ドラマ ドクター・フー シーズン5~7視聴時の感想です。
X(旧Twitter)のポストをまとめたものです。
当初まとめるつもりがなかったので書きたい部分だけ書いているのですが、読み返して「やっぱりそこ良かったよな」と思ったので残しておきます。
ぶつ切りで読みづらいかもしれませんがご了承ください。
シーズン5
ドクター・フーS5E7「エイミーの選択」安心できるけど波乱もない幼馴染、危険に満ちてるけど冒険に連れてってくれる運命の人、どっちを選ぶの~!?というコッテコテの部分も楽しみつつ、時間と空間を自由に旅することができるゆえに、その輪から離れたドクターの孤独が胸に残りました。
三角関係の恋愛もの要素でキャッキャさせてもらったんですが、それだけじゃなくて帰属の話でもあったのかなって。ドリームロードが揶揄するように若い子に慕われて喜んでる面もあるんだろうけど、ただ一人の種族となってしまった自分と「同じ側」に誰かいてほしいという願いもあったと思う。
あの場面は劇薬のような作用をもたらしたけど、その前の髪を切る部分がエイミーの決断を後押しした所もあると思う。一緒に変わって行けるローリー、そうではないドクター。
そうさせるだけの繋がりを築いてたって所でもローリー大したやつだよ。フィクションだと大抵当て馬になるパターンの立ち位置だよ。だって相手は「運命の人」だもん。そりゃ強いよ。
どちらかしか選べない、という設定からの展開の上手さは舌を巻きました。今回特に心境と行動がリンクする話だったから余計グッと来たんだろうな。
ドクター・フーS5E10「ゴッホとドクター」小難しいSF設定にこだわる私が「うーん反則なのでは…」と言う一方もう一人の私が「うるせえー!じゃあ目から出てるもんは何だ!」「これは、涙…」みたいになる回だった…
フィクションの役割のひとつが「現実がそうではないのは百も承知だがこうであってほしい」という願いを叶えることなら、そのロマンを最大限活かしたようなエピソードでした。もうそのロマン力(ろまんぢから)で細かいこと吹き飛ばされるくらいの。
あとひまわりに囲まれて微笑むエイミーがとてつもなく美しかったですね…
そんでS5のクライマックスエピソードを見ているのですが、これは…独立した各エピソードの要素がクライマックスで全て繋がってくる私が大好きなパターン!!
ドクター・フーS5クリスマス回も含む最後まで見ました。面白かった…時間をまたにかけるタイムトラベル要素、宇宙の様々な種族が出てくるSF要素、そういったギミック寄りの楽しさと人が人を思う力のヒューマンドラマの良さが両方あって、そのバランスがとても好きな感じでした。
基本テンション高めで何事も楽しそうなドクターが怒る時って自分も含めた誰かの愚かさや力不足で失われなくていいはずの命が失われた時なんですよね。
船とか街とかロボとかの制御AIが擬似人格あるのが大好きなのでターディスちゃん話にグッと来ない訳がなかった…ターディスちゃんの場合は厳密には違うんだけど。
宇宙の不思議なものをたくさん見たい人間とマシンが初めて見た時から惹かれあい、共に旅することを決めた出会いを「互いを盗んだ」って言うのがとても素敵。
シーズン6
ドクター・フーS6面白かったけど好きなのはS5という感想分かる気がします。S6はシーズン通してのベースとなる出来事が暗い上に、そこへ向けて積み重ねる話が多いからみんなが心身共に辛い目に遭うことが多くて見てる方も辛いんですよね。その分続きが気になって一気見しちゃったけど。
シーズン7
ドクター・フーS7、シーズンの半ばに大きい出来事があるんですが、その後の話でターディス内でメガネをかけて本を読むドクターが本当に老人になったように見えてマット・スミスさんの演技力凄いなって思わされました。ライティングとかの効果もろもろ含めてだけど凄い。
そのすぐ後、好奇心を取り戻した場面ではイキイキとした青年の顔に戻ってるんですよね。この落差よ。
ヴィクトリア時代に私立探偵として活躍する爬虫類人間のマダム・ヴァストラと武闘派メイドのジェニーの異種同性カップルとか最高やん…
ドクター・フーS7E8「時の女王」
宇宙のお祭り見て心温まる交流もあってウフフ楽しい冒険譚ねーと見てたら終盤の展開がもおお。千年に渡る年月を生きてきて楽しいことばかりではなかったことは11代目の物語の序盤から示されていたけど、話数を重ね、絆を深めた人たちとの話があってからのこれは刺さる…
再生する体質によって、過去によって、矜持によって、おそらく死ぬことのできないドクターの自殺行為にも見えて胸が詰まった。
人を愛し関わるが故に大切な人を危険にさらし、あるいは自らも傷つき、だけど愛さずにはいられない自分の業のようなものを捨ててしまいたいと身を投げ出したようだった。
時空を渡り素晴らしい頭脳と便利な道具を持っているけど、万能ではなく失敗や後悔もたくさんある。心躍る冒険に連れていってくれる人だけど、一緒に旅をするコンパニオンは決して元の人生には戻れなくなってしまう。
功罪というのか、両面抱えてることがドクターというキャラクターの深さなんだな。
それでもシーズン7を見ていて「仕方ないけどこのまま進んでしまうのかな」と感じていた寂しさにもう一度寄り添ってくれたようでうれしくもありました。忘れられないで苦しむドクターは見ていて辛いけど「忘れないでいてくれてるんだね」と思えました。
前も書いたんですけど、好奇心を押さえきれない青年の躍動感も子供の無邪気さも経験重ねた老人の苦悩も感じさせるマット・スミスさんの演技が本当に凄い…十数分前宇宙の青い果物ニコニコモグモグしてたと思ったら千年の年月に押しつぶされそうな老人の顔してんですよ。そんで両者繋がってるんですよ…
ドクター・フーS7E15「ドクターの日」
過去最大の罪にドクターが向きあう50周年スペシャルエピソード。払拭するチャンスと、しかしそれがあったからこそ今のドクターがいるという問題の解決方法がSF的にもドクター個人の物語としても素晴らしい話でした。
広い宇宙でドクターただ一人が抱える孤独、それに希望が見えたのがよかった…
ドクターが漂流者であることは変わらないけど、人の心を持つ者が原点として追い求める土地、土台となる場所、故郷に繋がりを持てたことが嬉しかった。
違う時代の、だけど同じ人物のドクターが同時に同じ場所に存在するシチュエーションの活かし方が最高。「それは見たかった」から「それは思いつかなかった」まで様々。
タイムマシンあるから自分の過去と向き合う、ってことが物理的にできちゃうんだよね。メタ的な事情からこういうスペシャルエピソードでしか実現は難しいんだろうけど。
他の回でもタイムパラドックスが絡む良エピソード多かったのでスティーブン・モファット氏にはこれからもSF作品書いてほしいな。
お互いのメガネ姿を「ヒュー!いいねえ!」って褒め合ったり、同じタイミングで椅子に座って脚を組んだり、10代目と11代目ドクターのシンクロ場面かわいさが致死量だった…
ドクター・フーS7の、そして11代目ドクターの最終エピソード見ました。
設定上は同じ人でも見た目も性格も変わってしまうし、お別れなんですよね…まさに命を燃やしつくすような、精一杯やった最後に辿りつけたのはよかったけど、私が出会った最初のドクターだったので今はただ寂しい。
普通の一話完結のエピソードだと思って見てたらいきなり別れが来るパターン結構あっただけに、お別れの挨拶を各方面にしてくれてなだめられる所もあるけど、やっぱり寂しいよー!