さわやかサバイバー

好きな作品の感想を書いています。カテゴリー一覧は50音順で並んでいます。

GIANT KILLING 単行本第44巻感想

単行本キャンペーンのETUピンバッジ届きました(バックは昔購入したレプリカユニ)

f:id:sawayakasurvivor:20170814191335j:plain

 

ここまで正攻法搦め手、様々な方法で選手を導いてきた達海がこの大一番のハーフタイムに何を根拠に選手を鼓舞するのか?

答えは意外なものでした。

 

続きからネタバレ感想

 

 「正解はモチベーションだよ」

黒田じゃないですけど「それが答え?」ってなりましたよ。え、ここに来て?戸惑っているうちにモチベーションを高めることで変わるプレーの質、それがETUの選手にできる根拠は順位が示している、と達海は理由を述べていきます。そしてトドメには

「それでももしテメエの可能性をそこまで信じらんねえ奴は…」「俺のことを信じろ」

言ってることは普遍的なことです。しかしここまでの信頼の積み重ねや実績があるから響く台詞なのだと納得がいきました。しかしここまでド直球の台詞をこの山場に持ってくるってツジトモ先生の胆力もすごいよ。なんかちょっとヒネった台詞ドヤ顔で入れたくなるんじゃないんですか。

 そして後半直後の観客煽り。こんなこと初めてだ!藤澤さんが予想するように街のサポーターの力を確信したから行ったのだとすると、スタジアムでサポーターを続けた羽田の頑張りや旧サポーターや潜在的サポーターとの道を繋げたゴローさんの道のりが報われたのだとジーンとしました。

 

そんな今までを集約するような要素積み重ねてきて最初の交代カードが石神さん!?と驚きました。いや石神さんは大好きなんですけどグワーッっと盛り上がって別にクールダウンとか切り替える必要とかないと感じてたので、いつも飄々としてる石神さん入れる理由が分からなかったんですよね。

 しかしその采配は私だけではなくヴィクトリーの裏もかきました。サイドバックの石神さんの上がり、そしてゴール!いやもう、いつもの調子で決めちゃうのが石神さんらしくてたまんないすね!直前には椿がチャンスメイクし、ヴィクトリーがそれに気を取られていたという展開があったからここまで石神さんのプレーがはまったとも言えるのですが、あそこで決められなかった椿とさらっと決めちゃう石神さんではやはり年季が違うなと(笑)単行本オマケの「いいっしょ たまには目立っても」がまた素敵だ。いいよー!

ブラン監督がここで言っているのは点差が0-2から1-2に変わった時によく言われることですね。ましてや今回は因縁の相手に1-3からの追い上げ、ETUが勢いづくのも必然です。そんな時に!あのジーノが!守備をしたってんだから!わー雨が降る(笑)コータたちにも「奇跡だ」って言われてるし。心中は分かりませんが達海の言葉を受け、ジーノなりに自分がどんなプレーをすれば他の選手のモチベーションが上がるか狙ったのかもしれません。実際スタンドは大盛り上がりだし、ボールを繋げた赤崎や椿の集中も高めたようです。結果とうとう同点に!夏木が決めたんだから世良も決めないとね!よかった!

 

しかし試合が振り出しに戻ることでヴィクトリー側の状況も変わることになりました。強烈な勝利への執念で前へ前への意識が強い持田と、平泉監督の指示を受けてバランスを取ろうとするシャリッチの考えのズレが、点を取らなければ勝てない状況になったことで持田の戦い方に合わせることに。状況がそうさせたと見ることもできますが、やはり持田のカリスマ性や特にこの試合にかけた執念がシャリッチや仲間を動かしたのだと思います。平泉監督の思惑も超えてピッチ上の王様としてヴィクトリーを支配し始めた持田はプレーもさらに存在感を増し、点こそ入れないもののETUのゴールを脅かしてきます。

しかし達海は交代はフォワードだけに止め、選手の反応を見極めようとしています。そこで達海の意図を読み取り、今の自分の全てで持田に挑もうとしてるのが椿ってのが熱いじゃないですか!ここまで椿は試合の局面を変える働きをしながらもゴールには絡めませんでした。そしてどう転んだって持田の積み上げたものには及ばないと感じています。しかしもはや椿は落ち込んだりしていません。信頼する達海がお前たちのモチベーションは武器になる、高めればヴィクトリーの選手にだって追い付けると言ったからこそ、今この思いで試合を戦おうとしているのです。冒頭とラストが繋がる構成は痺れますね!

因縁で言えばやはり椿がゴールを決めて勝利してほしいし、そのお膳立てが整ってきたようです。一方、次巻予告ではとうとうその時が来たのかという絵もあり、その時を受けてみんながどう反応するのかも気になります。あと前から言ってるけど村越さんに持田見返してほしいと私思ってるからね!