さわやかサバイバー

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キリング・イヴ シーズン2第8話(シーズン最終話)

ドラマ「キリング・イヴ」シーズン2第8話の感想です。ネタバレ含みますので続きからどうぞ。

 

 追う追われるの関係からなんと仕事仲間になったシーズン2。すれちがいの前半戦は「早く再会してー!」とやきもきさせられ、仕事仲間になった後も思い通りにいかない綱を引っ張り合うような関係にハラハラさせられました。その行く末は。

 

シーズン2は1に比べヴィラネルの無敵感が弱まったように感じます。シーズン1の特に前半のヴィラネルはどこにでも溶け込み颯爽と仕事をこなしていく暗殺者という、地味な生活をしていたイヴにとっては異世界の人間のような輝きを放っていました。シーズン2の序盤は苦境に立たされ、それまでにない姿が印象的でしたが、ヴィラネルならなんとかするだろうなと思いながら見ていました。無敵感が弱まったと感じたのは終盤の心理描写から。いいなと思ったのは、過去や家族のことが少しずつ明らかになってもそれで「彼女も人間なんだな」とこちらの共感を呼ぶのではなく、あくまでサイコパスだからこその弱さを見せていくところ。

人を引き付けるのに人の気持ちを理解しない孤高の存在。だからでしょうか、一方で同類を求めている様子がしばしば描かれます。同時に同類でない者は自分に必要ないと即座に排除する。アーロンもヴィラネルを同類と思ったからイヴと自分を天秤にかけさせた。しかしヴィラネルのことを理解できず殺された。前回の大物感はなんだったのー!ってくらいあっけなく殺されましたねアーロン。一応このシリーズ通してのキーパーソンだったと思うのに。また私の読み浅かったわ…そしてヴィラネルも「同類の」イヴを求めつつ彼女を理解できない。同類なんだから同じことを求めるはず、と彼女を取り込もうとして失敗する。

一人で強い存在だから誰かと共に生きることができない、そんな不安定さがあらわになったようでした。

 

再会して距離が縮まって重なり合う所を確認し合ったことはお互いの喜びだったと思います。何が真実か信じられない組織に属するより欲望に素直に生きる方が魅力的に映ったのも分かります。しかし近づいたことでかえって重なり合った所以外が見えにくくなってしまったのではないでしょうか。二つの円が重なる領域は互いが共有する部分というよりは、領土の取り合いのようになってしまった。そこを切り離そうとして自分の身も引きちぎるようなことになってしまった結末が衝撃です。

刺されて撃って、シーズン3はどんな関係になるのかな。愛憎相半ばするというか、本人にも掴めないようなあいまいな感情が先が読めなくて魅力的なので単純に敵同士になってほしくはないなあ。

洞窟やトンネルが出てくるとつい産道だの生まれ変わりだのメタファーを読み取ってしまいたくなるオタクなんですが、今回は当てはまらないように思いました。ヴィラネルは暗闇に導く、イヴは光を見つけられる。得意なことは異なる二人ですが地下を共に進むことはできた。まったく予想がつかないドラマなので(トゥエルブ関係はもう舞台装置ぐらいに思っとけばいいんじゃないかな)何が来てももう翻弄される心づもりで、二人の今後の道のりを楽しみにしたいと思います。