さわやかサバイバー

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GIANT KILLING 単行本第55・56巻感想

  第55巻の内容だけでは感想を書きづらく、第56巻でその後の動きが出てから…と2巻分の感想になりました。

 

続きからネタバレ感想

 

  まさかあんな展開になるとは思ってもみなくて…盟友・窪田くんの怪我は読者にとってもすごくショックだけど、成長した椿なら踏ん張れるんじゃないかと思ってたんです。なのでその後の動きを見てから感想を書こうと、第56巻を待ってたんですが…それが坂を転げ落ちるように悪いことが重なって椿自身にも大きな傷になるとは…

 

全盛期の達海の再来かのように大躍進をして、海外進出の可能性も見えてきて、達海が果たせなかった世界を舞台に駆け回る姿が見られるようになるのかな、ETUから離れるのは複雑だけどな、って流れだったじゃないですか。メディアに悪印象を残すところまでなぞるとは思わないじゃないですかー!つらい。達海の場合は荒療治というか、自分頼みになっていたチームを立て直す意図があって、本人も覚悟していたと思うんですが、椿の場合は事故のようなものだしな。そもそもメンタルの作りが違うしな。

アジアカップで得た手応えが台無しになってしまって、ゼロに戻るどころかマイナスにさえなってそうな椿のメンタルがとても心配です。でもそれ以前にリーグ戦やETUで得た経験まで椿の中でなかったことになってないと信じたい。みんなのおかげでここまで来れた、と周りの人を大事に思い感謝を忘れない椿だからダメにしてしまったことにダメージを受けて、いつまでも立ち直れないことを申し訳なく思ってさらにダメージ重ねてる悪循環がもう見てて辛いけど、培われてきたものはダメになってないだろうって言いたい…!それとも、もうまったく違う方向からの、たとえば周囲とは無関係の彼自身の中にあるものを掘り起こして立ち向かうんだろうか。なんにせよ早く元気になってほしいですね…まだ二十歳だもんな…立ち直るの信じてるけど、やわらかい心がこのまま潰れませんように。

 

 

前の感想を「夏木出場ー!?」で終わらせといて続きがこれでごめんよ。でも夏木がいてくれて本当によかった。試合でも試合外でもだいぶ救われました。

1点負けている状況、フィジカルで勝るオーストラリアに身長差のある城島はじめ日本はよく食らいつくものの、乗っている相手キーパーをどうしても打ち破れない。バテてくる後半で手を抜かず攻め立てているのにゴールだけが奪えない。想像するだけですごいしんどい!ってときにマジでやってくれるとはなー!かっこよかった。

アジアカップ敗退後もなにかと椿を気にかけてくれたり、雰囲気明るくしてくれて、読者的にもありがたかったです。これまでの夏木って自分の中でアップダウンが激しくてそれでいっぱいいっぱい、って感じだったのが、自他ともに認める実績を重ね、若手をフォローしていった結果自分の外にも足場ができて安定感と頼りがいが増した気がしました。一時期はこのまま面白枠で終わるのかなと思うくらいだったのにね(ごめん)

 

いつもは猛烈な仕事ぶりばかりがインパクト強い有里ちゃんの優しい対応も、それこそ包み込むようなETU愛を感じられてよかったです。とまあ、夏木や有里ちゃんの描写でいいところもあったけど全体的にやっぱり大変そうなので早く嵐が過ぎ去ってほしい…

 

 

そう言ってる間にも時間だけは過ぎていくわけで、リーグ戦も再開、その前に天宮杯です。

相手チーム徳島の監督、サポーターだったという大杉漣さんモデルですよね。粋な計らい。

対するETUの顔ぶれは…緑川さん復活!!キャー!緑川さんキャー!練習再開したときは回復力すげえと思ったけど試合にまで復帰してくれるとは。うれしい驚き。そしてその他のスタメンは、控え組中心とな?リーグ戦含めた状況や、来期の契約も見据えた話が出てきましたが、こういうクラブ全体で戦う感じ、アジアカップ以前のジャイキリの感じだー、となつかしく思いました。いや長かったからねアジアカップ

 

選手本人にしたら控えのままでいるのは愉快ではないし、モチベーション以外でもキャリアや給料の面からも厳しいのは理解できます。だからきれいごとだけ言うつもりはないけど、調子がいいチーム、雰囲気がいいチームっていうのは現実でも控えとスタメンがいい緊張感をもって競争してることが多いんですよね。誰が出ても質が落ちずに試合が運べて、だからスタメンもいつ取って代わられるか気を抜くことがない状況が全体の力を底上げしてくれるわけです。ETUは控えの選手にしても出場機会にばらつきがあるみたいですが、そんな中でも全体のモチベーションを保ってた達海すごいと思いました。勝負師みたいだけど、こういう細やかな仕事手を抜かないんだよね…控え組の実力を心の底から信じている言葉にもジーンと来ました。ゴール後に選手が達海のとこ駆け寄るシーンでちゃんと伝わってることがわかりますよね。それをいい話で終わらせずにさらに焚きつけるのが達海らしいけど。次巻予告からするとそんなに長く描かれる試合ではないみたいだけど、見返してやって見返してやって!