さわやかサバイバー

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ジョジョの奇妙な冒険 第1部漫画感想

twitterに上げたジョジョの奇妙な冒険の漫画感想をまとめたものです。

2013年頃のもの。アニメ→漫画の流れで触れました。

 

続きから第1部ネタバレ感想

 少年編

石仮面以前の第一部のお家乗っ取りのストーリーとか雰囲気も好きです。いいよねヴィクトリア朝

文庫版だから修正されちゃっているのか…(「何をするんだァーッ」)

第一部終盤の印象から、完璧超人筋肉紳士みたいなイメージがジョナサンにはついてまわるんですが、木へのイタズラをエリナにもったいぶったり、隠れてパイプふかしてたり、ディオにやられていじけたり、普通のボンボンだったんだなあとあらためて。

ディオの野望を知って阻止しようとすることでジョナサンの成長を促し、その結果ディオがさらなる力を得ようとし、とお互いがあっての二人な関係が面白いですよねえ。二人がここに揃っていなければ、その後の物語も始まらなかったと感じさせられるのが上手い。…っていうようなことは、これまで100万回ぐらい言われてんだろうな。

アニメ見た時、「君がッ」「泣くまで」の後ディオが涙を流したのは、ジョースター卿が近くまで来ているのを察した上でのパフォーマンスかと思ってたんですが、声を掛けられた時とっさにナイフ隠してるから、本当に悔しくて泣いてたのか。

泣くほど(しかもあの泣き方)悔しかったのかと思うと、ディオもあれで12歳だったんだなあ。そんでそれを見せてしまったのがまた屈辱だったんだろうな。しかしその後の復讐の仕方は12歳ではない。単行本でジョナサンとダニーが仲良くなったきっかけを初めて知ったので、むごたらしさが倍増ですわ…

母親に苦労をかけて死なせた父親を憎み、そんな父親の血が自分にも流れていることに苦しむ「人間」ディオが好きです。

 

青年編

 仲間を「おめえっち」とか呼んでる初登場の時点でスピードワゴンさんがすでにキュート。

「酒!飲まずにはいられないッ!」の時のディオの服装が好きです。アニメのEDのもカッコよかった。憎んでいる父親と同じことをしている、ともがいている人間臭さがまたいい。

(帰って来ましたジョナサン待ち構えてましたピクピクからのニコッ)それはバレる。いくらなんでもごまかせねえ。

アニメを先に見ているせいで、黙読しているのにスピードワゴンの声が脳内再生されてうるさい。具体的にはジョースターさぁん!」が特にうるさい。

「悪くないぞジョジョ…」悲しいけどいいシーンだ…その後のスピードワゴンの台詞は第一部最後のことを思うとまた感慨深いです。

燃え盛るジョースター邸。いやあ、ここは熱いですよね。アニメの方もすごく良かったので単行本読んでるとアニメ見返したくなります。

自分もろともディオを焼きつくそうとしている時のジョナサンの独白にサラッと「ぼくの祖先たち」という考えが入って来るのが、なんだか貴族的だな思います。ジョジョに限らずですが、こういう「自分では思いつかなかったけど、確かにその人物が言いそうなこと」的な、予想外の台詞があったりすると上手いなあと感じます。

 

「力不足だと知っているけど、ほんの少しでもあの人の力になりたい…」スピードワゴンさんの圧倒的ヒロイン魂。

「まあ 大きくなったですって?それはあなたの方ですわ!」195センチだもんね!!

初登場の時のツェペリさんの帽子はあの模様じゃなかったんだな。あと遠目から描かれて簡略化されてる時のツェペリさんの顔がなんとも言えずかわいい。

波紋が吸血鬼に効果がある理由を説明されてる時の、勢いで丸めこまれるんだけど、よくよく考えるとあれ?な感じは山田風太郎作品を思い出す。

アニメ見る前はスタンドをなんとなく知っているぐらいだったので、ジョジョにおいて初めて主人公が取得した技が「関節外して腕伸ばす」だと知った時は衝撃でした。やわらげるけど痛いのは痛いんだ!ガマンするんだ!

ウインドナイツロットあたりからまた格段に「いいな」と感じる絵が増えてきたように思います。月を背に登場するディオとかいいですよね。「いかにも悪役っぽい所に立ってんなー」とも思うんですが。

単行本で一気に読んでるからまだいいけど、「たとえ話」「歴史裏話」「ウインドナイツ・ロットの知られざる騎士の試練」とかは週刊連載の時どう思われてたんだろ。「またかよ!」だったりしないのかな。話に膨らみが出て面白いのは面白いんですけどね。

絶体絶命のはずなのに、タコだの蛇だのネズミだの、ジョナサンの脳内アニマルランドっぷりを見ていると結構余裕じゃないかと思っちゃう。

「三百年たった世界の友人よ」いい台詞。

ツェペリさーん!フラグは立っていたけど、あっさりやられたのでビックリした。しかしそれで盛り上がらないかといえばそうではないのが凄い。

他の人の感想で「JOJO vs DIO」ではなくて、「&」なのがまさに二人の関係を表してるというのがあって、なるほど深いと思いました。そこに気付くのもすごい。

アニメで印象的だったディオの両手指差しポーズは原作では結構ちっちゃかったのね。あのポーズをあんなに堂々ととる人がいるなんて…

正統派ヒーローのジョナサンが「恨みを晴らすためにきさまを殺す」と言い切っているのが意外。でもそう思うだけの経緯が描かれているので彼のヒーローとしての姿が貶められないんですよね。もう少し年代が後になると、色々悲劇があったり苦悩したとしても、最終的には主人公が悟りを開いて「お前を解放してやるよ…」みたいな感じでラスボスを倒す作品が多い印象。ジョナサンのはそういうのよりばグッとシンプルで血が通った理由に思えます。これは年代的なものかな。それとも荒木先生独特のものかな。

「このストレイツォ容赦せん!」この頃から言ってたのか。チベットで流行らせようとしてたのかしら。

「炎と氷 ジョナサンとディオ」あっ、比喩だけじゃなくて戦い方ともかかってたのか。(アニメ見てたのに「その3」くらいでやっと気付いた人)

首だけになったディオがジョナサンとの関係を語るシーン、第2部以降は初めから特別な能力を持った人々の話になるけど、第1部は普通の人間だった彼らがここまでの宿命になる話なんだと、あらためて感じられて感慨深いです。この二人が原点であり始まりなんだよねえ。

「炎と氷 ジョナサンとディオ その5」の表紙のジョナサンいいなあ。

熱い戦いの最中に「エキス(EXTRACT)」「エキス(EXTRACT)」てディオ、やめろ、ここで笑わせるな。

アニメではカットされてましたが、ワンチェンともそれなりに因縁があったんですね。結構要所要所に関わってたんだな。最後の展開のカギも彼の感情からの行動ゆえの結果だし。

小鳥に涙したり、ジョナサンとの別れを詩的な言葉で語っていたロマンチック系乙女だったエリナが第2部であれだけたくましくなっているのがいいなと思います。人の強さを信じるこの作品のテーマがこういう所にも表れてる感じがします。

宿命の相手の首を抱えて果てる、という、二人から始まった物語が最後にまた二人に収束していく美しさったら。