さわやかサバイバー

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灼熱カバディ 単行本第15巻感想

twitterに上げた灼熱カバディの感想をまとめたものです。

  

続きから第15巻ネタバレ感想

 

 第139話

このへん森の息吹しねえ?
伊達の今後とか緒方くんの作戦とかいろいろ気になるのにゴリラが全てに覆いかぶさってくるよぉ!ゴリラとゴリラがぶつかってイマジナリーゴリラが生まれるとか密度が濃すぎるでしょうが!

ゴリラ同士とはいえ、迷いのなさが武器になるほど突き抜けている片桐と、慎重で殻を破るまでにも時間がかかった伊達は対照的で、これ灼カバお得意の「共通点を持つ異なる二人」の関係性が始まったんじゃね…?と胸ときめかせています。

 

今回全体的に筋肉に翻弄されたというか汚染されたというか、冒頭から様子がおかしかったですよね。伊達パパはともかく「ほう…」って亜川監督そんなノリの人じゃなかったでしょ!こちらの応援席も絡みが増えてきて楽しくなってきた。

応援席といえば、佐倉くんの台詞が「相変わらず…!」と、さりげなく過去回ふまえてるのが好きです。身をもって経験してるからね。ちょっとした台詞でもその人らしい視点からのものになってるの細かいし、そういうの見つけられた時がまたうれしいんですよ。

 

六弦と王城部長の集大成だ!って入り方して、ここまで外してくるのは作戦的にもメタ的にも気になるところです。結果は出ているけど六弦も納得ずくなんだろうか。最後なんでしょう?

 

第140話

 目線で相手を欺いたり、直前のイメージを逆手に取るのはサッカーでもよく使われる手で、宵越がその経験や身体能力を活かしつつ、練習試合では穴だった部分をきっちり埋めてきてカバディ選手としての成長を見せてくれたのがうれしいじゃないですか。

狙っている方向を見ずに蹴るノールックパスとか、引き付けてから逆サイドで攻撃とか、守備との駆け引きを常にしていたフォワードならではのプレーだなと感じました。特に宵越は力業で打開するのではなく、接触を避けるプレースタイルだっただけに、今回みたいなのが得意なのは納得。

宵越の強みである速さを上回るほどの六弦の守備勧を味わわされて、頭に血を上らせることなく、彼の優秀さを利用するのがクレバーでかっこよかったですね。全部お見通し、もハッタリだとしてもイメージ植え付ける戦略として一部成功してるし、スポーツでの頭の使い方は上手いんだよなあ。それ以外が残念なのが残念だよ…

 

宵越の台詞を受けての反応が愉快。あー、らしい、すげえらしい。特にプルプルしすぎの片桐と余裕な高谷の対比に笑う。緒方くんの「変わんないなぁ」は練習試合からのこと?相変わらずハッタリかますなあとか。それ以前から知ってる、とも取れそうな台詞ですが、どうなのかな。
※第131話で「サッカーやってる時から知ってますよ!!」って言ってましたね。

 

慣れさせないのが目的なら攻撃手を変える手段はまだ有効ですが、宵越の活躍で奇襲は成功しないかも、と印象付けられました。これを受けて緒方くんがどう出てくるか楽しみ。中と外のやりあいも面白いなー!ていうか緒方くんずっと外なのかな?

 

第141話

 これまでにない怒涛の活躍!うぉぉカッコいい!と、盛り上がると同時に、その裏にあるものに胸が締め付けられました。勝負ごとに手を抜かないのは美点だと思っているけど、手を抜けない、勝つまで解放されない、の方が近いのか…まさに今戦っている奏和との練習試合の後に竹中監督が「呪いにかかったようなもの」と指摘していましたが、ここまで根深いとは。あれ以降ずっとこんなもの抱えてたのか。いや正確に言えば勝負の世界に入ってからずっとか。

灼カバは熱い漫画だけどコンプレックスや後悔といったネガティブなものを引きずりながら戦い続けている人が多いです(楽しい、好きだ、で入った畦道もそれだけでは置いて行かれる現実を知る)しかし重苦しいだけでなく、それを糧にして進もうとする姿には人を奮い立たせる力がある。もがいている=ストラグルしている人たちの物語なんだな、とあらためて気付いた回でした。「もがき進んでたら攻撃は終わりじゃない」なんだ。競技の特性と作品の方向性が一致している、これは強いですよ。

 

緒方くんが気付いたように宵越の負けず嫌いは競技を問わないものです。ただ佐倉くんから「どうしてカバディをやるのか考えてほしい」と投げかけられているんですよね。カバディだから得られるものを、呪いの先にあるものを今後見つけていくことになるのかな、見つけてほしいな。

 

今回、緒方くんがなぜスポーツに共通する流れを知っているか、背景が少し明かされました。宵越の「上を見る力」畦道の「仲間を見る力」に合わせると「普遍的に見る力」と言えるかもしれません。一年生期待の星同士が「見る」力をどう発揮し影響し合っていくのかも楽しみだなー!

 

王城部長、自分だって並々ならぬ思いでこの試合に臨んでいるはずなのに宵越に勝負させてくれるんだなあ…能京の仲の良さ大好きだけど、なれあいではなくて本気でやりあっている者同士だから、君の悔しさも挑戦したい気持ちも分かる、と思いを汲んでくれる親密さなのがいい。

 

あと今回冒頭2、3ページ目が楽しくて先が気になるのになかなか進めなかった。感激してる伴くんすげえ顔になってるし、自分のことのように喜ぶ畦道いいやつだし、そんな畦道見て嬉しそうに笑う彼女さんも祝福するしかない。末永くお幸せになれ!

サッカー部の応援も熱が上がる一方じゃねえか。なにその汗の量。なにその「不倒」Tシャツ。もうバカ~好き~。
保護者席もめでたく開国しましたね!待ってたぜ。とくと見せてくれ慣れないシチュエーションに戸惑う亜川監督をよ。

 

第142話

 そりゃ相手だって脳裏に残るイメージ利用してくるよなあ!試合の局面に左右されないほど標的の姿を強く刻んでいる宵越の執念にはおののきながらもすごいと思ったんですが…少しは借りを返せたと思ったらその相手にまたやられるとか、きっつい。前回それがどれだけ根深いものか知ってしまったから余計に。でも借りを返したのは攻撃面で、今回は守備面を指摘されたから今後のそちらが成長するフラグだと思いたい。

 

緒方くんの策が通用した所しなかった所からタイプを見抜いている冴木がかっこいいです。嘘が得意らしいし、彼も同じようなタイプなんだろうか。苦労すんだよ、って言ってるときに不破がこれ見よがしに描かれてるの意味深だな。お前にも苦労してるよって当てつけ?

 

ばっさり切り捨てるようで奮起を促す言葉になるのは六弦の資質ですね。調子に乗るな、使えるとこだけ使ってるって、必要以上に責任負う必要はないって労わってるようなもんだ。

紅葉戦の後ヒロと話してた時もだけど、厳しい言い方に見えても結果相手のやる気が出ているのはまっすぐな性根から出ている言葉だからだと思います。そんな台詞が書ける、そういう風に人物を描き分けられる武蔵野先生がすごい。

 

複雑な顔してる佐倉くんがかわいい。もにゅもにゅしてる口もかわいい。宵越にも高谷にも関わりが深い佐倉くんだから、当たってほしくないけど分かっちゃうって感じなんだろうな。年内最後に顔が見られてうれしかったです。(※年内最後の配信でした)

 

高谷が帰陣したときのコマ、久納コーチ後ろですごいポーズしてる。言葉にしなくても分かる衝撃度。ひ、引っくり返しましょうよ!

 

第143話

 エースに敵わないどころか、勝負の舞台にも上がれない「その他大勢」を象徴するかのように、彼の名前すら読者は知ることができない。シビアな現実を描きつつ、見過ごされそうなドラマをすくい取っていく、この多様さと層の厚さも魅力なんだよなあ。

本当、こんなグッとくる話にしておいて最後まで名前明かさないって、なんちゅう演出…その人だけのもので、他の人とは違う、区別をつけるためにも大事な名前を私たちは知ることができないんですよ。第143話の眼鏡の彼、みたいな抽象的な呼び方しかできない。

なんて容赦ない「その他大勢」認定。だけど勝負ごとにおいて実際ほとんどの人が彼と同じなんでしょう。そんな光が当たらない人の「負けたくない」もエースと同じくらい大切に描いてくれるから灼カバ好きだ…

同じ年頃の生徒が楽しく遊ぶ時間を費やして打ち込んでも楽にならねえわパッとしねえわ、つらいことばっかりのような毎日でも、いつの間にか無駄にしたくないくらいの積み重ねが生まれていた。かっちょいい身体になりたい、なんてフワフワした動機語っていた同級生が実力で一桁の背番号取るほどに。それがよくわかるから活躍がうれしいし、自分がいないことが悔しいんだろうなってオボボボボ(泣いてる)
ただの1回よ?しかも週刊連載の1回よ?どうしてこんなに心をつかむのが上手いかね?

 

第144話

 本気の対義語としても使われるように「遊び」は本来気楽でただ自分の楽しみとして行うものです。なのにそのためには全身全霊を捧げることもいとわない。そんな矛盾をはらんだ高谷の姿勢をなんとも色気のある4文字に集約したサブタイが最高「軽薄な愛」

 

王城部長のように競技の将来とか絶対考えてませんよね高谷。自分勝手で自分が楽しければいい、まさに軽薄。それでも六弦の言葉が示すように、その姿勢がもたらすものを評価し肯定的に描いている。こういう所、灼カバの懐の広さ感じられて好きです。

様々な「負けたくない」を描く作品だから、高谷のように自己中心的だったり、律心のように合理第一だったり、一見読者が共感しづらいものでさえも取り上げ、結果魅力的に描いてしまうのすごいと思います。確かに高谷の姿勢は佐倉くんに変化をもたらしたり、大和のやり方は律心のメンバーに手応え感じさせたり、いい影響与えてるんですよね。

冷めたことを言えば弱い者の方がドラマにしやすいと思うんです。大番狂わせにしても甘美な敗北にしても、読者を酔わせやすい。強者は絶対数が少ないし、肩入れしにくい。なので前回その他大勢の選手の物語を描いておいて、今回真反対の頂点知る者の物語をぶつけてくるの、攻めてるなー!と感じたんですが、その両方を安易な感傷で終わらせず、一定の距離保ちながら、それぞれの立場、それぞれの世界の「負けたくない」に説得力持たせちゃうのキレキレじゃないすか…

紅葉戦で描かれたように根本は自分のためであっても、それがチームのために繋がることもあるんですよね(例:先輩が引退すると面白くないからチームを勝たせる)。佐倉くんファンなのもあって、高谷は後頭部をはたきたいやつ№1なんですが(高谷ファンの人ごめん)面白いかどうかが第一の自分勝手な性格はそのままに、それを欲する深さにおののいたり、チームプレーに繋がる意外性に驚かされたり、キャラとしては本当にいいキャラになったなあと思います。

 

ところで冒頭のあれは王城部長真似てるのかな。宵越が再現しようとした時には「意外とバカだよな」って言われたあれ…

あと今回は片桐の突進をさりげなくいなす王城部長怖ぇー!って思いました。相手ゴリラですよ(人間だよ)不利な力の勝負に持ち込ませる前に終わらせちゃうんだもの。レベルが高い人ってすごいことなんでもない顔でやるよね…

 

 第145話

 この二人ある意味相性がいいんだな。紅葉戦で一段深まった高谷の渇望が王城部長の闘志を引きずり出していく。互いが互いを高めあうといえば王道の熱い展開なのに、どこか常軌を逸した恐ろしさを感じさせるサブタイが今回もいい仕事してます「狂鳴」

練習試合の時からその傾向はあったのかもしれません。言い争いになりかけた場面は、コンディションを心配する井浦に対し、王城部長が退院直後で体力が戻りきってないのに久々の試合で気持ちがはやったから、と思っているんですが、高谷に触発されてたかぶっていたのかも。

二人がどこまで行くのか楽しみではあるんですが同時に危ういな、とも思います。身を削るような没頭じゃないですか。特に王城部長はオーバーワークで怪我してしまう人なので行き過ぎなければいいけど、と心配してしまいます。

今はそのくらい反応させてしまうほど高谷が伸びたってことなんでしょうね。不破は最高の相手だけど1年で負けた時の「遊び相手になってあげる」って台詞は自分がまだそこまでの選手ではないと認めている台詞です。それから王城部長に並ぶとはいかなくても近づいたからこそ相手になってるんだろうなと。

 

人格者の外園がかつての仲間を「恐ろしい存在」と評しているのも、それを称号のように言っているのがいいですね。私だって見てて危うくても怖いと思っても引きつけられるもの。どうして破滅と紙一重の情熱を持てるのか、わからなくてうらやましくて恐ろしくて魅力的。

恐ろしさが弱まったのを怒っているのもまたいい。常軌を逸していようとその渇望が王城という選手を強くしたのは事実で、力の源として正当に認めているんですよね。圧倒的な人はそのままであってほしい、と思ってしまうんだよな。

 

競技以外の所からも貪欲に成長のきっかけを掴もうとするのもあるあるだし王道なのに、なんで王城部長の吹き出し真っ黒なのよ…底知れない感満載なのよ…好き…

 

王城部長と六弦の一騎打ち、みたいになるのかなと思っていたんですけど、練習試合の因縁含めての総力戦になってきましたね。あっちもこっちも盛り上がって大変だよ!

 

第146話

 因縁が深いことも、周りが気付いていることも利用しての攻撃は冷静で客観的に見えるんですが、王城部長の場合はそれすらも執念のうち、という感じがします。勝つためには自分自身でさえ道具として使い尽くすかのような。

高谷が自分ならどうする?と自問しながら攻撃した時と似てる気もします。彼の場合はどうすれば最大限にこの状況で「遊んで」勝てるか、が狙いですが、渇望を満たすためには自分をどう動かせばいいかと考えてるようにも見えました。

自負も渇望も尋常ではないと知っていたけど、ライバルと反応し合って読者が知っていた地点をあっという間に越えて強大になっていく様子にゾワゾワとワクワクが止まりません。君らなんなの、思念で生きる存在なの?

 

六弦の守備は宵越攻撃の時にかなりのインパクト与えられたので、ふっとばされるほど軽い王城部長が打ち破ったすごさがよく伝わります。以前攻撃手を獣、守備手を狩人と例えてたじゃないですか。それふまえると王城部長の獲物発言たまんなくないっすか。狩人狩る獣ですよこの人…

 

第147話(前編)

 つれえ…宵越がどれほどの執念で練習試合の高谷の得点を超えようとしてるのか描いておいて、相手はもはや守備でも宵越を上回っていると見せつけられるの辛いっすわ…今後の躍進フラグだと信じていますけども!

王城部長にまで太鼓判押されてるくらいだものな、高谷の守備。やりあう部長は楽しそうだけど、読んでるこっちは「先に高谷が認められてしまった…」的な嫉妬心が湧いてしまうよ。

攻撃面で六弦を追い出すという結果を出して少し報われたかと思ったその先から目標が手をすり抜けていくような。十分すごいことやってのけてるのに。甘くないな…

 

以前も書きましたが、攻撃一辺倒だった練習試合と比べて、双方成長して守備が機能するようになったからこそ重要性も増してるんですね。その中でエースじゃなくても木崎や植野の活躍も影響を及ぼしているのがうれしい。本当こういうとこ丁寧。

 

前編は意味が判明するとこまで行かなかったからサブタイ「楽勝」が謎ですね。どちらにとっても楽勝ではないし。なんかヒキが不穏だし…!

 

第147話(後編)

 そうね!奏和との試合で前半終了間際で「楽勝」っつったらこれがあったね!ズルいわ笑うわ。ひりつくような試合展開が続いて力んでいた肩の力が抜けました。なんだかんだ全力で反応する能京メンバー、君らノリノリだな。

両チームのゴリラ同士がどっちも煽りがぎこちないの愛おしすぎるな。
アハハ畦道もやりたかったよねー!やられる側で一応参加したってことで。
木崎乗っかってくれるんだ。意外。素じゃないよねあの顔。

 

笑ったけど、してやられたなあ!
なるほど、前半時間切れと先攻後攻を利用すれば連続攻撃できちゃうんですね。相互に攻撃をするからバランスが取れていた秤が一気に傾く可能性が出てきたのか。

今回の戦法とかヒロがやった全滅宣言とか、どこまで現実的かは分かりませんが、カバディならではのルールを盛り込んだ戦い方を描いて「こんなこともできるんだ」と競技そのものの面白さを伝えてくれるのがすごいんですよ。ほとんどの読者にとって未知の競技なのに。(読者のうち選手の人以外でってことね)(なんせ選手の認知率ほぼ100%らしいので)

 

第148話

 木崎いいこと言ってくれたな…一人では「ライバルを倒す」が到達点だったかもしれない。だけど長所で短所な、ほめられるだけではない六弦の特性も強さの源と仲間が認めてくれたことで、その先を見つけられたんだな。確実に器大きくなった。

いびつな闘争心はそのままに、苦しみながらも戦い続けたその先で出会った仲間によって認められ満たされ、出力の仕方が変わるような成長を見せるのが灼カバの特徴で、私はそれがたまらなく好きです。

高谷もそうですよね。以前も書きましたが、六弦も一選手としての成長を重んじるタイプだったから高谷の自由な姿勢もある程度許容されて、そうやって受け入れられたからこそ、チーム競技をしていながら紅葉戦で彼は初めて自分以外の選手のことを考えたのだと思います。

それと木崎でないとこういうこと言えなかっただろうな。高谷や片桐みたいなついて行けちゃう選手では気づけない。見上げながら振り落とされないようにしがみついてきた選手だから、六弦のどういうところが部を引っ張り続けてきたのか指摘できる。

出番は多くはなかったけど、3年生同士だし、わりと遠慮なしに言うなやつなんだろうなって描写がされてきたし、納得感しかないの上手い。この組み合わせでなければならなかった、ってストンと腑に落ちる下地作りが丁寧なんですよね。

なんか新技も用意してるみたいだし?木崎のここ最近の追い上げがすごいんだぜ。でもコアなファンは昔からいるタイプでしょ。練習試合後のバンダナ無し姿が琴線に触れた人絶対いるでしょ。

 

愉快な感じで描かれてたけど久納コーチやっぱりできるお人だ。なんとなく嫌な空気になっていたところを、良かったところはこれ、後半のターゲットはこれ、と具体的に上げることで視界を開かせてくれた。最後の気合の一言を選手自身から引き出してるのも巧みだ。

選手で試合に出てればどうしても呑まれる部分があるだろうし、コートの外でそういう判断とフォローをしてくれる人がいるっていうのは心強いですね。来てくれてよかったよ~。

 

宵越の関に対するフォローはコーチとはまた違う形の根拠を示す彼らしいもので、こちらもよかった。安易に大丈夫とは言わないけど、踏んだ場数に裏打ちされた分、信頼できる言葉でした。こういうこと自然にできるようになったのも感慨深いね…

 

そして!後半からは緒方くんも出てくるようで!秘蔵っ子のままかと思ってた!コートの中ではどんな動き見せてくれるんだろう。楽しみ。

 
 

第149話(前編)

 母ぞ?我母ぞ?ここ笑った。でもお母さんこれ誇らしいことですよ。自分には積み重ねがない、とコンプレックスに思ってた水澄が、長年国代表の選手で指導者にまでなった人から「スポーツマン」と認められたんですよ。泣けるぜ。

 しかも「冷静さも併せ持った」との評価。人一倍強い闘志を持ち、迷いなくぶつけられる選手だけど、仲間や相手のことにも意識を向けた上でのプレーができるようになったのは、カバディ始めていろいろ経験したからですよね。

 

水澄が初めて意表を突くプレーを見せたのは王城部長との練習でした。冬の大会で律心相手に何もできなかった悔しさと部長への負い目が明かされて、今までの自分にはないプレーを生み出した。そして現在、律心の監督に彼のプレースタイルは一目置かれている。

今回とやり方は違うけど以前やはり水澄に裏をかかれた佐倉くんが評価しているのもいい。同じ二年なのに力の差を見せつけられた相手ですよ。影響されて成長した変化がその相手に伝わって彼自身の評価を変えていく、ホント泣けるぜ。

(冬の大会時はまだ亜川監督ではなかったはずですが、律心全体をひとつの相手と考えて、と思ってください)

 

水澄のお母さんが言うように、もともとは仲間に目が行くタイプじゃないんでしょうね。合同合宿の時、関をフォローしたのも冬の大会の自分と重なって見えたから。相手に負けた自分の悔しさがもとなんです。でもそれが仲間にも無力感を味わわせてはいけないと行動に繋がった。単なる仲間思いで終わるのではなくて、さらに今回それが関を戦力と認め、最大限力を発揮できるよう計算の上での行動に見えたのが痺れました。おおおマジで冷静に考えられてるじゃん…!

 

影響された相手に影響を与え返していけるのなら高谷にも、と期待したいところですが、目が王城部長の真似したときみたいにまたなってるような!今の守備メンバーで抑えることできるのかな…!

あと武蔵野先生の描きかたが変わったのかアシスタントさんが変わったのか、絵が繊細なリアル寄りになった気がしますね?いいなあ、この感じも好きだなあ。

 

 

第149話(後編)

 個で最強レベルに強い高谷に連携の強さで競り勝ったってのがいいじゃないですか。それを成し遂げたのが昔は「一人でも無敵だった」って思ってた水澄ですよ。変化し、その先に進んでいることが分かる勝利!

合同合宿の紅葉戦を思い出しますね。あの時は積んできた人間に自分一人では歯が立たないことを認め、「こんな自分が」勝つためには仲間の力が必要だし「こんな自分が」勝ってもいいんだろうか、というような考えでした。

あそこで佐倉くんを倒せた結果が、これでいいんだ、これで行くんだと前向きな肯定感になって育っているのが今回の水澄の台詞からうかがえます。スポーツマン水澄の屋台骨とでもいうような。事実、亜川監督に認められてるくらいですし。 

 

灼カバは強さにいろんな種類がある作品で、それは常に他の強さに勝つ可能性を持っています。結果強さがインフレせず、様々な背景を持つ人々がそれぞれに活躍できる理由になっています。なので水澄の強さが通用したのも納得だし、まだ分からないけど、この結果が高谷に影響を与えていく可能性も感じられてワクワクすんだよなぁ!

個人プレーヤーとしての高谷のスケールの大きさはすでに描かれてきたじゃないですか。だけどそれだけではまだまだの部分があるんだと、水澄の「個人競技じゃねーんだ」って台詞で気付かされたんですよね。別の言い方をすれば伸びしろがあるってこと。

どんなにスペックが高くても「カバディ選手として」の強さを身に付けなければ勝てない作品なので、高谷がここでも一番を目指すなら連携にも目を向ける必要性があるし、今回きっかけで変わっていくのかもしれないなと。

ってここまで隙なくカッコよかったのに「別にそんな意識してなかったけど?」って、なんでそんな嘘つくの?素直に張り合えばいいじゃん。フフッ。

 

怪我の理由が変わったのは知っていたけど、そこよりはるか先に息子が進んでいたことを知ったお母さんの慈愛と寂しさを感じさせる表情に胸がキュッとなります。これまでかっこいいって印象が大きかったからさ。拳で語り合う場面もポニーテールもすげえいい。

どんどん底知れない強さを見せている高谷を守備3人で抑えたドラマだけでも熱いのに、前半終了時の奏和の仕掛けをくじき後半の流れすら変えかねないことや、ルール変更により努力が認められていく守備の新しい幕開けを感じさせるのすごすぎでしょ。しかも今回は主人公の変化も一役買っているのがうれしい。

スポーツものの基本かもしれないけど、物語と試合展開と競技の特性がこうも高いレベルでがっちり噛み合ってくれるともう、至福だよね…