さわやかサバイバー

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灼熱カバディ #5「試合開始ィ!!!」

原作漫画ファンによるアニメ版灼熱カバディの感想です。公式Twitterや放送時に公開されている情報以上のネタバレはしないつもりですが、ポロっと出ることがあるかもしれません。ご了承ください。

 

続きから第5話感想

 類似!対比!相乗効果!うはー本格的に出てきましたね灼熱カバディのおいしいところ、関係性!!勝負の世界とはいうものの、実はその手前、同じ舞台に上がることすらできない現実がある。これが仲間同士の練習試合ではなく、初めての対外試合で明らかになる、というのがまた上手い…!

部内でも試合はしてきましたが、あくまで仲間内のものでした。他校という外の存在と戦うとなれば当然意識が変わってきます。勝ち負けがより明確になり、勝つためには自分と相手の力の差を見極めなければいけない。自然とその背景も見えてくる。

 

そこで相手にとって自分は脅威ではない、対等ではないという事実を突きつけられるのが厳しい。別に相手に見下そうとか悪意があるわけではないのがかえってきついです。ただ単に認識されるほどのレベルに達していないだけ。

畦道も実力を正直に指摘する以前の段階だとみなされていました。こちらは好意的に気を遣われた結果だけど、これも同じ舞台に上がってない証です。畦道より後に入った宵越はサッカーでの経験があるのでここはすでに通過しているという、先達と後進の逆転が起こっているのが面白い。

 

他競技からの転向組という点で共通する高谷と宵越は、頂点を知る者と知らない者という違いがある。高谷は王城部長がターゲットで宵越は眼中にない。頂点を求める者同士として共鳴した王城部長と宵越だけど、宵越にとって部長はまだまだ手の届かない存在。

と、この3人だけでこれだけの類似や対比や断絶があるんですよね。たまらん…そして今回一番色々明らかになったのが井浦でした。

誰よりも詳しく競技について教えてくれて、部長が復帰するまであの手この手で宵越を導いてくれた頼りになる先輩。そんな「そつなくなんでもできる人」の印象をガラッと変えてしまうような二軍コンプレックス。

この設定だけならよくあるのかもしれません。しかしコンプレックスの対象になりそうなトッププレーヤーの過去を持つ宵越と「手の届かない存在がいる」という同じ悔しさを実は共有している。(だから「俺は宵越の方が好きだね」)

ありがちな花形と二軍の設定を越えて、二軍だった井浦がトッププレーヤーの宵越の目を開かせるなんてのは他ではちょっとお目に掛かれないんじゃないでしょうか。同じ悔しさを知る者だから試行錯誤した努力の価値がわかり、実を結んでいると伝えることができたんだ。

 

六弦にとって井浦は「王城の友人」で、高谷の眼中に宵越は入っていない。厳しい現実は依然あるけれど、ここまでそれぞれがぶつかっているレベルの違いを見せてきた上で「変わるんだ」をラストに持ってくるの、憎い構成ですよ…!

 

あと井浦にとっては六弦だけじゃなく王城部長も同じ舞台に上がれないコンプレックスの対象だと思うんですが、そんな気持ちを察することができて、多少あからさまでも「勝負の相手だ」と伝えることができるから部長と井浦は友人やってられるんだろうな。

そういう微妙な関係がわかる細かい描写がスッと差し込まれてるの、巧みなんですよね。それでもきっと消化しきれないコンプレックスもあるんだろうなと思うと、ふつふつと湧きたつものがありますよ…

 

 

最初の方で王城部長と井浦が話している後ろで宵越と2年生がしゃべってるの、たぶんあれ原作にあった一幕ですよね。宵越が部長と初めて手合わせした時の再現をしようとただボーッとしてみて「意外とバカだよな」って言われてる場面。

ちょっと絵と音が合ってなかったけど、できるだけ原作のエピソード入れよう!という心意気を感じる。ありがてえ…

 

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