さわやかサバイバー

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灼熱カバディ 単行本第1巻感想

twitterに上げた灼熱カバディの感想をまとめたものです。単行本第1~4巻分はpixivでの追いかけ連載時のものなので先の展開に触れている部分があります。

 

続きから第1巻ネタバレ感想

 

第3話

 序盤を読み返すとチュートリアル的な要素とドラマが無理なく絡まってて、その後の布石もしてあってフェー!ってなりますね…
カバディの攻撃の基本
・勝負にこだわり、勝つための努力と工夫に全力を尽くす宵越の長所
・そこにいち早く気付き、触発されていく畦道
第3話で描かれるこれら、全部その後に繋がっていきますからね…

第2話では手を繋がなくてはならないという理由で主人公・宵越は守備を嫌がってるので、まず攻撃からという流れなんですね。コメディ的な描かれ方で「男と手を繋ぐなんてゴメンだ」って嫌がってんですけど、手を繋ぐっていうのはド直球に他人と連携する意味も含まれてるので、連携を嫌がる宵越の背景、それが変化していく今後の展開を踏まえると上手いなあと思います。

 

最近の洗練された絵も好きだけど序盤のゴツゴツした感じも好き…第3話は「うッ…そだろ!?」のアングルすごい。自分で描いたら絶対訳分からなくなる。

 

第4話

 好きな回だ!寄り道エピソードに見えて、勝負にこだわる姿勢の理解者がいるのかもしれない、と、かつて叶わなかった連携への希望が芽生える回なんですよね。いやまあ、全話好きなんですけど。小さいコマだけど「バカだろ…」と次の「バカじゃねーよ!!」の所好きなんですよねー。あそこのちっちゃい畦道の顔お気に入り。

第3話の時にも書いたんですが、カバディでの守備の基本「手を繋ぐ」ってことが精神的に他人と手を取り合う姿勢とも重ねてあると思うんです。ここでなら勝負へのこだわりを共有する仲間ができるかもしれない、という思いが守備へ乗り気になるきっかけなのが上手い絡め方だなあと。

 第4話以降も、王城部長がお互いの練習中以外の姿も知っとこうね(意訳)って言ったり、能京はわりと普段のコミュニケーションも大事にする感じですよね。宵越はそれがきっかけで強い者以外へ目を向けるようになったし、ストイックな姿勢で引っぱる不破攻略のカギがここらへんにあるような気もします。歓迎会には命かけすぎだけどな…そのくせ詰めが甘いけどな…

 

第5話

 守備へ乗り気になったからといってすぐは成功しないし、当然壁にぶつかる訳ですが、そこで理論的に考えることができるのが宵越のいい所。「勝負なら常に最善を尽くすのが…普通だろ。」前回、知らず畦道が肯定した宵越の勝負への姿勢が今回また宵越本人から畦道へ言葉となって投げかけられる、この相互作用していく感じもいいよね…

 あと煽るのがヘタクソな2年生かわいすぎか。水澄なんか前あんなだったくせに。

 

第6話

 叶わないと諦めていた仲間との連携が成功し、情熱を取り戻し再生していく主人公。胸熱!

負けず嫌いの宵越が畦道に負けたことがきっかけとなり、全力で勝とうとする宵越の姿勢に畦道は触発され、狭いコートでチームを組むことで、ぶつかり合いながらも心理的な距離も縮めていった上での連携。たった5話分でも、ここまでの積み重ねが反映されてる連携だからグッと来る訳ですよ…!

人は皆違う、だから連携は無理だと思っていた宵越が全く違うタイプの畦道と連携成功させられたこともカタルシス大きくさせてると思います。と同時に、性格や同じ学年であること、色々な要素を考えると畦道だからできた連携だよなと感じられる人物配置や動かし方になってるのも上手いなあ。この少し後に明らかになる畦道のこれまでを知るとさらに納得できるんですよ。

宵越は才能や体格に恵まれて、一人でなんでもできたから気付けなかったことがある。その一方で後悔やコンプレックスを力に変える人がいる。輝かしい成功、苦々しい後悔、表面的な印象とは違う面に光を当てているのも魅力的です。

 

第7話

 「勝負なら最善を尽くすのが普通」知らず相手に影響を与えてきた言葉は3度目にして互いに共有するものとなり、宵越に新たな一歩を踏み出させる。っかー!!たまんないすね!

才能があるゆえになんでも一人でやろうとして行き詰まった過去を越えたことを表す、宵越が畦道へ手を伸ばすコマの、衝撃や力強さをガツンと伝えてくるパースの効いた絵がとにかくカッコいい。

 

今回に限らないんですけど、何かを達成したカタルシスと同時にそれを上回る展開、次の課題も同時に描かれて「まだある!次はどうなる?」って感情のドライブが止まらないのが凄いんですよね。かといって達成感は減じられることないから満足感もあるという。

あとね、第7話を読まれた人はぜひもう一度第1話読んでもらいたいです。特に最後のページ!