さわやかサバイバー

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エージェント・ウルトラ

エージェント・ウルトラの感想ツイートをまとめたものです。

 

私立探偵ダーク・ジェントリーのマックス・ランディス氏が同じく脚本を手掛けたエージェント・ウルトラをネットフリックスで見ました。マヌケで憎めないキャラ造形とか、ふいに滑り込む心情吐露とか、これがマックス氏の味わいなのかなという所が感じられて満足。

冴えないコンビニ店員の青年が襲ってきた暴漢をスプーン1本で撃退。自分でもなんでこんなことができるか分からなくて混乱しているうちに次々と襲撃者がやって来る。どうやら封印されていたCIAのエージェントとしての能力を覚醒させられたらしい、というストーリー。

 

全体的にはB級アクション!って感じでした。ノリは軽いのにポンポン人が死ぬよね!雑貨店で戦う場面は「バタバタしたイコライザーだな!」って思ってしまった。身近なもので殴られるの見るのは銃で撃たれるとかよりもイテテテってなる。イコライザーの「売り物を使ってスマートに敵を撃退したのち綺麗に拭いて売り場に戻す」というのもどうかと思ったけど。買いたくない。

 

ハチャメチャな登場人物ばかりなのに、フッとしんみりさせるのが上手くて。襲撃者の一人が「自分でもどうしようもなく、こうするように作りかえられてしまった」と話す一瞬で主人公の共通点を作り哀しさ漂わす場面とか、よかったです。

マックス・ランディス氏の作品見るの2作目なんですが、2作とも主人公の家が死んでた。主人公の家に厳しいマックスたん。これはひょっとしなくても象徴なんでしょうね。両方とも今までの自分を壊されて、痛みは伴うけどそれが自由や新たな出発に繋がっているので。

エージェント・ウルトラでもダークジェントリーでも主人公は一度大切にしていたものを壊され、隠していた自分を暴かれ、最低最悪な事態に落ち込みながらも自分を受け入れそこからもう一度歩きだす。スラップスティックにやっててもこういう青春物語っぽい所が根底にあるのが好き。そして出発の時にはパートナーや相棒ができているのがいいんですよ…

エージェント・ウルトラでの結構指輪やダークジェントリーでのロトくじのように、場違いのようで主人公のミクロな物語を感じさせるアイテムを視聴者に常に意識させてるので心情吐露の場面にスッと入り込めるのだろうなあ。

 

ダークジェントリーのファンとしては、リギンズとダーク、ラセターとマイクの関係の相似とかニヤニヤしました。あとイェーツにフリードキンを感じてしょうがなかった。キャラ造形もなんですが吹替えの台詞のニュアンスとか。敵ポジションなんだけど腹立つ!っていうよりア、アホだー!ってなるあのニュアンス。翻訳同じ方なのかな。ダークジェントリーは小尾恵理さんだったけどエージェント・ウルトラは表記がなかったので。