さわやかサバイバー

好きな作品の感想を書いています。カテゴリー一覧は50音順で並んでいます。

灼熱カバディ 単行本第24巻感想

twitterに上げた灼熱カバディの感想をまとめたものです。

  

続きから第24巻ネタバレ感想

 

第225話

 どちらが勝ってもおかしくないと思いながら読んでたつもりだったんですが、私は自分が思ってた以上に英峰に勝ってほしかったんだな…と感じた決着でした。

単に好みの問題だとか、読みこめてないだけなんだとは思うんですが、今回までの描写では不破の背負ってるものが英峰の熱量に値するものだったのか、腑に落ちてないというか…現実はそうでないとしてもフィクションでは納得したかったというか…

 

たぶん私が期待していた方向や広がりとは違ったのだと思います。ライバル同士の勝負となれば、両者の間でしか成り立たない感情や関係があり、それがぶつかる様子が見たかった。

不破が相手に興味がないのではなく、これまでの相手のことすべてをおぼえているというのは、あまり見えてこなかった内面やモチベーションがうかがえる、いい場面だったのですが、「みんなおぼえている」というのは英峰もその大勢のうちのひとつになってしまったような感じがして。

神畑が星海やそれを率いる不破をまっすぐ目指していたので、不破にも神畑だけにしか引き出せない面をもっと見せてほしかったです。神畑自身は絞首台の場面で納得なのかな…

さきほども書いたように、たぶん単に好みの問題なんです。今後の描写でこの試合の印象が変わることもおおいにあると思います。それが起こるかどうかも含め、この後の展開を楽しみにしています。

 

226話(前編)

 能京戦前はやめるつもりだった山田が「俺は終わらねーぜ?」って言ってるのがグッと来るじゃないですか…自然な流れで、当たり前であったかのように。読者は実際彼がこの先長い競技人生送ること知ってるからその言葉を本当にしたすごさもわかるんですよね…

ヴィハーンもこの後の人生で能京戦が与えた影響の大きさを見てるから、しみじみしちゃいますね。いい試合だったよ…

冴木は逆にすごんでも直前が「はやくシャワーしたい!!」だったからあたたかく見守っちゃうというか。出るところじゃなくて必死の形相で入るところ山田に見られなくてよかったよね。試合前の火花散らすどころじゃなかったろう。

 

226話(後編)

 不在がかえって神畑の意志を感じさせるのか…
味方だけじゃなく敵にも継いだ者がいて、試合全体がいまここにいない彼に報いようとするものになるんだな。関の心情吐露もそうだし、始まる前から胸がギュウッてなる試合ですよ…!

って書くとなんだか死んだみたいだ。早く元気になりなね!まあ二回戦も絶対熱戦になるから横になってても頭に血が回るよね!よかった(?)

 

普段あんなに負けず嫌いなのに、尊敬できる相手には素直に敬意を払えるし、関の思いも汲み取って闘志に変えてあげられる宵越が素敵だ。久々の登場だと思ったらそのぶん取り返して余りあるくらいの魅力見せつけてくじゃん…

ガツガツしなくたってスマートに読者に好印象与えられるじゃん宵越、と思ったけど、出番欲しくてじたばたしてる姿も好きなのでじたばたしてて。

敵だけど師弟関係でもある人との試合が叶わなかったのは宵越もなんですよね。佐倉くんと師弟のような関係になったのは紅葉の試合後かもしれないけど、合宿のときから尊敬はしていたでしょうし。

そしてその佐倉くんが師匠の王城と試合することが叶わず、思いを自分に託した姿も見ている。だから余計、関の気持ちがわかったのかなとも思います。

 

解説組、すごい仲良くなってる!亜川監督までノリが一緒なの笑う。一味だよ。もう能京とりまく一味だよ。緒方くん、先輩でしかもキャプテンだった人相手に言うなあ。六弦の王城びいきは周知の事実だけどよ。

そんなわちゃわちゃの流れでさらっと「僕は同じスポーツマンですから」って出るからなあ…!自覚とプライドが定着している様子がわかるの、うれしいですね。
で、次回からはどっちの試合が描かれるの?同時進行?心臓もつかな?

 

第227話

 合同合宿の雪辱をはらす!というシチュエーションは燃えますが、英峰にもバレバレな戦法をあの宵越がそのまま再現するだけとは思えないんですよね。勝つためのなにかを仕込んでるのでは?と思うんですが。

奥武戦後の山田との会話で心配されてたというのも、これ絡みで身体に負荷かけるようなことやってたからかな、とか。まあわかんないっすけど!

井浦は星海に負けたといえど、負けたからこそ英峰が油断ならないと理解していて、能京メンバーにもちゃんと伝えていますが、それでも星海戦で何が起こったかは見てないじゃないですか。

若菜がつぶやいた言葉に込められた意味を宵越が知らなかったように、星海戦を経た英峰メンバーの意気込みに呑まれる可能性はあるかもしれないなと思っています。宵越の攻撃はもちろん成功してほしいんですが、英峰の雰囲気掴む前にぶちかましてんのが怖いんだよー!

競技は違えど実戦経験豊富で、対応力もあるところに期待したいですが…

 

冒頭のじゃんけんはともかくとして、伊達と畦道の拍手はなにに対しての拍手なのか、よく考えたら意味不明でシュールだ。「すごい戦いがあった風」な雰囲気に流されたの?たしかに流されそうな二人。

応援席にぎやかになってるー!ていうか収集つかなそうー!

 

第228話(前編)

 うわー!あっさり決めやがった!本当やるときはやるやつだよ!
でもあっさりに見えて他人にはわかりづらい改良を重ね、しかも試合のしょっぱなから成功させるとか、ちゃんと宵越らしい努力と度胸に裏打ちされてるのがいいんですよね。

すごくかっこいいんだけど、ひさびさの試合での活躍をこんなあっさりすませてよかったの?粘れば出番が増えたのに。出たがり星人なのに。

 

神畑に見せつける態度も容赦ないといえば容赦ないけど、戦線離脱した彼を選手としてリスペクトし脅威と思っている表れでもあるなと思いました。

ただこれで英峰はさらに火がつくだろうなー!優秀な攻撃手でもあった神畑が外れたいま、攻撃をどう組み立てていくのかにも注目です。若菜が中心だろうけど、また八代や他の選手が出ることもあるのかな。

 

佐倉くんのアップがかっこいいです!ごめん、ファンなので。

 

第228話(後編)

 再戦を迎えての意気込みとか、直前に化物レベルの選手と戦った昂りとか「あれからこんなことがあったぞ」を言葉でなくプレーで会話してるの、スポーツ漫画の強み最大限に活かしてるんですよね…
「楽しそう」という実花ちゃんの感想は鋭い。

そしてしょんぼり部長の余韻…直前にかっこいいキメ顔したのにね…見るたび笑ってしまうンフフ。

一度負けた相手との再戦という状況は奏和戦と同じでも、もうスタートから全く違う味付けになってて楽しい。見せかたの引き出しの多さよー!同時進行のおかげで本田さんのヤベー顔が見えるのもいいスパイス。いやスパイスにしては刺激強すぎるな?

 

宵越の「そういやコイツ体力も…」は若菜が合宿で身体作りたいからって筋トレ人一倍やってたことの結果が出てるんだろうなとジーンとしてしまいました。体格が恵まれてなくても、試合時間いっぱいスピードを活かし続けるための土台はきっと頑強になり続けてるんでしょう。

そんで駆け引きも上手くなってるって、なんかますます主人公並みの成長なのでは…性格も申し分ないし。あれ、前回本来の主人公が活躍したはずだったのにな?

 

第229話

 いつも余裕があるように見えていた君嶋が…高校最後の大会で神畑が抜けつ、いつも通りでいられない状況で初めて行き着いた感情なのかもしれません。本人ですら振り舞わされてるのかも。後悔するようなプレーはしてほしくないのですが…

これまで明らかにダーティな行為は行われてこなかったし、灼カバの登場人物はそんなことしないと信じているのでわざと怪我をさせることはないと思っています。
悪役然として登場した律心だって競技そのものやルールをおとしめる行為はなかったですし。

宵越の足に負担がかかっているなら、さらに負担がかかるような追い詰め方を何度もするとか。相手の弱点を攻めるというのは非情だけど勝負の世界では行われていることですもんね。ただ感情がたかぶり、いきすぎるようなことにはなってほしくないです。

 

もしそうなったら「必要以上に冷静」と言われてる八代がフォローするのかな。仲間には知られてないけど、自分の内側の煮えたぎるような荒々しさをずっと抑えてきた実績があるもんな…たのむぜ相棒。

バックの成功に浮かれるでなく、同じようにはいかないことを予想したうえですぐに対策している宵越がかっこいい。本当にスポーツに対してはクレバーだ。だから君嶋の狙いにも気付いて対策できると思いたいですよ。

 

第230話

 能京と奏和のキャンプという楽しそうなイベントも、前回から時間が飛んでなにが起こったのかわからないままなのではしゃぎづらいぜ!三年生の様子から深刻な事態にはなってなさそうだけど、どうなの…?

ざっくりまとめると星海と奥武は前評判通りの結果に、能京と英峰は波乱含みの試合になったようなんですが、予兆があった宵越の脚だけでなく畦道まで怪我しとるがな!まさか英峰相手にそこまで荒れる展開になるとは。内容知るのが怖いような。

 

それもあってか、人見ちゃんの初試合になったようで。おお、とうとう!本人的には力不足を感じたようですが、初試合は大抵の人がそうだと思うよ…でも彼なら絶対なにかを学んでくれると思っているので、それを聞けるのは楽しみですね。

人見ちゃんの短パンからのびる脚が細いけど筋っぽくなってるのに萌えました。ムキムキじゃなくても鍛え続けて結果が出てることがわかるのがうれしい。

 

第231話(前編)

 初出場で緊張の極限にある人見ちゃんが関と伴に声をかけられて戦う顔になるの、いいですね…!3人の絆がわかるし、すでに試合に出場している二人に自分も追いつくんだといういいライバル意識が芽生える様子が言葉がなくても伝わってくるようです。

入部当時と現在が並ぶと関も伴も顔つきがまったく変わってますもんね。大丈夫、人見ちゃんも変わってるぞ。

 

初めて公式試合で対峙した若菜の実力に圧倒されながらも、すぐに「何なら戦える!?」と考えられるのはすごい。得点されないように逃げ回ることだけで精一杯になっておかしくないのに。

意識しなくても練習で染み込ませた動きが出たのはすばらしいことだけど、人見ちゃんの姿勢が逃げ回るだけじゃなくて向かい合う方向へなっていなかったら出てこなかったのではと思います。

緊張と混乱で思考が追いついていないなかでも、自分も戦いたいという欲求に体が応えてくれた感じじゃないかと。

 

前回の様子を見ると大活躍というわけにはいかなかったようですが(某宵越さんでもないと普通そうだよ)若菜にタッチしただけでもすごいと思うので手応え感じていてほしいな。

 

 

第231話(後編)

 新ルールを利用しての時間稼ぎ。「悔しい」を体験したあとならなおさら自分でなく畦道に託さなければならないのは輪をかけて悔しいだろうに、チームが勝つために選択できる人見ちゃんはすごい。それもひとつの立派な戦い方だ。

井浦が「お前の選んだ道だよ」って認めてくれるのがうれしいですよね。能力面で及ばない悔しさを彼もたくさん味わってきて気持ちがわかるんだろうな。それ以外の所、知識やデータを駆使してきたから、そこから新しい戦い方を見つけ出すことの真価を一番理解してくれる人だと思います。

 

若菜がわざわざ「おれの勝ちだ」と告げるのは厳しい気もするけど、人見ちゃんを選手として同等に見てくれてるからですよね。これをやり返す日が見たいなー!

 

第232話(前編)

 六弦といい今回の緒方くんといいライバルが強いとうれしそう&なぜか自分が得意げな灼カバの登場人物たち好きだよ。畦道が知らない技使って大興奮の場面、オタク丸出しだったなー!

 

しかし対戦してる側はそんなこと言ってる場合ではなさそうです。畦道は競技始めて半年も経ってないし、その上合宿からの短期間で新技出して来たらそりゃ脅威だよなあ。でも神畑の離脱がなければ君嶋はもっと違う戦いかたができたのかなと考えてしまいます。

何度か書いていますが、最初王城部長にもお客さん扱いされてた畦道が楽しさだけではない勝負の世界を知っていく過程がとても好きなんですね。だから合宿で八代に指摘されて受け身の姿勢から能動的に学ぶようになった場面も好きで。

そんな人の本性引きずり出すくらいに対等に戦えてる状況はうれしいだろうな。闘志の方向が「どうだ!」ってオラついたものではなくて「やっと見してくれましたね」っていうのが畦道らしくていいなあ。

 

真逆の試合展開になったらしい描写がされてるだけにサブタイトルの「正々堂々」が気になります。キリキリするような理由がありそうで…

 

第232話(後編)

 「正々堂々」はそのままの意味だったんですね。そこに導いた畦道の気質も八代との関係も、それぞれは素敵なのに結果だけが皮肉でつらい。英峰三年生にとっては能京との公式戦はこれで最後なんですよね。引きずらない結末になりますように…

どんな手を使ってでも、と決心したはずの君嶋があんな顔してるのにも心が締め付けられました。だろうよ…!悪いやつじゃないもんな…!だけど彼の勝ちたい気持ちを思えば軽々しく「そんなことはしなくていい」とは言えないのがまたつらい。

出血と離脱は悔やんでいるけど、頭から突っ込んでいったこと自体には畦道は後悔してないと思うんですよね。得点のためにあの場で取れる選択肢はそれしかなかったでしょうし。むしろ八代と君嶋がこんな会話してると知ったら気遣うだろうし。

それで負担が軽くなるとは言えませんが、お互いの心のフォローみたいなものがあってほしいなと思ってしまいます。でも灼カバってプレーとか行動を通じて理解しあう場面も多いですよね。いよいよ宵越のターンだけどどんなふうに描かれるんだろう。

 

第233話

 ちょっと!心配を返して!力持ち要員のフェイントもひどいのよ!
まあよく考えたら深刻な怪我でアップダウンの激しい山には行かせないか。でも癖にならないよう気を付けるんですよ…?

ブチブチッという恐ろしい音の正体がわからないと安心できなくて怖いんですよね。ユニフォームのケツが破れたとかじゃない限り。もし本当にそうなら心配料として見せてもらうしかない。

たしかにサッカーでは相対する選手のタイミングを外すプレーというのはよく見られますが、他競技でしかもぶっつけ本番でやってしまうのはやっぱりすごい。だけどそのぶん負担がかかっててもおかしくないです。フラグいっぱい立てられてたし…

現実では同じ場所の怪我が癖になって苦労する選手も多いです。ただフィクションだと作者がコントロールできるがゆえに「お手軽な悲劇」にもなりかねない扱いが難しい要素だと思います。

灼カバは安易な展開にはしない漫画なのでそこは信頼してるんですが、そのぶん扱うとなったらしっかり絡めてきそうなのも怖いんですよね…連れてきたヒロの表情も明るいし、なんでもないことを祈ります。

 

第234話(前編)

 もう全然予想がつかん…!王城部長がローナさせたってことは君嶋は結局汚い手を使わなくて済んだの?宵越、靴がなくて試合戻れないってもはや逆主人公補正では?えっ宵越さん主人公ですよね???

脚の故障じゃないとハッキリしてホッとしたけどー!んじゃ病院にいるっぽい英峰二人はどういう状況?神畑のお見舞い?

 

育ちすぎ罪の宵越、さすが不破とツーショット撮ったやつだぜ早乙女にシューズ借りるくらいはなんでもないぜなヒロ、お前は何を言っているんだ平良、なドタバタコメディがドタバタすぎるだけに君嶋の悲壮さが際立ちます。

一方で若菜に察せられてしまう君嶋の詰めの甘さに八代との年期の違いを感じて複雑に萌えてしまってすまん。八代のを仮面と言うのは失礼かもしれないけど、あっちはずっと気付かれてなかったもんな。

若菜の不安げな表情ってそういうことですよね?今のメンバーで王城を迎え撃つのに弱気になってるわけじゃないですよね。いつもと違う様子の君嶋がどういう方法で止めるつもりなのか確認したがってる、連携で止めると言って安心させてほしい、って顔に見えます。

それにしても合宿の回想場面が純粋にうれしそうで、今の状況との差が苦しくなります。君嶋が汚い手を使わなくて済むのならそれに越したことはないけど、それで負けたら負けたで、やれること全部やらずに負けたと後悔しそうでもあります。なんとかいい感じにおさまっておくれ…

 

第234話(後編)

 うわ、すごいもの背負わせるな武蔵野先生…!
敵に塩を送るような神畑の選択を裏切りと思えないのは、君嶋が勝利を届けたいあまりずっと無理して苦しんでいるからなんですよね。そこから救い出す一手になるんじゃないかと思います。

 

たしかに宵越くらい大きくて、しかもいま試合で靴が必要ない選手といったら神畑くらいしかいなかったわ…

いや納得だしすごい仕込みだとしびれたけど、星海戦での神畑離脱の経緯、それによって追い込まれた君嶋の心情、手段を選ばばないと決めても王城部長の活躍で傾く試合の流れ…の君嶋全方面限界地点で出す!?っていう。

宵越だって勝つために合理的に考えてそれしかないとしたら迷わず選択するだろうけど、それでもここで神畑の靴を履くということに何も思わないわけないでしょう。表面には出さないかもしれないけど。

自分が負けず嫌いなだけに相手の勝ちたい気持ちもよくわかるだろうし、君嶋の様子にも気付いていると思います。勝っても靴のおかげという事実は残るし、負けたら靴を受け取ったにもかかわらずという非難を受ける、どちらに転んでもきついだろうに、それでも宵越は受け取るんですね。

ただ、この巡り合わせと選択が苦いだけのもので終わらないだろうと思っています。それはこれまでの灼カバからくる信頼でもあるし、思いもよらない展開だからこそ、がんじがらめになっている君嶋を解放してくれるのではないかと感じるからです。

というか、そうなってくれ…
それからこの選択ができた神畑の心情も教えてください。人生何周目なの…