GIANT KILLING 単行本第40巻感想

来ました!甲府に移籍した石浜と清川のマッチアップ!

移籍話の時から、いつかはやってくれるだろうと信じていましたが

その後はハイライト番組に石浜がチラッと映るくらいでしたもんね。

ついにその時が来て感無量ですよ。

シーズン中の移籍やかつてのチームメイトとの対戦が短い期間で起こりうるのが

プロスポーツJリーグならではですね。

 

そしてこの甲府戦、見どころだと思っていた2人のマッチアップ以外にも

地方クラブに在籍する選手の想いや応援する人たちの温かさなど、

現実に地方クラブのサポーターとして胸が熱くなる場面がたくさん描いてありました。

監督や選手だけでなく多角的にサッカーに関わる人を描くのがジャイキリの特徴ですが

地方の足りないものを描き、

それでも地元のクラブを「私たちのクラブ」として支える人たちの力も描いていてあって

すごく頷きながら読んだ第40巻でした。

 

続きからネタバレ感想

 

 選手の年齢層が高い、レンタルの選手が多い、若手が育ってもすぐ他に買われる、

だから代表クラスの選手が長く活躍することは有り得ない…

石浜が語る地方クラブの現状が「そう、そうなんだよ」と涙せずにはいられなくて…

選手が成長することとクラブを出ていってしまうことがいつも背中合わせで

特に若手が活躍すると嬉しいと同時にハラハラしちゃうんですよね。

だけど続く石浜の台詞

「色んなクラブを渡り歩いてきたような選手達が

 もう一度ここで輝こうと必死になってサッカーに取り組んでる」

「決してレベルは高くないかもしれないけれど…

 俺はここでなら純粋にサッカー選手としての喜びを感じられる」

これが嬉しかった。

当たり前ですがプロの世界は厳しくて、上手い選手でもタイミングや方針が合わなければ

試合に出られないことも多いです。

私が応援してるクラブも決して資金が潤沢とは言えないので

毎年の補強でもスター選手を獲得するようなことはまずありません。

それでもスカウトの鋭さのおかげで前のクラブで控えだった選手が移籍して試合に出るようになって、

めきめきと頭角を現していく様子を目の当たりにするのは本当にワクワクするし、

自分たちの応援がそういった選手の力になっているのかもしれないと思えました。

地方のクラブとそこを応援することを誇らしく思えるような台詞でした。

 

もちろんビジネスでもあり真剣勝負の世界なので人の情にだけ頼らずに成功し勝っていくことも必要です。

でもそうなれるように応援したい、力になりたいと思えるのは

限られた資金や苦しい環境の中でも

今できることを精一杯やっているのが伝わるひたむきさがあればこそで、

甲府は短い描写の中でもいつもそうしていることが伝わってきて

ああ、いいクラブだな、石浜が本気で残留させたいの分かるなと感じました。

 

そんな甲府が目指し、乗り越えて行くべき「東京」のクラブとして

ETUは恥ずかしくない強さを身に付けたのか?

なかなかそうはいきませんでしたー。

第30巻で達海が見せた覚悟を受けて、真に強いクラブとなろうと決めたETU。

他からだけでなく自分たち自身でもこのクラブは強いと認めることができるような

安定した力と精神力を身に付けようとリスタートを切りました。

「これから目指すべき強豪」相手の試合が大阪戦で、

甲府戦はそれと対になるような「乗り越えなければいけない過去の自分たち」だったんですね。

大阪戦でとりあえず姿勢は示せたよ、でもまだまだ先は長いよと描かれていた通り、

横浜戦では不安の残る勝ち方をして、でも勝っちゃったから気が引き締まらなくて、

っていうのはあるあるだなあ。

勝ったことで課題がうやむやになってしまうことってあるんですよね。

うやむやになってしまう中にはETUが強くなってきたことで椿や赤崎、夏木が代表に選ばれた

めでたいニュースも入るというのが面白い所。

ETUにとっては未知の領域だもんな…

 

かつての仲間との対戦、というだけでも燃えるシチュエーションだけど、

ETUというクラブが王者となる過程で乗り越えなければいけない問題と絡めて描かれてるのが上手いなあ。

移籍でETUと他クラブを両方経験した石浜だからこそ投げかけられる疑問だとか、

刺激されて東京のクラブとして恥ずかしくないよう強くあろうと呼び掛ける清川だとか、

達海が指導するばかりではなく、選手の間から変革の波が生まれてくるのもいい。

達海が選手をやっていた勢いのある頃を知らない、

毎年降格ギリギリのETUしか知らない若い世代の選手が

俺たちは強いという自負を持とう、という言葉が出てくるようになったのが感慨深いです。

ワンシーズンの間でも積み重ねたものが根付き始めてるんですね。

 

で実際、ETU強さを示せたのか、というところは次巻で!

 

 

あと細かい好きな所

・「問題になりそうなこと言わせてんじゃないよ」の杉江。

はたかれたクロの頭の振動まで伝わって来そうで笑った。

角度といい発言といい、あの時のクロの頭ははたかれるためにあったな。

 

・代表に赴く赤崎に対するベンチいじりも恒例になってきたような(笑)

「赤崎もベンチから声出せよ」

「なんで俺がベンチって決めつけんだよ」

「あはは!いちいち反応すんなよお前」

やっと赤崎にもかわいげがでてきた感じするなー。40巻かけて。ふふ…

 

・日本代表ホンジュラス戦のメンバーが発表された時の

「あと山形の瀬古も初めてだ」

「ああ堀田さんが削ってレッドもらった時の」

「うるさいよ」

っていう堀田さんのツッコミもめずらしくてなんか嬉しかった。

うるさいよ、って。さりげなさが堀田さんらしいわ。

そんでホンジュラス戦のメンバーうるさそうだわ…

 

・代表入りを素直に祝ってもらえない夏木、

祝ってるのに気付いてもらえない殿山くん…

「(なんだこの悲しい光景は)」

だ、誰も幸せにならない構図だ…!

この後入場前におめでとうございますって言ってあげてる石浜見て

こういう所が愛されるんだなと思いました。いいやつ。

あそこでETUのみんなが「石浜ー!」ってわらわら寄ってくるのいいですよね…