GIANT KILLING 単行本第37巻感想

選手や監督以外、フロント、サポーターやメディア等試合以外の描写も多いのが

ジャイキリの特徴です。

第37巻もまた一般的な「サッカー漫画」というイメージからかけ離れた展開でしたが

それでも面白いのがさすが。なんてったって…

 

続きからネタバレ感想

 

 

試合はしているのに選手であるメインキャラが1巻まるごと試合に出てない!

読めばそれが必要なことであるのはすぐに分かります。

でも週刊連載で単行本1巻分たまるくらいの期間ずっと試合に出さないってのは

ずいぶん思い切った判断ですよね。

読み終わって「えっ、あ、椿、結局試合出てない!でも面白かったな!?」って驚きました。

これまで36巻分の積み重ねがあるからこそできたのかな。

 

なぜそんな展開が必要だったかというと、

椿の選手としての自覚や自信について描くためでした。

連載初期からずっとチキンでビビリで、しかしその反面、

大一番で流れを変えてしまうようなプレーをする

二面性を持つ存在として椿は描かれてきました。

日本代表に選ばれた今回も自分はまだまだだ、という自己認識は変わっていません。

そこを掘り下げて描くために対照的な人物を出すっていうのはまだ分かるんです。

圧倒的な自覚と自信を持つ選手が出てきて、

椿はどう反応するのか!みたいな展開になるのは。

それが自覚が行きすぎて自分で勝手に胃を痛めてる、でもプレーは凄い、みたいな

強いんだか弱いんだかな選手出されたら、こっちもあの、微妙な顔するしか(笑)

椿と対になる人ってアクが強いよね…

 

そんな自称天才・花森を初め、様々な日本代表選手の選手のメンタリティに触れ

自分に足りないものを噛みしめる一方で、

試合に出されないことにいらだちを感じる自分に驚く椿。

達海によると椿の自信の無さは

ETUに来るまでスタメンで使われ続けたことがないことが原因ということのようです。

試合に出続け、経験と結果を積み重ねたことが、椿自身気付かないプライドとなっていた。

今季のETUの成長が椿の成長と重なってるんですね。

万年降格ギリギリ、自信の欠片もない状態だったETUが達海に導かれ、結果を出していくも、

肝心の自分たち自身に対するイメージが「万年降格ギリギリ」から抜け出せていなかった。

達海の身を切るような訴えを受け、自分たちはやれるはずだ、やらなければいという覚悟を持ち

首位のガンナーズと渡り合い、クラブの自覚の成長を見せた後のこの椿の個人エピソード、

今までのことを思い出して、ここまでよく成長したなあというしみじみした思いと、

これまでのことが繋がって今の椿になっている話作りの上手さに唸ります。

 

クラブの重圧を一人背負っていたコシさんがクラブが再生するほどに一選手として再生して来て

クラブから解き放たれていくように見えるのに対し、

達海の後継者として、これからを担う若手として椿がクラブと共に成長していくというのも

多面的な描かれ方で面白いなあと思います。成長の仕方は一つではないというか。

 

 

今回、自分の感情に戸惑う椿に的確なアドバイスをくれたのは離れている達海ではなく、

同じく代表に選ばれた窪田でした。

普段の口数の少なさとか変な笑い方とか雰囲気が全然切れ者っぽくないんですけど、

セカンドボールをメチャクチャ拾うプレースタイルから考えても

窪田くんは元々視野が広くて先入観にとらわれず状況がよく見渡せる

聡明な選手なんでしょうね。普段あんなだけど。

椿は人見知りの気もあるし、悩み話せそうな相手今の代表に他にいないし、

ホント窪田がいて良かったよね(笑)

 

そんな感じで窪田に「既に代表のメンタリティを持っているのでは?」と指摘された椿。

彼が実際どう受け止めどうしていくつもりなのかは次の巻となるようです。

最後、凛々しい顔も見せてましたが…

ある日、ふとしたきっかけでチャンスを掴んだ若手が経験をものにして

予想もしないスピードで成長していくことは実際のサッカーであることです。

漫画だけど今の椿にもそういうことが起こるかも!というワクワク感を持たせてくれるジャイキリ

次も楽しみです。

 

 

巻頭のオマケの代表メンバー紹介、志村さんは春人さんって言うのね…

あー、あの常人離れした雰囲気、確かに「春人さん」だわーとニヤニヤしてしまいました。

志村春人に窪田晴彦、なんだろうこのガンナーズの「はるはるコンビ」に漂う

地上から1㎝ほど浮いてそうな感じ…