さわやかサバイバー

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灼熱カバディ #7「STRUGGLE」

原作漫画ファンによるアニメ版灼熱カバディの感想です。公式Twitterや放送時に公開されている情報以上のネタバレはしないつもりですが、ポロっと出ることがあるかもしれません。ご了承ください。

 

続きから第7話感想

 練習試合決着!
「引きずる」「尾を引く」一見後味が悪そうな展開を「心に残る」に変換してしまうのが灼熱カバディ。勝者敗者の違いなく、本気で勝負に向き合えば喜び以上に傷を負う厳しさと、それも糧にしていく姿を描き、どの登場人物も応援したくなります。

 

同じ舞台に上がれない現実、カバディの選手として経験値を重ねることが能力を上回る可能性、前々回や前回にフォーカスされたそれらが集約されていく井浦のラストプレー!六弦に敵と認識させた結果は、宵越にかけた「努力すりゃ変わるんだ」が彼自身に返ってきたようで胸を突きます。

その上で六弦もまた井浦の時間調整を学んで使ってきますからね!才能ある相手だって常に進んでいる。この瞬間にも。このスピードで相互作用しあって高まりあっていくんだから、見てるこっちの体温だって上がりますよ!

 

関係性萌えというか構図萌えというか、灼熱カバディの人と人が関わり合って生まれる変化の描き方が巧みで毎回ツボを突かれます。えっあれがここで効いてくるの!と驚く場面には必ず過去にそうなるだけの出来事がちゃんとある。

すぐに結果は出ないかもしれないし、醜い感情に苦しんでも、進んだ道のりが誰かに影響を与え、それが自分にも返ってくるんだ、お互いを押し上げるんだと描くたくさんのエピソードに、ままならない現実を生きる力をもらえます。

 

試合終了後に畦道と宵越が話す場面、大好きなんですよね。スポーツ選手として経験豊富な宵越がその面では初心者の畦道を奮起させるために「お前が引き込んだからいまここにいる」と告げる。第1話の畦道の言葉を借りるなら「これからは(同じ世界に踏み込んだ)仲間だ」ということ。

漫画の感想では何度か書いているんですが、スポーツそのものとカバディでは経験の差が逆転する二人が互いを引き入れる構図になっているのが憎いなと思う場面です。スポーツの面で言えばはるかに先を行くにもかかわらず、一度認めたからには対等な相手として話す宵越の度量もいい。

 

勝負ごとに関して公平で真摯で、言い訳をしない宵越の美点が明らかになりましたが、同時にそれがいつまでも彼を締め付けているのだとわかる回でもありました。態度は生意気だけど、体裁整える余裕もない剥き出しの闘争心さらして生きてるとも言えます。

敗北の傷をごまかすことも目をそらすこともできない痛々しさがどこかある。競技が変わっても、仲間と何かを成し遂げるよろこびを知りつつあっても、彼の根幹に根付くものである限り、痛々しさは消えないんだろうと思います。

だからこそ、別の軸でもいいから勝負において光を見つけてほしいと願ってしまいます。高谷が投げかけた質問はきっかけになるのではないかな。まだ宵越に向かい合う心構えはできてないみたいだけど。それでもこれも人との出会いで生まれたものなので、いつか響いてくることを期待します。

 

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