さわやかサバイバー

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GIANT KILLING 単行本第52巻感想

えーともう最初からネタバレなんで以下読んでください!

  

続きからネタバレ感想

 

  「この瞬間を待ってた」「これが見たかった」という場面がジャイキリファンにはいくつかあると思います。それに応えるようにたっぷり見せつけてくれました!

 

 残り時間わずかな中のコーナーキック。次の得点が試合を決めるだけに日本とUAE、双方の選手が意地を見せます。特に城島さんの、ベテランと言われる年齢の選手が終盤に見せるオーバーヘッドには痺れました。そこまでやらなければとどまれない代表の厳しさと、それができるからいまこの人はここにいるという彼の底力を見せつけられた場面でした。

そんな双方が全力を出し合う場面で相手を上回るために必要なのはなにか。まだここにない未知の力、意外性と呼ばれるものでしょう。UAEの選手が結局最後はエースだろうと予想をつけ花森を警戒する中、花森はその答えを知っているかのように椿にパスを出しました。そこからじっくりと椿や周りの人の表情をを追いながら描かれるシュートシーン。脳裏にこれまでの「突破をしたが跳ね返され他の選手がゴールを決めた場面」や「ゴールにはならなかったが試合の流れを変えたシュート」が思い浮かぶ中、もういい、もう椿決めていいだろ…!決めてくれ…!と祈るような気持でページをめくる手ももどかしく追っていった先にとうとう描かれたゴール。…いやあ、いま読み返しててもじんわり来ちゃいますね。いつか来るだろうと、それだけの選手だと信じてはいましたが、単行本約50巻の積み重ねを経てなので感慨深いです。

っていっても作品中ではまだたった半年なのか…と我にかえる藤澤さんの発言はじめ喜び爆発させる人々の反応がまたうれしい。こういうときに素直に喜べる夏木はえらいな。いままで応援してきた人はもちろん、これまで椿を知らなかった人にも波が広がっていく様子に影響の大きさが分かります。本当に地元クラブで応援してた選手が世界に羽ばたく瞬間に居合わせたかのような感覚で…単行本オマケの泣きながら速攻グッズ企画する有里ちゃん笑いました。仕事の鬼や…愛のある鬼や…

 

 野心がきっかけで結びついたイスマイールとマチューにそれ以上の絆が生まれていたのには心打たれました。自分の力を見せつけるためというところから始まった関係から相手への真の尊敬が生まれ、自分よりも相手を世界に知らしめたいと思うようになったって、こっちはこっちで泣いちゃう。いつか一流に帰るための腰かけではなく、この国だから、お前がいるからここで世界のトップを目指したいというマチューの言葉はまだ発展途上と見られる国や自分を一流と信じてくれている証で、それはどれだけイスマイールの成長を支える土台になったんだろうと想像するともう…若いこのチームが先を見通す大人の力をつけていくのも楽しみですね。

 

 後半は椿の動向と準決勝の相手について。

 これだけ活躍したら当然そうなるよねー!という感じで椿にも海外クラブからの問い合わせが来てるようで。有里ちゃんの気持ちもよくわかる。これは現実でもよくあるジレンマ…活躍してほしいけどいまのクラブから居なくなられるのも辛い…この件はまだ本人の知るところではありませんが周囲の反応が確実に変わっていくのも事実で。振り回されたりしないかも心配でしたが、とりあえず目の前のことにだけ集中していくという答えは謙虚な椿らしく、それでいて地に足付けた成長ができているのが感じられてホッとしました。

それでも偶然出会った韓国代表や盟友窪田くんの影響を受けて意識が変わっていく可能性も同時に示されていました。韓国は決勝で当たるかもしれない相手だし、そこで今回会話を交わした趙選手の実力を肌で感じ、彼と同じように海外でのプレーを望むようになる、とかなのかな。それにしてもチームメイト見つけたらからって炎天下で駆け寄ってくる姜ちゃんかわいすぎないか。窪田君がしっかり海外進出のこと考えてるのは失礼ながら意外…だったんですけどいまとなれば納得という感じ。窪田くんあのまま気負ったりせずにどこまでも行きそうな器だわ。この動じなさが椿にもいい感じでうつればいいのにねえ。

 そして日本代表の準決勝の相手はオーストラリア。千葉のマクレガーさんお久しぶり!えっ千葉戦って25巻以上前?そんなに前だっけ。あいかわらずの一味違う世界に生きてるっぷりに和んでしまいますが、説明されてるようにオーストラリアのフィジカルは脅威です。本当に椿が海外へ行くのならそんな相手にも通用するかの試金石にもなりそう。その点にも注目ですね。