さわやかサバイバー

好きな作品の感想を書いています。カテゴリー一覧は50音順で並んでいます。

少年ハリウッド 第14話メモ

少年ハリウッドの感想メモです。

第1期(第1話~第13話)視聴済み。

小説版の内容に触れることもあります。ご了承ください。

 

 

第14話「永遠のど真ん中」

 

おかえり待ってた愛してる!

 

季節は第13話からおよそ半年後の夏休み直前。

いつも満員とはいかないものの、

ハリウッド東京にも一定数のお客さんが入る状況になっているようです。

ステージに立つ新生少年ハリウッドの姿を見たとたん黄色い悲鳴を上げる自分は

第1期の13話で作り上げられた、ただのファンでした(笑)

第1話の時、輝くものを内に秘めていながらも普通の少年だった彼らと、視聴者だった私、

その双方をアイドルとファンという互いが互いを作り上げる存在として意識を作り変えてしまった

この作品が第2期で何をもたらすのか、楽しみに追いかけていきたいと思います。

 

 

話数的にも内容的にも、第2期に入っての第1話であり、

また、そこに至るまでの13話を経ての第14話という回でした。

様々な場面、様々な台詞が第1話のリフレインとして出て来て、

しかしそこに見られる変化は13話分の彼らの成長を感じさせてくれるものでした。

 

第1話、自宅に「用意されている」オレンジジュース(ファンの思いの比喩)を

自身を表すような「空のコップ」に注いでいたカケルは、

今回、ハリウッド東京へ向かう「道の途中」、「自分で買った」オレンジジュースを飲んでいる。

自分で決めた道を歩き始めたカケルは

第1話で用意されてきたこれまでの人生とその先について

ぼんやりとした疑問を抱いていた時とは異なり、

同じように飛行機雲を見上げる顔も明るくしっかりとしたものとなっています。

 

第1話と同じようにキラやシュンが掃除をしている劇場は

ロビーにグッズや展示物なども増え、常にお客を入れている状況だということが分かる。

 

ステージへ向かう前、円陣を組んで気合いを入れるメンバーが口にするのは

第1話でシャチョウから言われた言葉や自己紹介台詞が元になっている。

あの時、受け入れたが、まだ理解していなかった彼らは(第10話EDイメージボードより)

今、それを自分のものとしている。

ここでドキッとしたのはマッキーが「夢とキラキラさえあれば生きていける」と言ったこと。

これはBDのブックレットでシャチョウが座右の銘として語った言葉であり、

小説版にも出てくる言葉です。

仏恥義理魂は入っていたけど、他の皆にならうなら、

俺たちがここにいることを叫び続けていこうぜ的な言葉でもよかったのではないかと。

マッキーはリーダーだし、順番的に円陣の締めなので、

こういう象徴的な言葉を言う役割になったとも考えられるのですが、

ブックレットの橋口いくよさんのインタビューでは初代のキャラクターを作った時に

既に新生のことも考えられていたらしいことも書かれていたので、

ハリウッド東京に受け継がれているとも言える言葉をマッキーが言うことが

彼の未来を暗示しているのではないかと勘繰ったりしてしまうのです。

今のところマッキーはシャチョウとは全然タイプが違うんですけどね。

 

 

「これまで」の彼らの成長を描写しつつ、

「これから」彼らが直面するものも同時に描かれていました。

マッキーが風邪をひき、一時休んだことにより出てきたセンター争いや人気の偏りの話。

伸び悩む観客数、浸透しない知名度の話。

第1期でアイドルとして生まれた彼らが、第2期ではアイドルとしてどう成長するのか、

生々しい所にも躊躇なく踏み込みながら描かれていくのだろうということが示されていました。

 

トミーがセンター争いの話になった時「そういうのは好きじゃない」と言ったのが意外でした。

トミーは昔から初代少年ハリウッドが大好きで、アイドルのことも詳しくて、

第1期ではアイドルには必ず終わりがあることを受け入れていました。

そんなトミーなら既にそのあたりの覚悟もできているものだと勝手に思っていたのですが

どうやら違ったようです。知っているのと受け入れられるのとは違うということかな。

勘ぐりすぎかもしれませんが、子役時代の浮き沈みを経験して来て、

センター争いにも積極的な姿勢を見せたキラが別場面で言う「海苔食べる?」という申し出を

トミーが断っているのも気になりました。

ここ、シュンとカケルはキラの海苔を受け取っているんですよね。

少年ハリウッドはメンバーのアイドルとしての活動に対するスタンスがそれぞれで異なり、

それゆえにぶつかったりすることもあることを、きちんと描いている作品なので

このあたりもこともいずれもっと大きく描かれるんでしょうね。

しかしすぐシャチョウに指摘されたように、好きじゃなかろうが避けては通れない問題。

少年ハリウッドであるということを、とても大切に思っていて

いつも人を和ませ、しかしそれゆえに対立を苦手としている描写があったトミーが

この問題をどう乗り越えていくのか気になります。

メンバー全員に対して親身になっちゃっているから、

できるだけ心を痛めず乗り越えていってほしいと、もう心配してしまうわ。

ただトミーに関してはネガティブなことも含め言いたいこともっと言えるようになればいいのに

とも思っているので、そのきっかけになってくれないかなとも考えたりします。

 

しかし小説版を読んでいると、ここのシャチョウがトミーに指摘する場面で

「大人になって…」と思っちゃうよね。50歳の人間に対して(笑)

そのあたりの考えを「甘いなあ」と言われていた人がねえ…

 

小説版といえば、シーマがそうだったからキラが海苔食べまくっている場面で

「最年少メンバーの海苔好き来たー!」ってなりましたよね(笑)

少年ハリウッドの原型でもある「原宿ガール」の時からそうだったから

もうこれは橋口いくよさんのセオリーなんだろうか。

初代トミーのカニパン→トミーのワニパンにもニヤリ。

キラは知らないで、ただ体重管理のためにやってるだけかもしれないけど

トミーは狙ってやってる可能性が大きいよね。

あと「原宿ガール」は女性アイドルだったから「胸が大きくなるらしい」という理由で

大豆が流行っていたけど、

少ハリメンバーが豆乳飲んでたのは何かそういう理由があるのかな。

マッキーも家で飲んでたみたいだし。雄っぱい大きくするの?

 

 

成長の証を見せつつも、10代の少年らしいアホなやりとりも変わらずあってホッとしました。

無駄なキメ顔とか…ばかやろう…(笑)

ライブ前なのにマイペースなメンバーを見てホッとしてしまうということは

アイドルとして成長している姿をどこか寂しく思っていることの裏返しでもあり、

少ハリメンバーはメンバーで観客が増えないことを問題に思ってても

具体的行動に出ていなかったり、

ファンとしてもアイドルとしても、お互い、道の途中なんだなと感じました。

しかしその後、パッとライブの準備に入り、「永遠 never ever」を歌い上げ、

アレンジまで加え始めている自己紹介を見た時、

こちらもアイドルとして成長していく彼らを受け入れていく覚悟を

していかなければいけないんだろうと思いました。でもアホなこともずっとしてて!

 

思えば第1期の作品内の季節は放送時の7月より少しさかのぼった春から、

第1期の中で現実の時間を追い越し、クリスマスライブ直前で終わりました。

そして第2期の作品内の時間は現実の時間より半年先。

時間だけでなく、彼らにはいつも私達より少し先を走り続けてもらって、

それを追いかけさせてもらいたいと願います。

 

 

その「永遠 never ever」が流れている間に映される

初代の解散から新生のこれまでの映像がすごい爆弾でしたね…

小説版や第1期での初代メンバーの会話からその事実だけは分かっていたけれど

実際に知ることができるとなると、見たいけど怖いような。

新生メンバーが「売れたい」「売れたい」と身も蓋もないこと言っている予告を見ると

その様子が次回詳しく描かれるようです。

第14話の最初の場面はシャチョウが倉庫から

初代メンバーのサイン入りのタペストリー(?)を取りだす場面からでした。

探し回った様子はなかったので、そこに仕舞ってあることは知っていたけど

今まで出していなかった物なんでしょう。

では何故このタイミングで出してきたのか。

新生メンバーが成長していくことは同時により初代の大きさを、

そして初代が迎えたアイドルの終わりを身近に感じていくことだからではないでしょうか。

常にその終わりを突き付けながらアイドルとしての永遠性を探し描くこの作品の

第2期の方向性を表すものとして、

第1期よりも初代がより大きく映し出されたのだろうと思いました。

新生メンバーにはこの先、その初代を追い越す可能性を、

違う結果を迎える可能性を、

シャチョウの夢から飛び出す可能性を見せてもらいたいと思います。

応援してます!

 

 

(その他気になったことメモ)

・橋口いくよさんによるとトミーは味付け海苔ならもらうこともあるらしい

・第14話時点でのシュンのステージでの一人称は「僕」

 クリスマスライブの時は「俺」だったような?

 キャラ作りの試行錯誤中かな。コウさんリスペクトということも考えられる?

・キラの「トミーは甘いなあ」は小説版と重ねてある?