さわやかサバイバー

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カムヤライド 第1巻~第6巻感想

Twitterに上げていたカムヤライド(久正人 リイド社)の感想等をまとめたものです。

続きからネタバレ感想 

第1巻

朝の特撮系のデザインでも有名な久正人先生のカムヤライド、めちゃくちゃかっこいいです!古墳時代×仮面ライダー?と斜に構えて読み始めてスミマセンでしたぁ!神から人へと歴史の流れが変わるはざまで、神は異星人?という要素を投入することで特撮世界へスライドしちゃう手腕、痺れる。

主人公のハニワ売りモンコは「閉じる者」だから「門戸」でもあるのかなとか、こういう読み説きがいのある作品、ぼく大好き!日本神話に詳しいともっと楽しいんだろうなー。

鍵穴ビームで開いた穴に自分が鍵となって怪物を封印するとかいう一連の流れが輪をかけて最高…!

 

 

2018年モモモグラにて開催された久正人展で

※コミッション中にいくつか質問をして答えていただきました。
記憶が違っているかもしれませんし、これが公式ではないことをご了承の上、読んでください。

コミッション中にカムヤライド時のふとももやおしりが好きですという正直な感想を言ってしまったのですが、久先生も特撮のスーツアクターさんのきれいなおしりが好きだとおっしゃってました。ええ、伝わってきますよ…

 

質問:
連載開始前のカット(単行本目次前のページに載っている絵)では黒目が描かれていたモンコの目が本編では白一色になったのは物語的に理由がある?

回答:
デザイン的な理由で変わっただけとのことです。
人ならざる者になった象徴なのでは…?とか深読みしてたんですが違いました。

 

質問:
モンコの帽子のモデルになった埴輪を以前Twitterで紹介されていたけれど、あの埴輪があったからあの衣装になった?

回答:
「流れ者風」「ポンチョ」というイメージが前提にあって、それにあの帽子を合わされた感じでした。
埴輪はそれが髪型なのか帽子なのか兜なのか分からないのも多くて…と言われてました。

カムヤライド時のマスクは最初から「じゃっ!」の後(鍵穴型)にする案もあったのだとか。編集さんから(だったかな?)目を入れてほしいという要望があり、あのギミックになったとのこと。

 

質問:
みずらって野暮ったいイメージあったんですけどモンコのみずらカッコいいです!すごい発明!オウスくんのもかわいい!

回答:
身分の高い人はあの上下あるみずらにすることは少なかったのだとか。
歴史の勉強になるぞカムヤライド。

 

 

第2巻

カムヤライド第2巻買いました!第1巻の最初から引っくり返される驚きと快感に満ちた作品だったんですが第2巻も「そこも?ええっそこも!?」の連続でまたしても読み終わったばかりなのに続きが読みたくてしょうがない。

オウスくんたくましくなっていくねえ…でもサービス担当なのはゆるぎねえんだな…

古墳時代仮面ライダーという外連味効いた設定をむちゃくちゃカッコいいビジュアルでかましてくるだけでもだいぶたまらんのですが、そこに作品世界では筋の通る理屈をつけてくるわけじゃん?オタク大歓喜じゃん?(主語がでかい)

 

予告だけ見たらハハーン2号ライダーだなと思ってた人が亜種ではなくもう一人の主役級ヒーローというくらいバリバリに設定が立ってたことに痺れたし、その設定がまたその歴史を!そう活かすかー!って点でも痺れたんですよ。つまりもろもろ含めてカッコいい。

 

人外っぽいキャラが見た目人間になってしまうとスーン…となるたちなんですが、あの人ったらどんどん人外度が増していくじゃないっすかありがとうございます!!しかも名前どういうこと!

 

 

第3巻

カムヤライド第3巻買いました。神話をそうアレンジしちゃうのかよ!しかもお前かよ!という驚きが相変わらずたまりません。いろんな所で恋だかなんなんだかの花が開き、違うものもカッ開いていた。それも日曜朝のアレだけどさあ!

 

・いつだって抜けられたんならなんで縛られてたの?サービス?
・絵心のなさで救われた命があります
・しかしあんな策士然としといて絵が下手ってなにその可愛げ
・「トゥンク…」爆笑 わかる!わかるよ…!!

 

記憶のない変身ヒーローという設定もあり、ニヒルな感じで行くのかと思ったモンコさんが、自分の作品(埴輪)に関しては純粋と言ってもいいくらい素直に感情表すのキュンとなります。市場で手に取ってもらったときの高揚してる様子とか、宮殿での悲しそうな顔とか。その態度はあの人と決定的に違う何かを感じてねー、気になるよねー。

 

しかしこんなにオモチャで遊びたくなる漫画ないな…(発売されてません)

 

 

第4巻

カムヤライド、古事記日本書紀ベースにライダーやっちゃう豪快なアレンジにひかれて読み始めたんですが、第4巻は見た目だけでなく中身のアレンジに驚かされました。あの剣がそういう繋がりにー!わー不穏ー!
元ネタそれこそ千年単位の歴史があって知れ渡ってるのに毎巻驚かされるんですよ。すごいよ。

 

モンコさんの早口解説笑った。予想以上に効果抜群の出来だったからテンション上がっちゃったんだろうか。かわいいな。後年この時のこと取材された際にぶりかえしてインタビュアー戸惑わせてもらいたい。

 

前も書いたんだけど飄々としてるようで意外と感情表現豊かなんですよねモンコさん。芸術に関してピュアなとことか。今回は動かないはずの仮面が見せる悲しさにもグッときました。

それってつまり人の感情を受け取り自分からも表せるってことで、すごく人間らしい。彼がいつも埴輪とか自分の芸術を「発信したい、受け取ってほしい」と願っている姿勢とも繋がります。でもそれはノミの親方とは繋がらないんですよね。これも不穏なんだけど最終的には幸せになってほしい…

 

 

第5巻

カムヤライド第5巻、業を背負ってなお前に進む力の源は「誰かを助けたい」だ、と確認し、形とする激アツ展開ですよ。その瞬間、定番のアレが出現し目の前を走り去っていくので、感動するやら度肝抜かれるやら笑ってしまうやら。なにこの超頭いい力業。古墳時代だつってんだろ!

 

今回、状況が状況だけにモンコさんが困り眉しっぱなしなのが大変キュンとしましてね…上に書いたのが表の注目ポイントだとしたら裏のポイントとして困り眉を推したい。登場時はもっと飄々とした人なのかと思ったけど、いろんな表情や優しさや繊細さを見せてくれるのでギャップで落ちますわね。

 

指名手配されてる時も目が大きくて鼻筋の通ったハンサムって言われてるのちょっと笑いました。公式で美形じゃないすかモンコさん。

 

 

第6巻

うさんくさいライダー変身男と出自の確かな皇子様だった二人が過去が明かされていくにつれ、モンコはあたたかな情が見えてきて、オウスは闇が広がってきましたね。この逆転、ゾワゾワする…!

 

前巻に引き続き師匠に押されっぱなしのモンコがかわいそうでかわいい。けど、変身後の姿や技の数々が師匠との共同作業で生まれた過去を知れば、そこに師匠との信頼関係や芸術を愛するようになった理由が見えて、あたたかな気持ちになります。

だからこそ、伝え聞くノミのエピソードとの断絶がより際立ってくるんですが…
参入した新キャラがレポート風に過去を暴いていく様子、ミステリっぽいなー!彼の淡々と不気味な感じもいい。

 

敵陣営の二人、やりたいこと見つかったから、もう少しここでがんばってみるね…!の内容が熊デスマッチと脳みそレンチン恋物語なの、はた迷惑で笑う。

 

私は紙の単行本派なんですが、見開き四連続のページ!あそこは電子書籍に軍配が上がりますね。パパっと切り替えたらスピード感が気持ちいいんだろうなー!

 

おまけ

第2巻あたりまでの好きポイントを描きました。どんだけモンコさんのギャップが好きなんだっていう。

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