岡本健太郎さんの「山賊ダイアリー」(講談社)第3巻を読みました。
第1、2巻の感想はこちら。
第3巻でも引き続き漫画家兼猟師としての生活を描かれています。
さんざん他の所でも言われてるとは思いますが、基本はユーモラスに、
しかし命を奪う猟という行為をちゃんと、しかし深刻になりすぎずに描いている
岡本先生のバランス感覚が素晴らしいです。
第3巻でいうとアキ君にお願いしたシカの所、こちらを見つめるカラス、など
瞬間的に「クッ」とおもりを引っかけられたような感触になります。
一方で際立つコメディ描写。今回は特に笑ったような気がします。
講習の休憩室で「らしい」「らしい」で盛り上がる猟未経験者の皆さんが
実にほほえましい(笑)
みんないい歳なのがかえっていいよね。
御歳84歳に教わるヒートテックの所も好きです。
あとヌートリアの件で開き直るアキ君とか。
ヌートリアの話は
予想外な可愛いしぐさにドキーン(ときめき)→
「そういうことはやめろ 情が移るだろう…?」(逡巡しかし基本やる気)→
「ナイフを取って来る…」(即行動)
の歪み無さっぷりもスゴイすよねえ…(笑)
第3巻ではシカの解体からブルーギルのフライ、柿の塩漬け、
スッポン解体まで多岐にわたりサラっとやってしまう岡本先生の知識と技術が
相変わらずスゴイ。(サラッじゃないのかもしれんけど)
前の感想でも書きましたが、共感できる感覚を描きつつ、
ナチュラルに自然にあるものでなんとかしてしまう
スキルのギャップが面白いです。
ちょっと知りたかった燻製作りが詳しく描かれてたのは個人的に嬉しかったです。
鶏ハムくらいなら作った事あるんですがさすがに燻製は手間が多いのね…
余談:
シカの解体の際に、人によって水に沈めたり、
解体の順序などが違うという話がありましたが、
こないだ読んだ雑誌の土井善治先生の話によると、
魚の神経だかを抜いて死後硬直を避ける方法が編み出されてから
日本のお刺身は格段に美味しくなったのだそうです。
人の「美味しく食べたい」という欲求と探究心て凄いなと思ったのを
そのエピソード読んでて思い出しました。