さわやかサバイバー

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GIANT KILLING 単行本第50巻感想

ジャイキリ第50巻の表紙、リアル日本代表のポスターみたいなかっこよさです。ていうか50巻か…すごいな…!

単行本が発売されたころ、ちょうどリアル日本代表もアジアカップで(それも狙っていたのだと思いますが)照らし合わせて読むと楽しさ倍増でしたね。イスラム系の服装でスタジアムが真っ白とか。ジャイキリで見たやつだ!(進研ゼミ)

 

続きからネタバレ感想

 メタなネタでいえば描きおろしオマケ漫画の黒田の「なげーよ」も笑った。だよね。そんなわけでETU選手陣が中継見てるひとコマとかじゃなくガッツリ出るのも久々な感じです。椿の活躍を受けていい刺激だけじゃなく焦りや悔しさもある、と素直に話す世良。そうか、若い世代にしたら現役でETUから代表が出ること自体が初めてなんですね。元代表や代表候補はいても。降格圏内つづきだったETUでは代表入りもどこか他人事だったのかもしれません。椿の代表での活躍は彼個人の成功にとどまらずETUの選手たちの自分自身の価値と可能性を引き上げる働きもしてるんだろうな。

戸惑いも含んだ新しい刺激をモチベーションへと導く杉江が頼もしいです。最初の頃だったら村越さんに任せて自分からはこういうこと言わなかっただろうな。緑川さんのお墨付きだ。ここの緑川さんの軽口も照れる杉江もかわいかったんだけど、ランニングできるくらいに緑川さんが回復してるのが分かったのも嬉しかった。スタメン復帰は難しいかもしれないけど、まだまだ現役で活躍してほしいよね。

 

 話題にされてる当の椿は徐々に自信を深めていました。「ひょっとしたら俺…ちょっと上手くなってんのかもしれないです」って、日本フル代表になっといてその言葉はささやかすぎるだろ…でもイケイケになる椿は考えられないし椿らしいと言えるのかな、と思っていたんですけど…花森との交流は意外な方向に。どう考えても椿や窪田くんが人をいじるタイプではないのに、花森がいじられてる感じになってるの愉快で楽しい。天然ボケが集まるとこうなるのか。他の人が「またやってる」とスルーする花森の言葉を真に受けて三人で芝の上川の字になってるのとかシュールだ。

しかしこれが真面目にいい影響を及ぼしていくのがまた面白い。自分に自信がなくて試合で躍動してもすぐ落ち込んだりを繰り返していた椿にとって「日本を代表するエースでなくては」とあまりにも強い自負でのぼりつめた花森の言葉が作用するのは予想外の化学反応でした。持田が日本代表になっていたらこういうことは起こらなかったと思うので(椿たぶん近づけない)巡り合わせだなあ。

 

決勝トーナメント準々決勝の相手は試合後にモレッティ監督が教えてくれた通りUAEとなりました。グループリーグ1位で突破したのに結局開催国相手かーい。ともあれモレッティ監督、非常にナイスキャラだったのでぜひ再登場してほしいですね。

モレッティ監督と中国もそうだったように、遠く離れた文化の人同士が繋がるのは全世界に広がるサッカーという競技のよさを表してていいなと思います。

育成世代で結果を残すもトップチームでつまづいた監督と認められにくい地域で上を目指す選手が出会った時に生まれる情熱のうねり。両者の勢いに日本は押され気味で先制されて前半を終え、コンディションの問題もありどこかで弾けないとジリ貧という状況です。

ボーダーラインにいるのは日本というチームだけでなく椿もそうで、カメラマン久堂さんによれば日本代表にとって一時的にノってる若手か継続的に必要とされる選手になるか結果を残すことで変わってくるのではないかということらしく。その流れで海外移籍の話も出たんですけど正直えっ椿もう行っちゃうの?ヤダ!って思ってしまいました。達海がETUの監督離れることはありえるかもと薄々覚悟はしていたんですが、椿はその後のETUに必要な人間だと感じていたので…でも世界を見ると20歳で活躍する選手はたくさんいるわけで、ありえる話なんですよね。椿にはこれからさらに大きい選手になってもらいたい、でもETUにはもうちょっといてほしい。ジレンマ…!