さわやかサバイバー

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灼熱カバディ #9「意地の勝負」

原作漫画ファンによるアニメ版灼熱カバディの感想です。公式Twitterや放送時に公開されている情報以上のネタバレはしないつもりですが、ポロっと出ることがあるかもしれません。ご了承ください。

 

続きから第9話感想

 一人でも怖いもんなんてなかった水澄が再び一人で戦おうとした時、浮き彫りになる過去との変化。もう負けるのは嫌だし役立たずでいたくないし、今の彼には怖いものがたくさんある。仲間といて生まれた失いたくないものが、彼を一人の選手として成長させていくという対比もいいんだ。

 

分野は全然違うけど宵越もかつては一人で戦っていた人です。彼より早くカバディを始め、一人の壁にぶつかった水澄の過去が判明することで、1年生対2年生の練習試合で言った「一朝一夕の連携は通用しない」の重さが変わって来るんですよね。

灼カバね、「こういう過去があってのあの台詞だったのか」とか、「ここにも類似や対比が仕込まれていたのか」と、後から気付く演出も多くて、厚みをどんどん増していくのでね、ぜひ見返したり読み返したりしてみてください。ずーっと咀嚼できるから。

 

元ヤンだったとしても競技を始めて正しく努力してきたのであれば、それはスポーツエリートのセンスを上回ることすらある、と描かれているのも好きなところです。持って生まれたものや過去に関わらず、競技者としての歩みでしか積み上げられない勝利の可能性がある。

恵まれない体を持ち、誰よりも競技に打ち込んできた王城部長の実力を身をもって知り、敬い、報いたいと思うようになったのは、こういった理由もあるんじゃないでしょうか。可能性を体現し、それで自分を救ってくれた人だから。

守備の立場だからこそ、直接ぶつかって止めることで成長を見せる形になるのもドラマチックでよかったですよね…!仲間との連携を使い、フェイントを使い、鍛えられた体を使い…学んだものと持って生まれたもの全てを込めて最後、水澄一人で向かっていくという構図!

よくぞここまできれいに全部乗せにしたよね!?って驚きます。水澄が変わらなければと行動した結果、カバディ部に連れられてきて、過程を近くで見続けていた相棒が努力は実っていると気付かせてくれるのがまた。努力が他者を通じて自分の身に戻ってくる美しさ。

 

いつも明るくノリのいい水澄の後悔を含んだ低めの声や、荒れていた様子や、「あなた」と呼びかける意外性など、声で聴くとギャップもダイレクトに伝わってきて、よく知ってるのに揺さぶられました。はー…声優さんってすごい。


そして後半に出てきた埼玉紅葉、このチームの佐倉くんなんですが、えー、一番好きなキャラでして、これから挙動がおかしくなるかもしれません。すんません!

実を言うと喋って動いた姿を見ただけでワーッとなってるけど、アニメから入った人には正直まだよく分かんない新キャラでしかないので、必死で抑えてます。でも次回からは駄目かもしんない…

 


その他少し気になったところなど。原作の話もしてます。

冒頭で水澄が悩んでいたように、2年生コンビの依存に気付かせる意図で部長がチーム分けをした描写が原作ではありました。まるっきり原作をなぞる必要はないと思いますが、ここは残した方が分かりやすかったかなと思います。アニメオリジナル描写もちょこちょこ入っていただけに。

あと私は原作読んでるので過去か現在か分かるけど、練習風景など同じデザインの練習着で行き来する場面はアニメから入った人は混乱しなかったかな?と気になりました。過去場面は全体的に色を薄くするとかしてもよかったかもしれません。

せっかく短髪井浦さん出したなら過去場面は全部それでいくとかね。

対部長の場面も水澄の心情一本に焦点を合わせる形にしたと理解はできるのですが、それ以外の要素も合わせて最後の水澄の守備が盛り上がるところもあったので、カットされたのは少し残念でした。声優さんの演技などは素晴らしかっただけに…!

 

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