さわやかサバイバー

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キリング・イヴ シーズン1

WOWOWで放送されたドラマ「キリング・イヴ」シーズン1の感想ツイートをまとめたものです。

 

続きからどうぞ。

#1 その顔、すてき

暗殺者マニアで好奇心からつい権限越えた調査をしてしまうオバチャンMI5捜査官と、美貌の若き暗殺者という組み合わせだけでも個性的なのに、会話が軽妙でかなり好みでした。しまったWOWOW加入してないのに続きが気になるぞ…

いままで暗躍していたけれど自己顕示欲が出てきた暗殺者のしっぽを捜査官だけが気付き、追いつ追われつしていくうちに二人の関係が変化していくとか。うわ何それ気になる。

吸い込まれそうな大きな目とシュッとした鼻筋の、少女みたいなみずみずしさを持ちながら淡々と殺しを行う暗殺者、というのはまだあるとしても、その相手にサバサバした変わり者だけど優秀な中年女性捜査官を配置するってのが新鮮。で、見たことないのに面白そうに思わせるのすごい。

 

 

#2 あとで行く

キリング・イヴ第2話、ほっほー追い追われることで「本当に自分が求めていたものに火をつけ燃え上がらせる相手」として引かれ合っていくんだなー!

平穏な日常に不満を持っていたイヴは「正直なところファンなんです」と暗殺者マニアであること明かし、証拠を残さず仕事をしてきた殺し屋ヴィラネルはそれに飽きて危うい行動を取り始める。お互い本当の私を見つけてほしい、という願望があるのかな、と。

人がサクサク死ぬわりに淡々としたおかしみがあるのが魅力だけど、イヴが正義感で暗殺者を追っているわけではないところや、ヴィラネルサイコパスな面を考えると、あっけなく恐ろしい展開になりそうなスリルがあります。

手を血まみれにした男性がビルの窓を叩いている。
バスの乗客が見つけてスマホを手に取り警察へ連絡…
かと思いきや「ママ?なんか買ってくるもんある?」とか、ザ・イギリスて感じのブラックユーモア加減。

そういうこのドラマのディティールがすっごいツボなんですよね。さあ新天地!と向かった職場がボロいビルで「すごい匂いでしょ」って何人も言ってくる天丼とか、だめこういうの、好き。

 

 

#3 また会えた

キリング・イヴ第3話「ああこれサスペンスでしたねー!!」って思い知らされましたね…全8話だもんな。いつまでも愉快な追いかけっこしてるわけにはいかないもんな。でも本当に会話が楽しいドラマなので延々それだけ見ててもいいなってくらいだったのだ。過去形で言わなきゃならないのが辛い。

冒頭、ヴィラネルモンタージュ作成に協力するイヴの話が内面を探るように進んでいくの、暗殺者マニアらしいイヴの性格がよく出ててよかった。ドラマの最初からアップでヴィラネルについてのめり込んでいくように語るイヴ、ヴィラネルとの緊張感を持った引力が伝わってきました。

 モンタージュ作成だっつってんのに、内面をこんこんと語るイヴに「で、輪郭は?」って最後にツッコミが入るのが楽しい。こういう抜けが絶妙に上手いんだこのドラマ。

 

 今回はベルリンが舞台だったのですが、イヴにはスーツケースやタクシーを使っている「旅行である」という描写が入るのに対し、ヴィラネルはそういったものがなく「いつの間にかそこにいる」風に描かれているという撮影秘話が面白かったです。

いつの間にか日常に紛れ込むヴィラネルの暗殺者としてのレベルの高さがうかがわれ、またサイコパスが日常に紛れている恐ろしさを作り出す目的なのだとか。なるほどなー!自分でこういうの気付けるようになったらさらに面白いだろうな。 

 

 

#4 ごめんね

トランクのあれ、怖い怖い怖い!
仕事相手の扱い方を見るに、ヴィラネルは相手から自分への感情を利用して相手をコントロールするのは上手いのに、自分から向ける場合は相手の感情ガン無視なのがうすら寒い。

 命令違反ダメだよ!って怒ってるコンスタンティンに、そんなことよりバースデーパーティーしようぜ!って言う?それがサイコパスなんだろうけど、ヴィラネルはやりたいこととリスクの天秤が壊れてる感じして見てて危うい。

今のところヴィラネルにやりたい放題されてしまっているけど、その危うさがきっかけでイヴにしっぽを掴まれたように、いつ自分を追い詰めるか分からないところがあるんですよね。形勢逆転の芽がちゃんとあるからゾクゾクする。

 

 今回からシリアス度増したけど肉屋での「わあソーセージがいっぱい」とか、ふっと力の抜きどころ挟んでくる技があいかわらず職人芸でほれぼれする。シリアスな流れを壊すのではなく、視聴者が張り詰めすぎないよう気配りされた塩梅。

 もぐらを通じて地下と地上、裏と表の二人がとうとう対面したことはどんな影響を与えていくんだろう。イヴがのめり込むほどに夫とすれ違っていく様子もじっくり描かれてていや本当意地が悪いわー(ほめてる)

 

 

#5 バスルームじゃなきゃ

この話はバタバタしていたため感想書いてませんでした。

ヴィラネルから贈られたドレスを着て体の線をなぞるイヴの描写はエロティックでどうしようもなくヴィラネルに引き付けられていることを表すゾクゾクするシーンでした。
#6でイヴ自身より夫ニコがそれに気付いて危惧しているのが面白い。
その後よりによってそのドレスをフランクに着せて殺しちゃうヴィラネルえぐい…引かれ合うのに相容れない、落差のインパクトすごかったです。

 

 

#6 連れてって!

落ち着いてから見ようととっておいたキリング・イヴ見たんですが、えらいことになってきたなー!?最初はシュールなユーモアのある、サスペンスといっても変則的なサスペンスかと思ってたけど、誰をどこまで信じればいいのか分からない、スリリングなサスペンスど真ん中の展開になってきた。

最初はイヴvsヴィラネルの構造かと思っていたけど、状況が変わってきて周囲に身動き取れなくされていく二人ともを視聴者が応援したくなってきたのが面白い。対照的でお互いに影響を与え合っていく二人ともが主人公なんだな。

 

放送後の制作秘話、興味深い話が聞けていいな。視聴者の見方を限定させてしまうところもあるかもしれないけど服装や家具や照明がどんな意図で登場人物を描こうとしているのかが聞けるのは作品を見る上でとても参考になります。

 

 

#7 自由はイヤ

ヴィラネルってターゲットの「殺すの?私殺されるの?」って問いかけに、ウンウンって声だけは優しく答えながら殺すじゃないですか。あれどうやっても殺されるんだなって絶望感あって印象に残るんですが、コンスタンティンの場合は違いましたね。

好き勝手やってても信頼はしてたんだろうな。信頼してたから甘えたのかも。ってしんみりしたけど二人とも簡単に思い通りになるようなタマじゃなかったね。さすが。

 

最初から逸脱しつつある二人でした。互いの行動によって所属していた場所の偽りを暴いていった結果、建前や名目が剥がされ、さらに逸脱していき、ただ自分が欲するから相手を探すという欲望だけが残った。この結果がどうなるのか怖くて楽しみです。

最初予想してたより本格的なサスペンスで、ギャッとか言いながら見てるんですけどキリキリする感じではなくてオフビートなユーモアは継続してるのが独特。こんなの見たことないよぉ、面白いよぉ。

 

ユーモアに含めていいのか迷うけど「恐怖!微動だにしないが寝たら襲ってくる巨体の囚人!」「絶妙!一挙手一投足がイラつく新上司!」とか濃いキャラが出たと思ったらヴィラネルに速攻で殺されていくの、もう変な笑いが出てしまうよ。

 

 

#8 疲れちゃった

キリング・イヴ シーズン1最終話、びっくりしたのはびっくりしたけど、暗殺者と暗殺者マニア、死に引かれる二人なだけにお互いへの執着がこういう形をむかえるのは後から考えると納得。

ベッドに横たわった時の言葉は全て演技ではないだろうし、その後の行動も事故ではないんだろうな。イヴが自覚してなかったとしても両方望んでいたことだと思う。しかしヴィラネルはなんとでもするだろうけど、イヴこれからどうするんだろ…

謎の組織は謎のままで終わったな…!クライマックスをイヴとヴィラネル二人に絞るのは大正解なんだけども、それ以外も放り出すには魅力的すぎなので。みんながどんな反応するか、どうなってるのか知りたいよー。

 

ふりまわされるヴィラネル、というこれまで見たことないヴィラネルが見られるコンスタンティンの娘とのデコボコ逃避行もすっごく面白かった。その道中に笑ってたらコンスタンティンに娘と私どっちがお気に入り?とか切り込んでいくからゾワッとした。この緩急よ。この問いかけもどこまで本気で言ってるのか分からない。ただの時間稼ぎかもしれない。実は愛に飢えてたんだね、とか短絡的な理解をはねのけるヴィラネルの「わからなさ」はやっぱり魅力。 

ヴィラネルのつかみどころのなさは最初からだったけど、一見普通の人だったイヴの方がこれからどこへ向かうのか予想がつかない。でもどちらも同じくらい魅力的でした。ここから始まるシーズン2、どうなるんだろー!

 

怖さもユーモアも、どこか一歩離れたところから見ているような淡々とした作り方から生まれる味わいやおかしみがあって、それがあるから余計、切り込んでくるときの鋭さが刺さるようなドラマでした。え、こんなの初めて見る~なのに面白い~って終始言いながら見てました。