さわやかサバイバー

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GIANT KILLING 単行本第54巻感想

表紙で花森が大きく描かれてるのはまあ日本代表の顔だから、くらいにしか思ってなかったんですけどそういうことですか!

あと表紙のアレックかわいい。前歯が大きくてかわいい。杉江と合わせてジャイキリの妖精さん枠として(顔の造形とか雰囲気が)気に入っているのでうれしいなー、と思っていたらこちらもそういう展開とは!

  

続きからネタバレ感想

 

  先制後に追いつかれ、W杯の苦い思い出がよみがえる日本代表。1点じゃないですもんね、2点分の天秤が傾いた衝撃は大きい。しかしそのトラウマがない若い世代は冷静に、追いついた後の相手の油断を狙っていました。状況に流されない窪田くんはまだしも、椿が動揺せず集中切らしてないのに感動。「最後に一発殴り返してからロッカーに戻ろうよ!」なんて言葉が彼から聞けるとは。若い世代の力と、ひとくくりに表現してしまうけど、もう頼りない新芽ではなく、どんどんたくましくなっているんだなと感じました。

その言葉がチームメイトを鼓舞し、前半終了間際の怒涛の連携プレーに。窪田くんなんて角度からシュート決めんだよ!高級店のケーキか?(鋭角にもほどがあると言いたい)残念ながらゴールは認められませんでしたが、この結果があの人の意外な行動へ繋がることに。

 

まさか花森がリーダーシップ発揮するとは…花森語でわかりにくいし、ひねくれてるし、言いたいこと言って座っちゃう、不器用にもほどがあるやり方でしたけど、城西達が驚いていたようにあの花森がチームのためを思ってあんなこと言うこと自体がこれまでからしたら信じられないわけで。若手二人との連携はこんなところにも実りをもたらしたか、とうれしい気持ちになりました。持田とともに世界で戦う夢は失われて、自分一人で引っ張っていかないといけない、と全て背負うつもりだった視野が開かれて託すという選択ができるようになったんですね。単に花森という一人の選手の再生を超えたうねりを生み出したんだ。

そんな感動シーンの中で、ご指名された二人に挟まれた多田がちょっと不憫でした。いたたまれない…!ロッカーが背番号順だからか。おまけカットの椿と窪田くんは急に学芸会みたいになってて笑う。

志村さんそれ勲章かな…?威勢のいい八谷が花森を「花森君」て呼ぶのなんか好き。

 

いい感じに若手とベテランの意思統一ができた日本に対し、足並み揃わないオーストラリア。後半その差が結果に…出ない!もどかしい!前半の勢いのまま攻めるオーストラリアに日本は落ち着いて対処できるようになり、チャンスも作りますがゴールは割れません。前巻で「色んなものが見えてる感覚」を自覚した椿が、ゴールキーパーの狙いを読んでシュートした場面なんかヨッシャ来たぁー!と思ったら最後の最後で軌道を変えられてしまったよ…

しかしそんなキーパーの弱点を見抜き、ここが勝負どころと奮闘するアレック。めずらしく声を上げて鼓舞する場面も。スタッフに「アレックに怒鳴られてもほんわかしちゃいそう」と思われてるのは和んでしまった。作品世界でもそう思われてんのか。かわいい。

しのげてもゴールに繋がらなければいつ流れが変わってもおかしくない、と体を張るプレーの裏にはデカいだけで使えないという評価を見返したいという思いがあったようです。ああー穏やかでお茶目さんなところ好きだけどそういう気持ちも抱えてたのか…

粘る日本を振り切りゴールを決めたのは後半勢い増してきたオーストラリアキャプテン、サリバンでした。言葉では伝わらなかった母国サッカーへの愛と代表の責任感を若手のコヴァルにプレーで伝えんとばかりの迫力。一方、攻防中負傷してしまったアレックにこの後を託された椿と窪田くん。何をどう受け取ったかの違いがこの後影響してくるんでしょうか。

 

底力で優勢のまま終えることができるかオーストラリア、一つになったいい流れを結果に結びつけることができるか日本、という潮流の中に投げ込まれたのが我らが夏木!!ウワー思い切ったなブラン!出てくりゃ何かやってくれる人だけどいいことだけとは限らないぞ!(ごめん)