AI育成お笑いバトル!師匠×弟子 私の映し

 NHKBSプレミアムで「AI育成お笑いバトル!師匠×弟子」という番組が放送されました。お笑い芸人などにまっさらなAIを渡し、約2か月半育成したのち、弟子として成長したAI同士が大喜利バトルを行うというものです。育成の方法はさらっと触れられたのみでしたが、どうやら師匠となる人の大喜利の答えを蓄積し、そこから学んでいくというやり方のようでした。

 

 番組では師匠となる人以外にも大喜利の答えを入力してもらうことが許されていました。面白いのはここで、師匠となる人が言いそうな答えを協力者が入力するんです。AIは師匠の映しとなっていくわけですが、本人からの情報だけでなく、他人がその人をどう思っているかという情報も反映されていくことになります。以前NHKで素人参加型の大喜利番組の司会をされていた千原ジュニアさんの元にはその精鋭たちが集まり、ロッチの中岡さんは相方コカドさんに相談し、大久保佳代子さんは事務所の若手に声をかけ、プロレスラー永田裕志さんは地元ファンに加えツテを頼って川島明さんの協力を取りつけていました。過去の実績、自分をよく知る相方、事務所の特色、幅広い対象+プロの補助。その人の社会的繋がりが大きく反映されていくのが興味深かったです。

 

 そしてひょっとしたら今後求められていくのはこっちの方なのかも、と思ったりもしました。脳の機能の解析やそれを機械に置き換えていく研究はこれからもされていくだろうけど、世間が求めるのは私をそのまま機械に移した私よりも「私の欲しい答えを出してくれるあの人」になるんではないかと。お笑いに限らずもっと実利的な才能部分だけを残す方が需要があるかもしれない。それは自分の痕跡を残したいという願いとは相反するんじゃないでしょうか。イメージから作られた自分に似た何かを忌避する感情も生まれるでしょう。それでもAIに誰かの映しを作ることが利益になると判断されれば人はどこまで求め、許すのだろうかと気になったりしました。