さわやかサバイバー

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ジョジョの奇妙な冒険 第6部漫画感想

twitterに上げたジョジョの奇妙な冒険の漫画感想をまとめたものです。

2013年頃のもの。第3部以降は漫画で初めて触れました。

 

続きから第6部ネタバレ感想

 スタンド発現

第5部の時に独特な始まり方だなと思ったけど、第6部も思い切ってるな。開始直後にこの話題って。

それでも「左手薬指の関節でわかる」とか、急に思ってもみない方面からの言葉が飛び出して、読者はその話題についての見方の方向性を急に変えられてしまう。突拍子もない話題で引きつけた後、それを捻ることで、一段深く心を掴まれるように思いました。

ミステリアスな面を見せた直後にパンツ履いてないことを思い出してへっぴり腰の徐倫マヌケかわいい。

エルメェスは「最初高圧的な態度で接してきて反発した徐倫と揉めるんだけど、最終的に『アンタなかなか骨があるな』って認めてくれて打ち解ける」感じかと勝手に思っていたけど、最初から気のいい姐さんだった。

ボーイフレンドとはしゃいだり、昔のことをとぼけたりする徐倫のハイテンションは、作ってるんだろうけど、これはこれでかわいい。

「メガネがフロントガラスにつきささっている」ことを根拠に死んでいると判断するってことはつまり…メガネが本体か。

スタンドが発現してから割とすぐに冷静に性能を調べたり、早速弁護士に復讐する行動力は血筋を感じる。

インコの中にちっちゃい人、ってホラーだなあ。見た目のインパクトかなりある。

ヒロイン+獣化ってふつうもっと萌え系にいくもんじゃないの…

力関係とか、囚人同士の取引に使うものといった刑務所あるある面白い。

 

承太郎登場

徐倫の元にやってきた承太郎。いやあ、変わってないな(若さが)っていうか、変わったな(絵柄が)っていうか。

刑務所に入る娘の身を守るためにとっさにとはいえ、スタンド能力はトラブルも引き寄せるし、だいたいそんな個人的なことで娘をスタンドに関わらせるかなあ、と思っていたけど、そういう理由でしたか。それにしたって第一声はもうちょっと娘を気遣ってもいいんじゃないの。

「物語」のヒーローでも「日常」での父としてはそううまく行ってないのが面白い。そういう姿を描かれる、ということ自体が珍しいですよね。あっ、でもジョセフの時は父親失格の姿もすんなり受け入れてたな私。どうも「ジョセフならまあそういうこともあるだろうな」って思ってる節があったらしい。

徐倫が握った手の温かさを、その温かさから感じるいたわりを理由に、相手を助けようとする感受性と優しさがいいなと思いました。それと同時に危険を承知で人を助ける意志の強さは父親譲りだなとも。

手が込んだ新しいスタンドを出しておきながら夢オチて!しかも2段階て!ある意味贅沢だな。かと思ったら回収された!

 

DISC捜索中

スタンド能力のなかでもエルメェスのシールは好きです。えっ、これどう戦いに使っていくんだろうという予測のつかなさと、ワクワク感があります。

マックイイーンの話の所ですが、人の話を聞かないくせに行動だけはやたら速い人って、現実でもやっかいよね…

「恩返し」の言葉に照れる→「なにをやってんだぁあああああ」のコンボでエルメェス姐さんへの親近感がグッと増す。

徐倫は歴代主人公の中でも一番タフじゃね?って評判を聞いたんですが、序盤のトラクター探索の時に、もうすでに随分たくましい。トラクターに目を付ける冷静さも、自分の身を顧みずにエルメェスを助けに行く正義感もカッコよくて惚れそう。

 動物どころかミジンコ…

フー・ファイターズえらいかわいくなったな!

 

DISCをめぐる攻防

塀の中でのキャッチボール。来た、日常のなんてことない遊びが厳格なルールを適用される事で恐ろしい賭けになるパターン! 

 ギャグっぽい描写はちょこちょこあったけど、F・Fの変な投球ポーズでキャッキャ言ってるみたいな、普通でほんわかした場面が今までなかったのでホッとする。閉鎖空間で命狙われてるんだから難しいだろうけどなー。

相手が賭けに乗って来た時といったら?はいエブリワンセッ「グッド!」 

 鉄格子越しにボールをストーン・フリーが一度バラしてキャッチした後、徐倫が野球のルールを語るシーン、どう知ったにしろ、彼女は本当は父親からそういうことを教えてほしかったんじゃないかなと想像してしまう。

 奇抜な格好して決めポーズ取ってるのに「ちょっと鼻息がなまあたたかい」とか紹介されるギャップがいいと思います。

ラング・ラングラーの恰好がすご過ぎて、こいつの方がスタンドかと思った…

 

 ああ、ここが序盤の山場になるのか。徐倫の事を知ってる神父と、神父が敵だとは知らない徐倫では神父の方が有利かと思ったら、正体がバレてないことが足枷になるとは。スリルある邂逅だ。

 かと思ったら対策してたよ。

 ヤドクガエルの雨はちょっとこじつけ感がしないでもない。

精神の行き着く先の「天国へ行く方法」という最終目的を持っている(ミステリアス)、落ち着きたい時は素数を数える(ユニーク)、800ドルもするズボンに蛙がひっついて来ておかんむり(俗物)。一気に属性盛り込み過ぎでは神父さん…

不死身!や不老不死!でテンション高く喜んでたDIOさんが精神面での幸福を求めている姿を見ると自然と笑みがこぼれてきてしまうな。

ラング・ラングラーとの戦いからここまで一気に読むと、DISCを財団に渡せただけで「徐倫成し遂げたーっ」と気を抜いてしまうのだけど、当の徐倫はそれどころか敵の正体まで探ろうとしてたという…すごいわ徐倫

 

スポーツ・マックス 

「ブタの逆はシャケだぜ」まごうことなきモブなのにこの台詞の圧倒的インパクトったら。 

 「愛と復讐のキッス」ってサブタイトルいいですね。

 ジョナサンがウィンドナイツロットでディオと対峙した時もだけど、荒木先生は恨みや復讐を否定的には描いてないですよね。しかしどんな場合でもという訳ではなく、ジョナサンもエルメェスも、それをきっかけに自分を先へ進めるためのものとして描かれてるような気がします。

 「もうこの復讐がすんだらどうなってもいい」「これが叶うなら周りがどんなになっても関係ない」という姿勢ではない。吉良の、自分の求める生き方を行うための犯罪とも似てると思うんですが、前向きなものを含んでいる復讐というか。

 あ、吉良は周りの事どうなってもよかったか。ええと、一般的に正しいと思われていなくても、人が前に進もうと、自分らしく生きようとする力や行動を肯定的に描いている所は似てるなと思ったんです。

決着がついた後、エルメェスが思いっきり泣きたいと思ったのも、それが徐倫のもとでというのも、いいですよね。目の前で泣ける相手がいてよかった。 

 

 緑色の赤ん坊

突如始まる「激闘編」。いや相変わらずの独特なスタンドのルールや「これどうやって勝つの」と思うような相手の攻略法とか面白いんですが、この全体的なファイッ!ファイッ!への路線変更は戸惑いました。 単行本でまとめて読んでるからまだいいけど、連載時に追っかけてたら、いつまで続くのか不安になったかもしれん…

そんな中でも、ファッションから言動から「この人をどう受け止めていいか分からない…」状態だったアナスイが、徐倫に対していろいろ企むけど見事にスルーされるおまぬけ属性がついてちょっと親しみやすくなった所だけはホッとしました。 

 

 分かりづらかった承太郎の愛情の深さが、記憶を奪われるという悲劇的状況の中だからこそ浮かび上がり、娘に通じると言うのは皮肉だとは思いますが、それでもやっぱり通じてよかった。

危機が迫って初めて親の愛情を知るというパターンだとシーザーを思い出してしまうんですが、今回は間に合ったんだな…

まあそれでも「帽子は死守!」とか同時に思ってしまってごめんなさい。

 

ヨーヨーマッとの戦いは下手に見えてふてぶてしい態度とか、攻撃の痛そうな感じとか、状況がじわじわ悪くなっていく感じとか、相乗効果になって読んでるとモゾモゾする。 「うん!うん!」言ってる徐倫がかわいいのが一服の清涼剤。

 こう、突如「湿地帯に棲む生き物たち」とかいきなり動物や虫の知識が出てくるの、嫌いじゃない。荒木先生ホント生き物好きなんだな。

 ロボットものとかでもあるじゃないですかこういうの。人の生活に触れた無機質な存在が、どんどん人間らしくなってきて、たわいもないことを大事な思い出にしてるとか言うの。人が見落としがちな真理を見つけるとかいうの。…弱いんだよやめてくれよ好きだけど。荒木先生の場合はその思い出に先生独自の「えっそこ?」と思うような視点が入って来て、余計印象深いんですよね。

赤ちゃんなのに…かわいくない…しかも緑…

正体が人じゃないからこそできるF・Fの戦い方が色々目からウロコ。緊迫した戦いではあるけど、足だけが走って行くのとか絵的にも面白い。

徐倫にないがしろにされればされるほど、アナスイが輝いていく…

ゲームのPV見た時も「おまえの正体に到達できるなんて!お前に再会するなんて」の台詞は熱いなと思っていたけど、ちゃんと読んでそこまでの道のりを知っていると重さが増しますね。

  「友情があった」「ただ単に利用するだけのつもりだった」と諸説あるDIOプッチ神父の関係ですが、私はDIOもたまに「穏やかに神父と語れるような奴になりたい」って時があったんじゃないかなと思う派です。

 迷うことなく自分の命よりも承太郎の記憶を優先するアナスイの愛情の深さに見なおした所ですが、そんなときにも命令口調なのな。

 「さよならを言うあたし」は悲しいけど切なくて美しくて大好きなシーンです。ただ生命を与えられたという存在から、自ら選択した行動によって生まれた思い出を、考えを、自分の存在意義とし、それを全うした生き方はうらやましいほど素晴らしい。

 

 刑務所の人、イメチェンしたプッチに向かって「お髪がのびましたね?」って。「のびましたね?」どころの話じゃないだろ。「ジョルノ金髪になったってよ」の時といい、この世界の人は髪型に関しての許容が深い。

 スタンド「ジェイルハウスロック」のデザインはなんかかわいい。脳みそ丸出しなのにどこかロボっぽいし。

エンポリオが新喜劇みたいな事になってる…

最初はこっちが引くぐらい強烈だったグェスの方が引いてる。

出た、時々ある「疑わしければ殴ってみりゃいいじゃん」展開。

エンポリオ徐倫と再会できても新喜劇みたいな事になってる。でもチョコレートケーキの話してる徐倫はかわいい。 

 

 DIOの息子達

アナスイとウェザーが男二人旅を始めた所で、子供の友達どころか子供のトラウマになりそうな童話の住人が出てきました。

ボヘミアン・ラプソディーの倒し方はなんだか「全ての願いが叶うのが願い」的なちょっとした反則感を感じないでもないけど、ゴッホにヒーロー作らせるという発想は好きです。変なヒゲだったけど。

徐倫が最初の頃とは遥かに違うステージに行っちゃってるのもあって、ロメオとの再会は私が思ってたのより違った結果に。あと「悲しげでミステリアスな少年」だったエンポリオが外に出た途端「やっぱシャバは違うなあ~」とか俗っぽい話し方しだしたのも予想外。どうした。

第6部になっても荒木先生の図解好きが相変わらずでにっこりしました。「オスとメスの区別はヒヨコ屋さんならきっと見わけられる」の文に萌え。ヒヨコ屋さん…

 

ウェザー・リポートとプッチの過去の話はそれだけで映画1本できそうなくらいのエピソードですね。

答えを求めようがない途轍もない出来事が自分の身に降りかかったとしても、スタンドに関わらなければ、悩みながら人として生きていく道もあったと思うのですが、そこでDIOに出会ってしまったというのも、またDIOがそのような人に出会ってしまったのも、「引力」で済ますのかどうか。

その状況でもプッチにはまだ選択肢はあったはずだ、と言うのは彼にとって酷な気もします。あれだけのことがあったのだから。だからといって彼のその後の行動を肯定する気にはなれないし…難しいですね。

他のスタンドバトルとは違ってカタツムリ化は理屈もなかなか分かってこないし絵的にもアレだしで、結構しんどいッス。

「そよ風の中で話がしたい」第6部の別れの場面は悲しいけど詩的で美しいですね…

「運命」はどうしようもなかったけど、アナスイが言ったように、徐倫の行動やその影響によって、彼の心が救われたのが希望だというのは今までもくり返し描かれていることですね。

 

 ケープ・カナベラルにて

徐倫も自分の行動に苦しんでいるし、重い展開だな、と思っていたらなにこのラブコメ

今頃になって主人公のスタンド図解が。

ラスボスの影響が今までの部の比じゃないくらい大きくなってきた。そう考えると、今までって割と狭い範囲で決着着いてたんだな。

アナスイ「死んでないなら戻ってくるヤツだ」というエルメェス評が上手い。

メビウスの輪…!この度胸の座り具合、確かに父娘だわ。

最初の頃、こちらに伸ばされたと思って裏切られたその手が、今自ら進んで徐倫の手を包んでいることにジーンとする。

メイド・イン・ヘブンのデザインカッコいいなあ。

あの承太郎に二度聞きさせるレベルの「お嬢さんをください」の空気読めなさすごい。

意外と現実的に結婚の可能性考えてたんだなアナスイ。そんでこんな緊迫した状況の中で、修復された父娘の関係がこんなホンワカした形(お前にはやらん)で表れるとは。娘気付いてないけど。

自分が暗闇だと知っているから、冗談めかして本人の前で求婚したんだろうけど、その相手に「あなたの考えには希望がある」と言われるのはどんなに救いになっただろう。後ろ向きで震えているコマが感慨深いです。いつの間にかいいキャラになったなあアナスイ

突然の岸辺露伴

うわあああナイフが!第3部の再現が!承太郎的にも読者的にもこれキッツイ!

「ひとりで行くのよエンポリオ徐倫のこの誇り高さがまばゆくて悲しい。続けて描かれる朽ちていく仲間の体もやりきれない。もうエンポリオとシンクロしっぱなし。

第6部のラストは悲しさの中に希望があって好きです。って、思い返すとどの部のラストもすごい好きなんですが。

それまでに関わって来た人々の多くの思いや行動が集約されていくクライマックスは圧巻でした。しかしプッチは自分の運命のために人々の思いがあると考えていたのに対し、エンポリオの方は人々の思いの結果、その運命になったという印象です。

ラスト、また「運命的」に関わり合っていく彼女達ですが、それはプッチのいう「運命」とは違うのだろうと感じます。上手く言えませんが。

アナスイにとって徐倫は自分の魂の救いの象徴として、徐倫にとってアナスイは未来への希望の象徴として、求婚を申し込み受け入れたのだと思っていたので、ラストでちゃんと報われたのが意外でしたが良かったです。お父さんに許してもらえるかはまた別として。

エルメェスの口ぶりからお姉ちゃんも生きてるのかな…

開始の時とは違う、優しい雨が降る所で第6部の感想を終わります。