さわやかサバイバー

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灼熱カバディ 単行本第17巻感想

twitterに上げた灼熱カバディの感想をまとめたものです。

  

続きから第17巻ネタバレ感想

 

第160話

 王様は場を支配する。前回、自己イメージとして王様出してきた高谷がコートの支配権を握る流れが上手い。でもそれが自分の調子は上がるけど他の人には地獄なの、えげつない…
ってところで満を持して能京の魔王様!キャー!たのんます!引っくり返して!

 

素人考えですが、六弦がコートに戻ってもそれほど活躍してないのは、今コートが高谷のテンポになってるからなんじゃないでしょうか。テンポの変化は勝負を左右すると聞くし、高谷のは特に他の人がついて行けないもののようなので。

 

宵越と高谷の超至近距離での攻防、そうだ練習試合でもあったあった。あの時はやられて頭に血を上らせていた宵越が囮にも引っかからず「視野を広げろ」と冷静に考えられているの成長を感じていいですね。恐怖を乗り越えて考える力しっかり戻ってるし。
しかもこれまた練習試合を思い出させるロールキック成功させてってのがうれしい。まあそれで終わらせてくれないんだけど!

 

前回の感想で高谷を矛盾抱えたキャラと書いたんですが、努力しないで結果が出るのがいいよね~とか言いつつ、極限状態になるほど力が出るのもそうですよね。
紅葉戦で生きている実感をかみしめている場面があったように、体格も能力も恵まれてイージーモードな人生をそれはそれで楽しみつつ(腹立つなこいつ)心の底から震えるようなよろこびは自分にとって未知のものなのかもしれない。

同じ手で2回とも奏和が勝つとは思えないんですが、高谷の底なし感が予想立たせてくれません。どう転がしてくれるんだろう。

 

第161話

 片桐と緒方、強さへの向き合い方がまるで異なる者同士が、より強くなるために自分にないものを取り入れ認め合っていく様子は胸躍りました。最後の場面もそうやって思考の距離が近くなったがゆえのことだと思うけど…辛い。

 

 しかし高谷が連れ戻しに行ってたとは意外。他の人に興味はなくて、辞めようとどうしようと本人の好きにすればいい、みたいな感じかと思ってました。連れ戻そうとするくらい、前から片桐に一目置いてたのかな。

片桐が「お前らとは違う」と、六弦について行くことを諦め、見切って距離を置いたたくさんの人々と同じ言葉を口にしてしまうのが苦しいんですが、あそこの高谷の表情を見ると興味なくすボーダーラインだったのではという気もします。

 

正論だろうが後輩にあんなこと言われたら、その後どんなクリティカル出そうが私だったらすぐ受け入れられないけど(器が小さい)見栄もなく飛び出し緒方くんの言葉を確かめる様子は片桐がどれだけ追い込まれ、また希望を欲していたかが伝わってきて胸が締め付けられました。
あの顔なあ…ウウッ。

あそこの緒方くんもまあまあ生意気だけど、片桐はどんなに努力しようと追いつける可能性がないことに絶望していたので、謝るより可能性があることを伝えたことは正解だったんですよね。方向が違うだけだと。というより他に正解はなかった。

それができたのは競技問わずたくさんの可能性を見続け、実践を始めた緒方くんだったからこそ。最後の引き金引いたのは緒方くんだったけど、彼が言わなくてもあのままでは片桐はいずれ袋小路に入っていたのではないかと思います。

今回の「可能性」のように、一見大きく離れている二人が言われてみればその点で繋がるじゃん!と気付かされる関係、私大好きでね。武蔵野先生それ上手でね、ホントありがとうございますだよね。

 

失敗も後々の活躍フラグとして見れば心なぐさめられるということもあるけど、高校三年、試合時間残り5分でこれはきつすぎる。苦しめるためだけの展開にはしないと思うので、心理面だけでもなんらかの巻き返しをお願いします…!

前回ラストは王城部長やっちゃってー!ってテンションだったのになあ…能京には勝ってほしいんだよ、勝ってほしいけど今回のフォローがあってほしい…

 

「?」「?」は数少ない和みポイントでした。分かってない人とどうして理解できないのか分かってない人かな。

 

第162話

 体力も気力も限界の状況で起こった悲劇だったけど、奏和の選手が粘れたのはまさに限界までいつも突き詰めていた片桐の姿を見ていたからなんだろうな…本人はそのつもりなくても、限界でも食らいつく強さを示していたんだ。

作中で描かれているように故障者が出かねない時点でほめられないし、本人も3年生最後の公式試合まで日の目を見なかったし、成功者とは言えないんです。その苦さの中で、それでも努力が間違いなく報われたってことが胸を打ちます。

なにかひとつに打ち込めるって、それだけですごいんですよね。片桐自身は才能の差に嫉妬し可能性の限界に打ちのめされもがいていたとしても、その姿が実は他の選手に「限界でももがき続けることはできる」という可能性を示していた。それが今回の奏和全体の底力に繋がった訳で(栄ちゃあん!)甘くはないけど必ず想いはすくい取ってくれる灼カバ好きだ…と噛みしめました。

 

皆、の中には緒方くん自身も含まれてるのかな。背中の絵とインターフォンの演出が面と向かっては伝えにくいけど奥底にある彼の憧れを表しているようにも見えました。ていうかそうだったらいいなって願望。

最初緒方くんの言葉も高谷が言ってると勘違いしてて、「やめろ、あまり情に厚くなるな…適度に腹立つ奴でいろ…なんか困るから…」と理不尽なクレーム入れてた。でも高谷も変わってきてますよね。

 

片桐の感情の昂りは怒りの形で表れるのだな。どうしてあいつはあそこにいるんだ、自分はここなんだ、という今自分がいる場所に対する憤り。それがこれまでは行き場のない、表には出せない嫉妬心からだったのが、仲間に応えて前に進まなければと鼓舞するものに変わったことがうれしい。能京にしたら怖いけど、このままでは終われないもんね!

 

第163話

 井浦は自分を犠牲にする場面も想定していたと思います。一方、片桐は思いがけないアクシデントからの状況。正反対な二人が勝つために「2番の仕事」を全うする。自分を抑えた行動をただ美談にしてはいけないけど、その献身に両方の勝利を願ってしまう。

 

見る側でしかないと思っていた自分を見てくれている人がいる、そう気づいたことは片桐の精神的な視野を広げてくれましたが、それがプレー面での視野にも影響を与えていくのが上手い。

立ち直りイベントこなしたから今までできなかったことができたぜ、って短絡的な話ではないんですよね。振り返って「見られる側でもあった」と気付いたように、緒方くんが教えてきてくれたことに初めて自分から向き合ったから理解し実践することができた。ちゃんと根拠がある。

それでもあの「ぎぎぎぎぎ」からどれだけ耐えて食いしばっているのかは伝わってきますよね。この大事な局面で自分では足りない、と認めるのはどんなに悔しいことだろう。
井浦だってさあ…
そんな思いまでして引き寄せようとする勝利をどちらにもあげたくなりますよ。

 

まーーー井浦がかっこいいんですわ!知ってるねゴメンね!最後の最後まで失われない冷静さと判断力でピンチを救い、後輩だけでなく王城部長を奮い立たせて、颯爽と託してコートを出ていく。2ページでこのあざやかな仕事!かっこいいーーー!

「お前の夢、俺たちの目標」練習試合で熱くなりすぎた王城部長を止めた時の言葉を今度は背中を押すために掛けてるんだ。どちらも損な役を引き受けつつ。この場面の台詞、どれもシンプルなんですがこれまでの積み重ねもあって全部刺さる。全部が井浦慶のかっこいいとこ表してる。

 

ここで応援席まで心揺さぶってくるー!?どちらにも思い入れがある外園も、ただ黙って肩に手を置くヒロもいいやつ…二人とも普段は陽気でおしゃべりだから、ギャップが染み入りますよ。

 

はー!双方出しきった末のクライマックス、って感じですね!どちらかが勝てばどちらかが負けるという事実には心締め付けられるけど、すごくいい形で盛り上がってくれたので存分にワクワクできるのがうれしい。王城部長も六弦もいい顔!

 

その他。そりゃ「え…?」って言うわ。亜川監督の反応分かるわ。伊達家、会話に筋肉縛りでもあるの?笑ったけど「強く恐ろしい」と恐ろしさにも触れているのがいいなと思いました。限界や認識をねじ伏せてしまえる力をただほめてるだけでないのが。

6ページで王城部長の視野が描かれてる最後のコマ、側面の方、はっきり明暗分かれてるんじゃなくてぼやかしてあるの、あれ周辺視野を表現してあるんですかね?細かくて好き。

あれ、木崎の新技は…

 

第164話(前編)

 主人公サイドなのに、応援してるのに、攻撃が成功した時「やった!」より「怖!!」って言っちゃうよ王城部長の攻撃!そこも好きなんですけど!接触の瞬間、読んでるこちらまで刃を突きたてられたような気持になりました。

ページをまたいだ直後に不意を突くコマ、というのは基本的な技術かもしれないけど、そこまでの流れが上手くて、激しい攻防繰り広げた後、六弦と同調して一息ついちゃったんですよね。それであれだもの。カウンター受けるのってこういう感じか…本当に一瞬も気を抜く瞬間作れないじゃないですか。うわーやだ、絶対敵に回したくないこの人。

 

想定する「最悪の状況」が攻撃と守備では異なるという話、言われてみればそりゃそうだと思うような当たり前のことなのに、その視点の違いがこの状況で有利不利を分けてくるのも盲点を突かれたような驚きがありました。(今回いろいろ突かれっぱなし)

しかも味方が多いことがデメリットになるとは。選択肢を選ぶほんの一瞬の迷いが勝負を分けることがこの二人のレベルの高さを物語っています。
六弦あの体格でめちゃくちゃ速かったじゃん。宵越自慢のスピードを殺すくらいだったじゃん。その彼が遅れを取るんだよ。ヒェ…

 

片桐の粘り自体もウォォってなったんですけど、熱さの中にも客観性が見られたというか、視界が広くなった成果が感じられていいですね。ただ手を届かせてくれる相手かどうか…届いてほしいような届いてほしくないような!残り時間が減っていくのと同時に感情も追い詰められるー!

 

第164話(後編)

 王城部長との長年のライバル関係が今の六弦を作ったことは間違いありません。直接対決をこれでもかと盛り上げながら、その結果はライバルという一対一の関係からさらに開かれたものへ六弦を導いていく。試合前の告白、ハーフタイムの「生まれ変わる」宣言を経て、奏和部長・六弦歩が誕生する。

 

あの緒方くんが「意地でも気合でもなんでもいい」と言う冒頭からもうグッと来たのですが、これもただ単純に頭脳派が「データが全てじゃない」となったわけではないんですよね。

1年生の自分は知らない絆が上級生にはあり、力となることをその目で見たあとに、自分の考えを取り入れてくれた片桐との間に信頼関係が築かれたから出てきた叫びなんだと思います。緒方くんの知識があったから片桐と絆が結ばれ、そして今、彼もまた絆から生まれる力を信じ願ったのだと思いました。

 

試合の最初の方で王城部長と六弦の対決があったけど、そのあと他の選手の活躍もたっぷり描かれて総力戦になっていったじゃないですか。練習試合の因縁もあるし、チーム全体の対決でも盛り上げるんだなと思ったんです。

私の中で奏和戦はずっと「王城部長と六弦のライバル対決」と「チーム対決」の二つの軸が並んで描かれている印象だったんです。それがこの最終局面で見事に融合していった驚きと興奮ったら!心理面でそうなっていくのはまだ予想がつくにしても、ちゃんとプレーに、結果に結びついていくのがたまらん。

その最たるものが片桐の活躍です。彼の物語だけでじゅうぶんドラマチックじゃないですか。しかしそれだけにとどまらず、自分だけでは、一人だけでは勝てないと思い知った彼が土壇場であの協力守備を生み出し、諦めかけた六弦に活路を開かせるなんて!

しかも「見ていてくれる人がいる」と知って失敗から再起した彼が、自分もまた六弦を見て追い続けたことでここまで来られたことを伝え、六弦がキャプテンとしての自分を受け入れていく流れは胸熱くせずにはいられないでしょこれ。

……っもう、なーーーーーーーーーーーーー!!!!(読んでる人と肩を叩き合いたい)

 

試合前の「あまりカバディ好きじゃないかも」告白や高谷の過去回想で、六弦はまとめ役というよりも一選手として誰よりも先を行く姿勢でしか部を引っ張っていけないと、割り切ってそのやり方を選んできたことがうかがえました。だけどそれしかできないことにどこか負い目があったのかもしれません。

そんな彼が結局は一人では勝てなかったと、一人の限界を知る。でもそれは力が及ばなかったということではなく、仲間がいたから勝てたと認められたのが胸を打つし、六弦の選択もちゃんと実を結んでいたとわかったこともうれしい。

一人の限界を知る展開でも、一選手として励んできた過程を否定されないんですよね。そしてライバル関係を土台に、六弦は一対一だけではたどり着けない境地へと進む。決して切り捨ててはいかない。抱えていくがゆえの苦しさもあるけれど、それを超えた豊かさに満ちた作品なんですよ灼カバは…

そんでやっぱり佐倉くんが王城部長の影響から抜け出した時のことも思い出しちゃうよね。

 

ってすごく感動したんですが、王城部長勝つでしょと信じ込んでいたのでショックも大きくて動揺が。倒されたあとの表情が一切描かれてないの気になりすぎるよ…

チーム全体の頑張りが個人のプレーに結びついたのは六弦だけじゃなくて王城部長も同じだったのに。仲間の力が実際にその場で借りられる守備と一人で戦う攻撃手の違いか…このメリットデメリットが前編と対比になっているのも後編のインパクトを強めているなと感じました。

どっちも好きだから力の限り戦ってくれたら結果はどうであろうとかまわぬ…と、どっしり読んでるつもりだったけど、敗退の実感が迫ってきて急にアワアワしてきました。や、やだ。能京負けるのやだ。今回すごくいい話だったけど、それはそれ、これはこれ!

 

第165話

 逆転前の試練っていうなら前回まででじゅうぶんでしょ!なんでこんなダメ押しするの!このまま終わらないって信じてるけど、信じてるけど若干吐きそう!

(主に宵越に対して)武蔵野ドS神…

 

高谷が終盤に強いのに対して宵越は序盤が強い選手です。でも奏和戦は王城部長を温存してたから宵越出ずっぱりで、奏和は7人の全員守備でと、もう相手が圧倒的に有利な状況で挑まなければならない。

見てるだけで気が重くなるような空気の中で宵越が見せる闘志が頼もしい。読み進めるのが怖くなるのをこの負けん気が後押ししてくれるようです。この状況でももがくこと(ストラグル)を続ける姿勢に、彼が主人公である意味が光っているように見えました。

 

 竹中監督ー!サッカーの監督ならラストワンプレーで試合がひっくり返ることもありうるって知ってるでしょー!いや確かにそういうのは1点差の時とかだけどさ!信じたげてよ!なんのための応援団なんだよ!(サッカー部だよ)

 

 練習試合のときの王城部長の「能京を育てたのは僕じゃない」という台詞と呼応するような井浦の今回の「育ててきた」という台詞、練習試合を思い出すならその成果が実ると信じたいし、今度こそ勝利も…!

 

第166話

 返して!心拍数正常値を返して!ここしばらくドキドキしっぱなしだよ!宵越一人で挑まなければならないと思ってたところへの畦道の支援は心強い。いい相棒だあ!しかもあの畦道が頭脳プレーですよ。どんどん変わっていくね…

ラストプレーかと思ったらまだ刻んでくるし!怖い!ひとつひとつのプレーが怖い!こんないつ折れてもおかしくない程のわずかな時間で戦況と人の心を動かしていく宵越、かっこいいよ…!

何度も言ってますが灼カバって謎の主人公パワーで勝つことってないんですよね。今回だって宵越の負けず嫌いは第1回から描かれてるものだし、回想の届かず悔しい思いをした場面は全部これまでに宵越自身が味わってきたものです。

どうしてこんな状況であきらめず戦い続けることができるのか、その源は何か、私たちは知っている。だからこの活躍にも納得できるし、応援したくなるんです。
丁寧な根拠の種まきがあるから感情の花が爆発するんじゃよ(爆発しちゃダメだろ)

 

高谷ファンの子が宵越の姿勢に心動かされてる様子もうれしかったです。観客席にも伝わったという作品内のできごともうれしいし、単なるキャラ持ち上げ要員ではなく、ちゃんと試合を見てる子として描いてくれたのもうれしかった。拝んでるのは笑う。

 

王城部長の表情がやっとしっかり見られて、闘志が戻ってるの、ホッとしました。畦道の行動が呼び水となり、宵越のプレーが仲間も相手も動かし、一人で行うはずの攻撃がコート上全員の駆け引きになっていく様子に鳥肌。戦況と感情がリンクして盛り上がらねえわけねえんだよ!

 

でもこれ高谷の得意な状況ですよね…宵越がかわされてもまだ策があるでしょあるよね!なにか!なんかが!あってくれ!

 

第167話

 そうだよ驚きの展開の裏にはいつもそうなる理由があるんだよ!
会話などできない残りわずかな時間の中で「今」の宵越の負けられない理由が描かれ、その闘志のバトンを渡し受け取っていくかのように王城部長、井浦のプレーが繋がっていく様子に心沸き立つ!

前回の感想で私は宵越の負けず嫌いを第1回から描かれているもともとの気性と書きました。だけど彼の「負けたくない」はいまや自分のためだけではなくなっているんだな。それがうれしい。

 

いや最後驚くよそりゃ驚いたよ!でも「終わってたまるか」の背後に描かれた過去場面、その時の会話や様子を思い出せばパズルのピースがはまるようにして最後この展開の絵が出てきたような納得感。
は~~~漫画うま王…

第9巻の王城部長の「慶が攻撃に出る事もあるかもね」って台詞は井浦の未練を引き出すことで役割を果たしてるんです。それを実は宵越が聞いてて、譲った気持ちを知り、自分のためだけでない勝利を欲し始める。きれいにまとまってるからすでに一区切りついたエピソードとして記憶されてました。

それがさ!まさか実現するとは!
一区切りついてると思ってるから意識に上ってきてない→新鮮な驚き
しかしエピソードは覚えている→納得できる
伏線を伏線と気付かせない見事な下ごしらえですよ。

あと2番の仕事回で副将としての役割をきっちり果たしてて「これが井浦の本職」って印象を残していたのも今回の驚きを大きくしてくれました。立派な仕事だし間違っていないけど、それ以外の行動を取る可能性を頭の中で遠ざけてしまったよね。

 

高谷から井浦への「似合わない」プレーという流れにも撃ち抜かれましたよね…あの高谷が自分の勝負でもないところで、まったくスマートじゃない、あんな粘りを見せるなんて。自分の楽しさとチームの勝利が重なるならやる気になる、って考えなら出ない粘りじゃないかな。

一方で井浦の執念はさ~表にはあんまり出さないけどさ~読者は知ってるんですよね~!六弦も片桐も残ってる奏和からどう点をもぎとるのかさっぱり予想付かないけど、頼むから報われてくれという気持ちでいっぱいです。

 

第168話

 読者としても井浦に頭脳担当を押し付けていたのを気付かされてドキッとしました。彼の闘志を埋もれさせず、これまでの日々も結果に繋がる、本当に深く登場人物の思いをすくいとってくれる作品だ…

 

勝ちたいという闘志から生まれた作戦が認められたことで結果彼自身の勝利から遠ざけられていったのが皮肉です。他の人は強くなりチームの勝利には繋がる、最初の望みと近いものが叶えられるぶん、やめる理由はないけどその違いは辛いだろうな。

不本意な年月だったのか?という流れになりそうなのを、その間の実績で六弦を退かせたと逆転したところに胸打たれました。積み上げたものは望みから隔てる壁ではなく、到達するためのいしずえになったんだ。

未練はあるけど宵越を認め攻撃手を譲ったことや、自分を犠牲にしても二番手の仕事をまっとうしたことは感動的で、読者としてはそのエピソードだけで満足してしまって、本人の望みを置き去りにしている身勝手さを突きつけられたようでした。

この回がそれを指摘するために描かれたとは思いませんが、これほど衝撃だったのは私がこれまで触れた物語の多くはそこ止まりだったからだと思います。読者が消費できる美しいエピソードの裏に道具や装置のように使われ顧みられなかったその人本来の望みに気付くこともなかった。

だから「それで終わっていいわけないだろ!」と隠された望みに光を当て、すくいとってくれたことが驚きで、とてもうれしかった。私以上に作者が登場人物を大事にしてくれてるのってすごく心強い。

この成果は井浦自身の行動が呼び込んだものなのもいいんですよね。作者であれば都合よく報われる展開にできるけど、そうはしない。これも登場人物の努力を軽んじないってことだと思います。だから勝利にはまだ届かない引き分けでも「甘くないな」と思いこそすれ、不満はなく、達成感があるんですよね。

 

生首とかヒェッとなる演出が今回多かったですが、未来描写もなんかモゾモゾしたぁー!
社長になったのか…?俺以外のやつと…(共同経営者気取り)
あれはifなんですかね?本当にああなるのかな?少なくとも描かれた場面よりは笑えてる未来だといいな。

佐倉くん観戦する側なのに完全にやる気スイッチ入ってますね。よい…
ちび正人くんの「やろう」ゴリ押し四段活用笑う。
冴木も神畑もその頃からの付き合いなんだねー。神畑は小さいころからデカいな。

 

第169話

 井浦が延長戦をつかみ取った闘志は敵に味方に観客席に伝播していく。攻撃手二人がこれに報いるには勝利以外ないし、自分ならできると当たり前のように確信してるのがいいですね。優しさと闘争心両方感じられる表現で好き。

 

亜川監督が感銘を受けている1ページ目でもうノックアウトだった。勘弁してくださいよ先進めねえよ…自分が味わった無力感を味わわせないために一握りの天才でなくても活躍できる方法を模索している亜川監督だから井浦が成し遂げたことはどんなにまぶしく映ったろう。

前回、願いが叶わない結果を切ない物語として消費することに無自覚では駄目だよね、と気付かされたけど、違う形でも報われるお話は私やっぱりどうしても好きみたいです。全てが叶うわけではない現実に希望を投げかけてくれるから。

(作品に限らずだけど、読者のエゴって完全に消すことはできなくても、せめて自覚して作品や作者や他のファンに失礼にならないようにコントロールしていきたいなと思ってます。)

 

「運じゃ拾えないチャンスだった」 そーれー!!宵越いいこと言う!(突然の上から目線) お世辞なんか絶対言わない宵越だから本当に井浦の実力を認めてるとわかるのがいいし、同じ評価を奏和もしていると警戒する鋭さもいい。

 

延長戦の形式は得点の動きがさらに激しくなる感じですね。人数やルールの変更点はあるけど、基本は普通の試合と変わらなくてチームとしての作戦がものを言うから、コート外の井浦の活躍が引き続き見られてうれしい。

そういうわけで作戦大事だから畦道あんまり怖がらせないであげて部長。すげえ顔してんだろうな…

 

前代未聞ってまたハードル上げますね!こちとらずっとハイボルテージだよ受け止め切れるかな!?