GIANT KILLING 単行本第41巻感想

甲府戦が決着し、そして3度目の東京ダービーを前に

持田の執念と存在感をあらためて見せつけられた第41巻でした。

 

続きからネタバレ感想

 

 清川の言葉によって奮起したETU、後半早々ゴールに結びつきます。

決めたのは堺さん!若手の言葉を受けてベテランが決めるっていうのも痺れるじゃないですか!

キャプテン交代の時もでしたけど、「弱いETU」のイメージが沁み込んでない若手が、

自分たちは強くなったという自覚を持ち、覚悟を背負って勝負していこうと発信して、

ベテランもそれを受け容れて変わっていくという流れがここでもあるのが

ETUが変わって来ていることを実感できて嬉しいです。

凝り固まっていた第1巻の頃からは想像つかない変わりようです。

清川を奮起させたのも、達海の指導で戦力で劣るチームでもまとまって戦えば勝機はあると学んだ

これまた若手の石浜だというのが、達海が来てからの変革が良い連鎖となっていることを感じられて

40巻分の積み重ねが効いていました。

 

教わった事を達海の前で証明しようと、失点後も諦めることなく甲府の仲間を励まし、

流れを取り戻そうとプレーする石浜ですが、DFの先輩として黒田が意地を見せ、

清川が繋ぎ、夏木のゴールへ。

立て続けの失点にさすがに意気が沈みかけた所に声を掛けたのは達海。

「まだまだここからだろ?」と。

戦ってる相手に試合中に掛ける言葉ではありませんが(笑)

石浜の姿勢が負け越しの状況の中でも達海に認められ、

その達海の言葉がさらに石浜を先へ導いていくという構図は胸が熱くなります。

思えば石浜が甲府に移籍する時も、自分の事をよく見ていてくれて

的確な評価をしてくれる達海の言葉が決心に繋がっていたんでした。

その達海の言葉だからこそ、表面的な励ましではなく、

石浜に前を向かせる力となったのだと納得がいきます。

石浜や甲府の選手が諦めずに戦いきる姿が甲府サポーターを感動させ、

努力が実になっている、までは行かなくても、実になりつつあることを感じさせられたのも、

これからの希望が見える、とてもいい場面でした。

 

そしてETUの大勝という結果で試合は終わり、石浜と清川がお互いの胸の内を話した後、

石浜が古巣ETUのサポーターにコールされる所がたまりませんでした。

実際の試合でも見るけど、あれは本当にいい…

試合ではもちろん真剣にぶつかり合うけど、

それが終われば、私たちの愛する選手の一人だよと称える気持ちが

スタジアムにあふれる温かい瞬間なんですよ…

 

 

その後は二つの代表、U-22とA代表の試合の様子へ。

椿は疲労により調子を上げられないものの、それでも替えの効かない選手となっていることが

監督の口から語られます。代表でも少しずつ存在感を増しているのが嬉しいですね。

椿の不調をカバーするかのように活躍したのが赤崎と東京ヴィクトリーの三雲。

赤崎は代表では椿ほど定着してないネタがチームメイトにからかわれるくらいなのに

それでもセットプレーの時あんなえらそうな態度取れるのは逆にすごいわ。

三雲の真っすぐさは前から好きなんですが、代表でもチームを鼓舞し

椿の体調にフォローを入れつつ、東京ダービーに向けての闘志を見せる所が

真っ当にカッコよくてさらに好感度上がりました。いいやつ…

将来ビッグになるよ…なってほしい。

 

若手のそんなさわやかな交流と対照的だったのがA代表

いやー、メンバー発表された時から予想付いてたけど、うるせえ(笑)

夏木は「波がある中途半端なFWのままではダメだ」→「気合いが空回り」を

繰り返している印象なんですが、彼は最終的にどこへ行くんでしょう。

「お前はそのままでいいよ」って所に落ち着くのかな…

 

曲者揃いのA代表メンバーの中、さらに異彩を放つのが帰ってきた王様、持田。

今回のことを「一度召集して試してはみました」という実績作りで終わらせないと

結果に結び付けていくのはさすが。

達海が求心力でまとめるのとは対照的に、反発させ、焚きつけ、

そうするだけの実力を見せつけて反対意見を黙らせていくやり方は

確かに一見気持ちがいいものではないものの、

その態度は繰り返す怪我があってなお、勝利に食らいつこうとする執念から来ると分かれば

やはりこれも強さの一つだと認めるしかありません。

面白いのは、持田が敵役となることで他のメンバーがまとまるということではなく、

反発を招きながらも、持田の言葉は勝負へのこだわりを認識させ、

闘争心を湧き起こさせ、持田へとボールを集めたくなるものであるということ。

方向性が違いますが、結果的には選手と観客の心を惹きつけていく

モチベーターとしても優れている所は達海と同じなんですよね。

 怪我のことも含めて、こんな所も達海の鏡映し的存在なんだなあと。

アンチも一定数存在するけど、悲劇性も相まって人気は相当なものである、と

本編で語られている通り、なんか素直に認めたくないけど確かにすごい奴だと

感じさせる、絶妙なバランスの造形だとあらためて感じました。

 

セットプレーの場面でかつての代表での姿と現在の姿が重なるように交互に描かれ、

持田の完全復活を絵だけで伝える演出はゾクゾクしました。

そんな持田との対決、東京ダービーは次巻開幕!うおお楽しみです。