。
こういう実験的な作品もオンデマンドに加えて
いつも見られるようになればいいのになあ。
そういえば星新一の作品を同じようにドラマとかアニメにしたのも
あったような。あれとかどうなってるのかな。