さわやかサバイバー

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少年ハリウッド 第3話メモ

一斉無料配信中に録画残してなかった最初の方の回の

自分用メモ残しとこうという記事です。

 

あくまで自分用メモなので断片的ですし、

第10話まで視聴してから振り返っているので思いっきりネタバレです。ご了承ください。

 

(11/12 小説版、BDブックレット読了後の追記あり

 

 

第3話「彼らの未来」

 

第2話でカケルがアイドルの道へ進む事を決意した直後に

「アイドルはずっと続けられる訳ではない」ということを示した回。

もちろんそれだけではないのだけど、思い切った構成だなと。

 

門限があるので急いで帰るトミー。親が厳しいらしいと話すカケルとマッキー。

児童養護施設で暮らしている事はメンバー知らない様子。

いつも笑顔だし、親に愛されてるのかもなとトミーを見送るマッキー。

初見の時は知らなかったけど、家も飛び出してるマッキーには

愛されて居場所があるように見えるトミーに思う所があったのかな。

 

出迎えてくれた施設の子のようにトミーも

誰かが帰って来なくなったり、自分がここを出ていかなくてはならない事を

怖いと思っていたんだろうか。

出て行ってもその先で仲間ができた事を

施設に会いに来てくれた初代のトミーが話してくれた事が

今のトミーの大きな力になっている。

トミーの初代少年ハリウッドに対する心酔の理由が開かされるシーン。

 

はいマッキーがアホの子であることが着実にバレてってます。

ミミズク相手に必死に言葉を覚えさせようとするマッキーを見るキャットの冷たい目つきが

たまらなくかわいいいよおおお!

 

ここの風見家みたいに家庭のシーンが入るの好きです。

母親が息子のごはんを嬉しそうに用意する様子だとか、

「ちゃんと食べてるのか」「ま、若いうちはなんでもやればいいさ」という台詞から窺える

懐が広いようでもあり、息子の事あまり知らないようでもある父親の様子だとか、

いくらイケメンでも兄には辛辣な妹だとか、

普通にありそうな描写が丁寧に積み重ねられて行ってて、

それがドラマを厚くしてくれてるように思います。

 

自分の指針となった憧れの人が同じ道を進もうとしている自分に会いに来てくれた

って言葉だけでも感動ものなのにBGMがさらに泣かしにかかってくる。

 

「みんなそうやって夢が叶ったんですね」

「どうだろうな」

 

光が当たる舞台上の初代トミーにその光を受ける客席のトミーがお礼を言う

という立ち位置から

同じ舞台へ手を引いて引き上げられ、「少年ハリウッドのトミー」を託される。

ええ話や…

 

トミー(初代)

「僕たちの仕事はね、ここから奇跡の種を蒔くだけなんだよ

 その先の奇跡は いつも僕達が知らない所で起こるんだ」

 

先代の合宿の様子の録画を見つけるトミーとテッシー。

緑は初代もダンスが下手だったのか…

 

それぞれの夢を語る初代メンバー。

そこに映る初代のトミーは「ずっと少年ハリウッドでいたい」と話している。

託されたということは叶っていないということで…

トミー「叶ってない… ねえテッシー、叶ってないよ」

テッシー「永遠にアイドルは 無理なんですよ」

 

ゴッド

「僕は永遠のアイドルでいたいです

 そして、ハリウッド東京に骨を埋めまーす」

 

自分達のポスターの前から去る現在の初代トミー。

ずっと少年ハリウッドでいたいと話していた彼が、その場所を離れていく。

 

奇跡は僕達の知らない所で起こるというカケルのモノローグが流れる中で

初代トミーとシャチョウが出くわす。

「元気そうだね、ゴッド」とシャチョウに語りかける初代トミー。

イメージの白い光が照らす中でもなく、舞台の黄色い照明が当たる中でもなく、

夕暮れのオレンジ色の中で今の彼らが出会うのも考えられての事なんだろうか。

 

憧れの初代少年ハリウッドの写真ばかりを貼っていた場所に

今のメンバーとの写真を貼るトミー。

 

 

小説版、BDブックレット読了後追記(よりネタバレです):

 

 

 

第13話まで見てからだと、この第3話にしろ第8話にしろ

トミーの抱える少年ハリウッドへの想いには

メンバーの知っている所よりもう一段深い所があって、

彼らに見せていないその一面を視聴者の私達が見てしまうんだという

初見の時には感じなかったドキドキ感があります。

それはメンバーを信頼してないから見せてないということではなくて、

あまりに大切すぎて、おいそれと外に出せないほどのものであるからなんでしょう。

ブックレットのインタビューの最後の質問に対する答えでも

あらためてその想いの深さを知らされて、胸を突かれました。

 

一方で映像特典中のミニドラマアテレコでミーハー方面でも結構なガチであることを知って

「お、おう…」ともなりましたが(笑)

どんだけ初代の映像見てるのこの子…

 

 

BDのブックレットの橋口いくよさんのインタビューを読むと、

初代のキャラクターは解散や新生のことも含めて作り出されたのだと分かります。

小説版でも未来の自分がその時の自分をどう思うか、という視点が時折入って来て、

彼らが無邪気に信じていた輝く未来が、ずっとは続かなかったことがうかがえます。

少年ハリウッドは最初から「終わりありき」の物語なんですね。

それぞれの悩みを抱えたりしながらも、キャッキャ笑いあってる小説版の初代の姿を読むと

そんな時代が終わりありきで作られたものだということに胸が痛くなりますが、

第13話でシャチョウが語る「アイドルという物語の永遠性」を描くためには

初代が解散すること、それを知っている新生が産まれること、両方が必要なんですね。

「終わりありき」の中でどのように「永遠の輝き」を見つけ出すかは

初代を受け継ぐ新生が誕生しないことには、

そして両者を繋ぐ人物がいないことには描けません。

橋口いくよさんがブックレットで初代、新生のトミー二人を表した表現

「過去と未来で同時に生まれたお互いなくてはならない運命の二人」という言葉は

少年ハリウッドという一連の作品の初代と新生それぞれのメンバー全体にも言えることかな

と思いました。

 

その「終わりありき」の物語であることが

アニメの方ではっきりと示されたのが第3話からでした。

少年ハリウッドはメインとなる登場人物にスポットが当たる、いわゆる個別回でも、

常に作品全体のテーマや、その後の回に繋がったり関わっていく描写があちこちにあります。

中でも、第3話と第4話は「終わりがあるものにどう向き合うのか」という面で繋がっていて、

どちらも初代メンバーに背中を押されて進むという所ではよく似た形になっていました。

第3話で初代トミーから「少年ハリウッドのトミー」をミィが継承し、

続く第4話でもまた初代シャチョウから今のシャチョウが引き継いだものが語られる。

二話続けて作品全体のテーマのひとつである「永遠とはどういうことか」が描写されることで

私達に強い印象を残して行きます。

それでいてトミーやキラも、シャチョウも、登場する初代メンバーも、

「テーマの為のキャラ」になってないんですね。

彼らが決意したり、悩みを克服したり、人知れず何かを残そうともがいたり、それを認めたり、

その行動や想いがテーマを自然に体現している。

台詞でズバッとテーマを言う時もありますが、

その時も必ず発言者の経験や人柄が土台となって生まれた台詞となっている。

フィクションの基本とも言えるものかもしれませんが、

これ、実際やってのけるのは難しいですよね。

時に度肝を抜く回がある少年ハリウッドですが、

こういう基本がすごく上手くて丁寧に作られている点が私は好きですし、

尊敬する所でもあります。