さわやかサバイバー

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せんせいのお人形 第1巻、第2巻感想

Twitterでつぶやいた藤のようさんの「せんせいのお人形」(KADOKAWA)第1巻、第2巻の感想をまとめたものです。

 

続きからネタバレ感想

 「せんせいのお人形」読みました。評判に聞いていた通り第20話「学問の鳥観図」がすばらしかった…昭明さんとの暮らしや類くんの付き合いがあったればこそだけど、スミカ自身が気付きを得てみずからの学びであの考えに至ったのがとてもいい。

 

いちおう知らない方に説明すると誤解されがちなタイトルですが、真摯な教育と学びについての漫画です。親戚でたらいまわしにされ、まともな教育を受けてこなかった少女と引き取った教師のお話。タイトルにもたぶん狙いがある。

 

自分の年齢が年齢なのでどちらかといえば昭明さんのほうに寄って考えてしまうんですが、あの瞬間はそりゃうれしかったろうねえ。教育者としてスミカの勉強に携われないことをグジグジ考えてんのは人間らしくてほほえましいけど、試験が迫る中であの効率の悪い勉強方法を迷いなく肯定する器の大きさも持ってる人なんですよね。これからの人生で本当に糧となる学びがどういうものかを知っている。

本棚を育てるなどという言い方から昭明さん自身はスムーズに学びのよろこびを知った人ではないかと思うのですが、彼がスミカの学びを尊重し、彼女から教えられたと認められる人なのがまたすばらしいなと思います。

自分が成功したやりかたに自負がある人はそれにこだわってしまうこともあります。しかし道と地図の夢で彼はスミカを自分より高みにいった人として見上げ、素直にそこからの景色を問うている。地図、すなわち学びの筋道を知っている自分とは違う道を見つけた人として尊敬しているんですよね。

 

知ったと思ったことを覆えされ新たに知るだとか知ることと身につくことは違うということを知るのもまた学びだと思います。単行本になった第2巻までの内容しか知らないので第一歩を踏み出したスミカの成長がどうなるかちょっと意地悪に期待したりしてます。