さわやかサバイバー

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スーパーマン&ロイス シーズン1感想その1

twitterでつぶやいた第1話~第7話までの感想をまとめたものです。

 

以下ネタバレ感想

 

第1話 パワーの目覚め

 ヒーローだと隠していることが、思春期を迎えた息子たちとの行き違いのもとになる。ヒーローで父親、特別で普通な彼らしい悩みの繋げ方でした。家庭も世界と同じくらい大事と描かれていることも、真剣に向き合うからこそ悩むのも、誠実さが現れてて好き。

今すぐ銀行買収してよブルース・ウェイン!と思ってしまったけど(映画ネタ)

 

最後の場面、ルーサーといえばレックス・ルーサーだけど、彼らしくないような… 私もそんなによく知ってるわけではないんですが、 レックス・ルーサーといえばスーパーマンに執着する大金持ちで優秀な、 ただの人間だけどやっかいな悪役、というイメージです。 自己顕示欲も強いので、今回の敵の「隠れて観察する」とか「正体を隠して対立する」 というのは従来のイメージに当てはまらない感じがするんですよね。 「今回のドラマではそういうキャラ」なのかもしれませんが。 そもそも自分もエイリアンだ的なこと話してましたしね。どうなんだろ。

 

 

第2話 引き継いだもの

 わー!平行世界!?タイムスリップ!? 小さな田舎町と世界規模の異なるスケールで「あの場所でしでかした悪行をここではやらせない」が同時進行していくのも面白かった。これが相互作用で変化していくのかな。

 

私が知ってるのは子供がひとりのバージョンだけだったので、ふたり、しかも双子となると能力の継承含めコンプレックスの問題がモリモリ出てきそう…一方でこのドラマ、そういうスーパーヒーローならではの悩みを誰にでもある普遍的なものと結びつけるのが上手いのでどう描くか楽しみでもあります。

双子ちゃん、思春期らしい突然の噴火はありつつも、お互いをちゃんと思いやれるいい子たちだ…

 

 

第3話 人気者であることの特権

 なにか起こったら町中に筒抜けの田舎町あるある、アメリカでもそうなんだなって…これ日本人も共感できるよね…

両親が住み、心の拠り所として描かれることが多かった故郷スモールビルも、時代の流れとともに素朴な田舎町として存在し続けられない。しかし同時に次の世代の新しい可能性も示してくれるところが好きです。

 

ジョーダンがフットボール始めた時、私も「あっこれパワーが暴走して悲劇で終わるやつでは」って思っちゃったんですよ。クラークは自分のパワーが大きかったし、制御や責任のことが気になってしまうのもしょうがない。

これを子供の新たな可能性をどこまで信じて見守れるのかって普遍的な問題に結び付けて描いているのが上手いんですよね。ジョーダンのパワーがクラークほど大きくなかったというのもあるけど、パワーを利用しつつ、あくまでそれはきっかけで、コミュニケーションを通じて状況を変えた。

それは野球をやめた過去のクラークとは違う選択肢、違う可能性。その上でクラークやクラークの父親の考えや選択を古臭いものとはせずに、規範として示したうえで、最後は自分の心が本当に求めているものを見極めなさい、と導いているのがよかった。

この結論に至るまでに過保護な行動しちゃったりして、クラークが父親として失敗してるのもいいんですよね。子供たちだけでなく、親の成長物語でもある。

 

かっこいいけど田舎町では煙たがれるだろうなーと思っていたロイスのジャーナリズムが、田舎町だからこそ見逃されていた事件に切り込むってターンに入って来たのもワクワクします。 映像綺麗だし、面白いですスーパーマン&ロイス。一挙再放送とかもしてほしいな。

 

 

第4話 波乱の幕開け

 約束をすっぽかされたロイスが「あなたが人助けをしてきたのは知ってる、こうやって怒ることに罪悪感も抱いてる。でも自分がないがしろにされたように感じる。明日には言ったこと後悔してるかもしれないけど、これがいまの正直な気持ち。」と、冷静に分析しながらも気持ちを伝えるところ、よかった。 

ヒーローとしての活動の重大さを理解したうえで夫婦となったけど、物わかりがいい、都合のいいキャラにはなってないんですよね。一人の人間としてパートナーでありたい願いを大事にしてある。

このドラマがクラーク・ケントのスーパーマンの面も父親の面もどちらも同じくらい大事と描いていることとも繋がってますね。

 

ヒーローと一人の人間であることの間で引き裂かれるっていうのは昔からあるテーマだけど、怒るロイスの言葉のひとつひとつがかつてのヒーローを悩ますヒステリックなヒロインとはかけはなれた、知性と感情を両方持ったひとりの人間から出た言葉になってるのが「今」のドラマだなと感じました。

それでも怒ってる時にあれだけ整然としたこと言えるのはすごい。さすがジャーナリスト。

 

 

第5話 スモールビルの良心

 むしろよくこれまでグレなかったよジョナサン… 都会から引っ越してきて人気者の座もフットボールの有力選手であることもガールフレンドがいることも全部なくして、双子の片割れが手に入れつつあるのに。サポートしてくれるくらいだったもんなあ。

自分が思春期だった頃を振り返ったクラークが理解を示したことも影響を与えたのでしょうが、結局ジョナサンの寛容さを頼りとする形になったのがちょっと切ない。ジョナサンにもスモールビルで過ごす意味が見つかってほしいです。 

 

ドラマは田舎町のいいところも悪いところも描いていますが、風景はいつも本当に美しい。 カンザスの広々とした空と畑に刺す朝や夕焼けの光が 絵のようで、いつもうっとりします。 

 

キャプテンルーサー、スーパーマンに近づくためにロイス経由してるのかと思ったらそういう…うわあ、ややこしいことになる… 向こうの世界、善悪、というか役割が逆転してるんですかね?

 

 

第6話 パワーの代償

 スーパーマンは他人のために動く人だというのはじゅうぶん承知してるのに、それでも人知を超える力を持つ存在は怖いんだと感じさせる演出がすごかった。あの赤い目…!その上で20年信頼を勝ち取ってきた事実の重みが沁みますよ…

かつていじめられていた相手にパワーを使いそうになったジョーダンの対比として、制止を聞き入れられず攻撃されても怒りの衝動を抑え、誰も傷付けない方法を選ぶ姿が描かれたのだと思いますが、ヒーローとは力ではなく心の持ちようをいうのだと改めて感じる場面でした。

 

映画BvsSを思い出す場面でもありましたね。そりゃあひととなりを知らなければバットマンも「あんなヤベーやつ自由にさせとく訳にはいかない」って思うわ。あちらはもう自然災害レベルだったので「フィクションだ」と感じたのですが至近距離で目撃する今回のドラマは生々しい恐怖がありました。攻撃しちゃった兵士の人たち、めちゃくちゃ怖かったろうな…

映画といえば、この前公開されたTHE BATMANとの対比で見ても面白い場面でした。恐怖の象徴として自らを演出し、犯罪者を罰する2年目のバットマンと、恐怖の対象となることを徹底的に避け、守るべき人々の信頼を得た20年目のスーパーマン

 

超越した存在じゃなく、ヒーローとしてひとりの人間として、わずらわしさを抱えながらも建設的に社会と関わっていこうとするのがスーパーマンの魅力だと思います。今回に限らず、普段から国防総省やそこを取りまとめてる義父とも活動方針でわりとよくもめてたりするし。

それでも話し合いを重ねわかりあえるように努め続けている。クラーク・ケントとしてはリストラの憂き目にあったりしつつも、フットボールのコーチとして子供や地域に関わろうととする。

ドラマは夫や父親の面がたくさん見られるのが魅力の厚みとなっています。普通に失敗したり言いすぎたりむかついたりしながらも、よい存在であろうとする。地味で報われづらい努力だからこそ、あれほどのパワーを持ちながら20年それを成し遂げたすごさがわかります。

 

パワーがあればできることも増えて、人と近くなれると思っていたのに、傷付け遠ざけることになってしまったと泣くジョーダンが切ない…でも止めてくれる兄弟がいたことは幸いだし、なぐさめるロイスとの場面はよかった…
パワーが発現したジョーダンは特に同じパワーを持つ父クラークとの絡みが多かったと思うんですが、また違った方向から受け止める母ロイスの存在感もちゃんと描かれてうれしかったです。

 

 

第7話 鋼鉄の男

 ストレンジャー=あの世界のルーサーではなくて、ルーサーのアーマーを使ってたからAIにそう呼ばれてたってことなんですね。今回の話でストレンジャーという名前の悲壮感が一気に増しましたよ…娘さんのために早く帰ってあげて…

(そんでこちらの世界にもやっぱりレックス・ルーサーいるんだな)

 

かの有名な二つ名「鋼鉄の男」をこう使ってくるか!ロイスとの関係だけでなく、スーパーマンと鏡合わせの存在であることを際立たせて来ましたねえ。こういう演出好きです。

ストレンジャーの持つ鋼鉄の強さとは精神性と娘との絆を示したもので、彼自身に超人的な力はないようです。ドラマにはスーパーマンのような力を持たされた人間もいるけど、その人たちの強さには「鋼鉄の」は付かないんですよね。

あの二つ名が象徴するもの、勇気や希望、安心感を大切にしてある演出だと感じました。単に類似や対比を示すためではない。

だからこそ、この世界でのスーパーマンとは通じ合えるのではないかと希望が見えた気もします。誰かのために身を投げ出せる人同士ですもんね。というか、事情がわかったからにはそうなってくれないと切ない。

 

双子は今回深刻なこじれかたするじゃないかとヒヤヒヤした…「タイミングの悪いとこだけ聞いてしまう」ドラマあるあるー!そういうとこ回をまたいでまで引きずらないのは助かる。

視聴者にとっては「ちゃんと話しなよ」ってストレスになるだけですもんねああいうの。なんやかんやで仲直りしたけど君らも話合いなね…