GIANT KILLING単行本第35、36巻感想

達海がとうとう口に出した「タイトル奪取」

日本のトップとなるその目標のために打ち破らなければならない

現リーグ戦首位の大阪ガンナーズ戦の決着が着きました。

ガンナーズ戦では、もう一つの「トップの形」である国の代表選手への

各選手の想いがクローズアップして描かれ、

第36巻ではそれを引き継いで日本代表の様子が描かれることになります。

「首位」とか「トップ」とか「代表」とか、

ETUにとってもう絵空事ではなくなったんだなあ…

 

続きからネタバレ感想

 

 

象徴となるのが椿の年齢別ではない、日本代表選出。

流れから言って予想できないことではないとはいえ、やっぱり嬉しいですよね。

そして椿の節目に描かれるのがいつもの練習場での達海との対話。

ビビりな基本姿勢は第1巻の頃から変わらないものの、

もう既に椿には自分は出来るはずだ、

それを信じてくれる人達の為にも結果を出して応えたい、という自信があるんですね。

裏打ちとなっているのが自分の評価ではなく周りの人の気持ちというのが

いかにも椿らしい。

笠野さんは重荷を背負わされて潰れないか危惧していましたが、

また達海が上手いこと奮起させる方向に持ってくんだよねえ。

かつて周囲の期待を一身に引き受けて潰れてしまった達海と

手遅れになるまで気付けなかった笠野さんの苦い経験が

それ自体の後悔はどうしようもないけど、同じ様な境遇になりかねなかった

椿が前を向けていることで救われていくようで嬉しいです。

ここに会長サイドの方も変わろうとしていることが分かる場面も入っているのがいいよね。

副会長は相変わらずだったけど(笑)

 

象徴として描かれたのは椿ですが、もちろんETU全体が成長をしてきた結果の今な訳です。

達海が監督に就任してから力を付け、やっと首位と真正面からやりあえるぐらいになった。

以前、一旦順調に順位を上げ続けているように見えた時期に

ちょっとしたつまづきで以前の「いつも降格ギリギリのETU」のイメージに戻ってしまう

描写があったのがすごく効いてくるなと感じました。

万年降格ギリギリだった為、今調子がいいのはたまたま、

上手くいかなくてもここまでの出来が良すぎただけだった、と

自分たちの実力のレベルに自信が無かった。

そこを乗り越え、もっと上に行く覚悟を持つ過程があったからこそ、

今回ガンナーズと引き分けだったことを悔しがる説得力が出てくる。

そうそう簡単に人は自分の殻を破ることなどできません。

変革に挑む勇気と、一試合ごとの結果を積み重ねて

やっとここまで来たんだというリアリティと感動を与えてくれる過程だったなと

思いました。

 

試合後の山さんの解説によってメンタリティだけでなく戦い方の面からも

ETUがその段階に進んだことが解説されるのが良かったですね。

前回対戦は平賀というガンナーズの要など、相手のいい所を潰していく

弱者が強者に勝つための戦い方だった。

今回はガブリエルの負傷というアクシデントがあり、その結果のポジションの変化で

ガンナーズがもっと好きなようにやれる形になった、という所を

達海の采配と選手の粘りで逆に網に掛けるような試合展開が出来た。

いい所を出させて、なおかつがっぷり四つで戦えるようになったんですね。

それに気付いたのがサポーター歴が浅くても素直に偏見なくETUを応援してきた山さん

っていうのがいいなあと思いました。

何かのファンであるときこうありたいよね…

後光が差してるコマはさすがに笑いましたが。実際凄いけどさ(笑)

 

 

選手監督だけでなく、様々な人の面からサッカーが描かれるのがジャイキリの魅力ですが

代表に関してもアプローチが多彩で読みごたえがありました。

椿や窪田の代表のこれからを担う若手がめきめき力を付けていく期待感、

ハウアーやダルファーの祖国の代表に一矢報いたい意地、

片山や畑の語る地元が評価された結果としての代表の意味。

あと赤崎が小室さんとのマッチアップで結局いい所見せられなかったのも

代表に選ばれる選ばれないボーダーラインだったのかなと思いました。

軽やかに枠外にいる志村さんを除いて、

「代表」の重圧や背中を押してくれる面を描いて

そんな様々な想いを抱えた面々が集まる代表戦へきれいに繋ぎつつ

期待感を高めてくれる流れでした。

 

そして代表といえば海外で活躍する選手の登場となる訳ですが…

花森さん宇宙人みてえだな(笑)

こんな人がどんなプレーを見せてくれるのか、

これまでに登場した選手とどんな風に絡むのか、

楽しみに次巻を待ちたいと思います。