さわやかサバイバー

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GIANT KILLING 単行本第43巻感想

表紙を見てもお分かりの通り、持田大活躍でございます。

でしょうね!イヤー予想はついてたけどイヤー!

 

続きからネタバレ感想

 

第42巻の最後で「なんかあるかもよ」という雰囲気たっぷり漂わせていた持田のセットプレーは

見事成功してしまいます。

しかし持田が力を見せつけるかと思ったら掘を使ってタイミングをずらすサインプレー。

持田を警戒すれば他を使われ、しかもその他も代表クラスの選手ばかり。

そんな連中が首位争いから脱落してなるかと闘志燃やして向かってくる訳で

考えれば考えるほど厄介極まりない相手だなと実感させられます。

今の順位こそ中位だけど、過去に何度も優勝した実績があり、優秀な選手が揃っており、

勝利に並々ならぬ執念を持つ選手に引っぱられてプレーもモチベーションもレベルが高い、

変化球なしに真っ当に強いクラブなんですよねヴィクトリー。

まあ中心選手のアクが強すぎますが。

対するETUは万年降格圏ギリギリ、

相手に合わせたリアクションサッカーで今季なんとか勝ちを積み上げてきたクラブです。

それでも、プレシーズンマッチ、前回の対戦と「王者の風格」を見せつけられてきたヴィクトリーに対して

このままでは今まで積み上げてきたものの意味がありません。

先制された後、またもや力を見せつけられた後、どうするのか。

答えは果敢にも守備の最終ラインを上げたままにするということでした。

裏を取られれば相手にゴールされやすくなるリスクがある反面、

全体をコンパクトに保つことでパスが繋がりやすくなり、攻撃のチャンスが増える方法を取ったのです。

予想通り点を取り返そうと急ぐガブや赤崎が噛み合わなかったり、

裏を取られて危ない場面があったり、リズムまで悪くなる始末。

だけどETUはぶれずに、このやり方を貫くことが勝利に繋がると信じて、

そして自分たちにはそれができると信じていました。

自らを信じる、まさに正しい意味の自信を身に付けたのだと思いました。

そういえば一番最初の頃、黒田と杉江の辞めてやる騒動の時に

杉江が達海が来てからの守備の最終ラインが今までより上がっていることに気付いたんですよね。

臆病にゴール前に鍵を掛けて、前線との距離が間延びしたままではこれからも勝てないと。

あの後の試合でも点を取られたけど果敢に攻める姿勢は間違ってないという風に変わったんでした。

今はそれがしっかり染みついているんだなあ…

 

守備のその姿勢も前線の選手が点を取ってくれないことには結果に結びつきません。

そこで決めてくれたのが…夏木!

「ガブリエルが散々いいクロス入れてたのに…

 難しいシュートしか決められねえのかお前は!」

いやその通り(笑)だけど意外性があったからこそ日本代表の秋森の堅い守備の裏をかけたとも言えます。

セオリー通りではない、だからこそ空気も一変させてしまう夏木らしいゴールでした。

なによりもそのゴールが失敗しようがどうしようが貪欲にパスを欲しがり何度でもゴールを狙うと

腹を括ったところから生まれたのが嬉しい。

何かあるたびに「俺はこのままでいいのか」とフラフラし、覚悟決めたかと思えばフラフラし、

を繰り返す夏木に「どうするんだ、結局夏木はそういう選手って結論になるのか…?」と思いかけてた頃に

やっと覚醒してくれました(笑)

「夏木らしさ」「フォワードらしさ」の基本の基本に立ち返ったとも言えます。

フラフラせずに最初からそこに気付くことができれば最短距離だったのかもしれませんが

怪我をしたり、その分取り返そうと迷走してみたり、遠回りをしてきた上でそこに到達したのが

人間らしく、それだけに共に喜びたくなる軌跡だと感じました。

またジーノがさ、その様子をよく見て気付いてるのが憎らしいよね!

 

が、同点に追いつかれたヴィクトリーに王者の戦い方を思い出させ、

しっかり決めてスタジアムを一色に塗り替えてしまうのもまた持田。

本当に言い方ひとつひとつがアレなんだけど、やってることはエースなんですよね…

さらにその後ETUはヴィクトリーにPKを与えてしまいあっという間に1-3に。

PKに繋がるプレーの中で村越さんが持田に一度抜かれたために詰めきれなくて

いいパスを出させてしまう場面がありました。

村越さんがいち選手として再生していく転機としてヴィクトリー戦は描かれてきた所もあるので

このマッチアップはこれだけで終わってほしくないんだよなー!

持田に一泡吹かせてやってよ村越さあん!んで代表入りしちゃえよ!

 

持田とのマッチアップといえば椿もですが、

前半これだけやられてあの椿がどうなってるかと思えば、意外と引き締まった顔してました。

ヘコんでないだけでも成長したな…と感じられて嬉しいんですが、

ひょっとしてなにか攻略の糸口でも掴んでいるんでしょうか。

いやそこまでじゃないかな…(ひどい)

でもあそこまで持田が波に乗ってることや、全盛期の達海と比較されたら

やはり対になってる椿がこの試合でそのステージまで上がること期待したいですよね。

 

その持田のキレっぷりは平泉監督との回想シーンを見ても

消える前のロウソクの輝きというか、研ぎ澄まして折れる寸前の刃物的というか、

危うさが漂いまくってて、その意味でも怖いです。

背水だからこその、あの鬼気迫る様子というのも分かるんですが

フィクションといえ、どんな選手でも怪我は嫌ですよ…

あの境地にまで達した選手ならなおさら今後も活躍して欲しいと思う気持ちもやっぱりある訳で。

散々怖い怖い言ってて今更ですが。

 

そんで後半始まる次巻の予告カットですが達海のあれは「上がれ」って合図なんですかね?

ハーフタイム中に何か作戦授けるんでしょうか。

ETUの反撃、そして勝利、信じて楽しみにしたいと思います。