アバンチュリエ 第5巻

森田崇さん(原作 モーリス・ルブラン)の「アバンチュリエ」(講談社)第5巻を読みました。

(第4巻の感想はこちら

 

講談社版としてはいったんここで最終巻となりますが、

月刊ヒーローズ(小学館クリエイティブ)で連載は続きます。よかった!

ネタバレにもなるかと思いますので以下続きからどうぞ。

 

 

4巻から続く「金髪婦人」のエピソードの結末まで描かれるこの第5巻は

コメディタッチの描写も多かった第4巻から雰囲気は変わり、

ハーロック・ショームズがルパンを追いつめていく緊迫感、

どんでん返しに次ぐどんでん返し、

一連の事件に隠されていた秘密、それがもたらすラストのしんみりとした味わい、

とまさに「冒険譚」の王道のフルコースを味わわせてもらいました。面白かった!

 

どちらか一方ではなく、ルパンにもショームズにも見せ場、活躍どころを与えつつ、

どうケリをつけるのかなと思っていたら、

お互いの思いやり、器の大きさを感じさせる決着になっていて

上手いなあと思うとともに、考えるの苦労しただろうなあとも思いました(笑)

 

それと同時に、この「お互い以外の誰かの為」という落とし所が無くなった時、

二人が自分の為にぶつかりあった時、その結果がどうなるのか気になりました。

巻末の森田先生の解説によれば、この後も対決はあるらしいので、

漫画でその様子が見れる日が楽しみです。

 

デタンジュ嬢に幸福を味わってもらいたかったという

ルパンの動機とそのためのやり方は、彼の人情家な部分、ロマンチストな部分が

出ていたなと思います。

 

ただ怪盗である彼の欲望と絡めてそれを行ってしまったことで

殺人という悲劇が起こってしまい、

助けたいはずのデタンジュ嬢を追いつめてしまったという結果になり、

ルパンを完全無欠のヒーローではなく、

盗みを行い悪事を行う事はその報いを受けるのだというストーリーになっているのが

面白い匙加減だなと感じました。

 

デタンジュ嬢の良心にさいなまれて苦悩する所も、

その一方で、愛情から(おそらく自分の体のことからも)

病的なほど一途で大胆になる、危うい美しさも、表情がどれもすごく良かったです。

金髪婦人の華々しい美しさ、デタンジュ嬢の幸薄そうな感じ、

それぞれの髪型や衣装のデザインも、まさにこれ、という感じで良かったです。

 

あとルパンもショームズも本人達は大真面目なんですが、

自分の方が相手を上回った!と確信して

テンション上がってベラベラ喋ってたら相手が!というのが多くて

すごく!分かりやすい!(笑)

 

ルパンの方は特に読んでて「おいおい大丈夫か」というくらいの

自分の持ち上げっぷりで行く末がちょっと心配になりました。

 

「おいおい大丈夫か」と言えばガニマール警部もなかなか。

入れ込みすぎやろ…(笑)

駄目な男に引っかかった彼女か、駄目な息子を持ったお母さんかってくらいでした。

縁が切れないパターンだわ。そこがいい所でもあるんですが。

 

一番最後に入っているエピソードも良かったです。

漫画版を読んであらためて「ルパンって弱点や欠点も結構あったんだなあ」と

気付かされたのですが、

盗みではあるものの、「若い時の大きな失敗」という、

ある種誰にでもあるエピソードが入った事でさらに親しみを感じました。

 

今後も連載が続くという事で、単行本を楽しみに待ちたいと思いますが、

読者としては今までの単行本とサイズをそろえてくれると嬉しいなあ、とか。