さわやかサバイバー

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プリンタニア・ニッポン 第3巻感想

Twitterで書いたプリンタニア・ニッポンの感想まとめです。

 

続きからネタバレ感想

第32

 ほぇースゲー…なんて夢の広がる設定…と思ったら、プリちゃんたちのほうがスケール大きかった。俗な想像ふくらましててごめん…
佐藤、以前よりもすあまへの理解も親愛度も深まってる…!こっちは爆笑してるだけだったというのに。

なにがどうしてなんでと戸惑ってる隙を突いてのいい話!
絵と内容のギャップがすごいよいい話!そこがいい…
願いを聞き出せて肯定できるなんて、素敵なコミュニケーションじゃないですか。プリンタニアたちを飼いだしてからいろんな人と接して経験したことが反映されてるような佐藤の変化ですね。

 

気になる設定がまたいっぱい出てる。デバイス繋いで脳内での旅行、までは「あの世界ならありそう」だったけど、彼岸接続ってなに!?死んだ人とかにも会えるとか?

圧縮ってのは二泊旅行を一晩で体験できるみたいな感じですね。うらやましいけど、圧縮しすぎると現実との折り合いがつけにくいとかあるんだろうな。
こういう今の私たちの感覚ではドキッとする価値観があたりまえに受け入れられてるの、SFの醍醐味だ。

 

海!島!砂浜!猫の監視塔?みたいなシンプルな設定だったのは旅行プランではそうなのか、現行人類が探し出せている海についての情報量がこれだけなのか、気になります。海の家でお店屋さんごっことかも楽しそうじゃない。佐藤の「いい造形」ってコメントも限界探る塩野も彼らの仕事を考えると「らしく」て好きですが。

 

かわいいとこ~!
コーヒーやパンケーキに興味津々なそらまめ!自分の身体より大きいのに相変わらずのガッツ。すあまの「おひざだめ…!」の言葉のチョイス。あの姿でもかわいく感じてくる健気さよ。

佐藤と塩野に挨拶するコンサルへの瀬田くんの態度が完全に「おかあさん!もういいでしょ!」だったのもかわいかったな~!これまでにない感じ…!

瀬田くんだけがスクール以降旅行してないのはレベルも関係してるのかな。人と深く関わらないようにしてたっぽいので、単にそういう機会を避けてたのかもしれないけど。もしそうだったら素直に楽しみと思えるような人と出会えてよかったな…

 

第33話

 壁にもたれかかってべそかいてるすあまがかわいい…なんだろう、人間の座り方と似てるから人間ぽくて新鮮なのかな。「!?」といい、今回のすあまはアクティブで表情豊かだねえ。

遠野さん、ベテランの技。あと幼稚園の先生っぽくもある。
すあま、注射後へにょってなってる時そらまめとなに話してたんだろう。

 

結局塩野の謎ムカデは移動式シャワーみたいなのがご希望だったのかな?

 

第34話

 趣味に走った発明ばっかりやってる気ままな天才のイメージあったけど、管理運用とか継続的な使用が可能かとか、そういうことも考えてたんだな塩野…突っかかってきた人の意見も取り入れらるなんて、柔軟で優秀なエンジニアだ。結構びっくりした。ごめん。

あの所長と話が合うし、頭は相当いいんですよね?それでもめちゃくちゃ高いレベルに行ってないってことは、やっぱり気ままにやってる割合も大きいとか?瀬田くんの例を見るにあえて低いレベルにとどまることが許される感じでもなさそうだし。

 

今回の開拓の人の反応からしても、プリンタニアたち、順調に世界に定着していってますね。浄化計画も含め、プリンタニアがいることが当たり前になっていっているというか。そういう生き物生み出しちゃった所長やっぱとんでもないな。ただのお騒がせな人じゃないわ…

 

かがやく笑顔のコンサルかわいい。淡々とした佐藤についてて、どうしてこんなお茶目コンサルになったのか。反動かな?塩野のしっかりコンサルとか。でも瀬田くんちは似た者同士だな。あそこお互い自分を責めるループに入り込みそうでちょっと心配なとこある。

 

第35話

 なんやかんやちゃんと考えていることもわかってきたけど、基本エンジョイしてるよね所長。

 

第36話

 ウホホーイ!またたまんねえ設定が出てきましたね「彼岸」!旅行回でもチラッと出てきたけど、行き来可能なあの世って感じなんでしょうか?ある程度社会からは切り離されて、それでも存在させ続ける意味って…うわ~想像広がる~…

所長などを見るに、あの世界の人間もある程度までの成長と老いを重ねるみたいです。瀬田くんの腕のように身体の機能を補う技術もある。それでも限界はあるのか、それとも代替わりする方が自然で健全だと考えられているのか。

じゃあアクセス可能にする理由はなんだろう。一度大きな破壊があったようだし、人間に関するデータを少しでも多く蓄積させたいんだろうか。歴史を再建している途中というか。

いやー想像を先走らせてるだけなんですが、こういうことできるのがこの作品の楽しさ…この後行われる儀式とやらに佐藤も瀬田くんも参加するから、そこで会えるかもねー的な会話からすると、今後このあたりはもっと描かれそうです。

 

出会ったばかりの瀬田君はできることが見つからなくて焦っていて、犬のように「取ってこい」はできなくても違うボールの遊びかたを見つけたすあまを通して佐藤に力づけられたんでしたね。

それが今回、向いてないことを無理にしようと迷走し、尻に突撃するすあまを佐藤が「そのままで好きだから」と受け止めてあげて、瀬田くんは得意な手芸ですあまの願いを一部叶えてあげられてる。いい関係築けていているなあ…

いまと違う自分になりたいと努力する姿勢を否定せず、それでも無理に変えなくていい、あなたがあなたでいられる範囲でやっていけばいいと、そっと支えてくれるような作品全体の空気が好きです。


いつも活発なそらまめが、すあまがアグレッシブになってる時は落ち着いてるのも面白いな。いまは走り回る時じゃない…とか思ってるのかな。瀬田くんが来てすあまが確保された途端、佐藤の足ですべり台しはじめるのも「そろそろいいか」って分かってるようでかわいい。

 

今回の感想検索したら、あっホントだ帰宅した佐藤の後ろのニュース画面に不穏なこと書いてある…「残兵の出没領域拡大」?うわあ…

 

第37話

 プリンタニア世界の彼岸、あの世というより肉体の制約がないぶんいろいろ試せる場所って感じですね。死の概念もだいぶ違うんだろうなあ。残兵に回収されるほうが私たちの死と近いのかな。そりゃ花の彼もあそこまで憔悴するはずだ…

お名前が判明した継枝さんによれば「肉の身体が保てなくなった時 記憶と意識は石に移される」そうで、回収されてしまうとそれが無理になってしまうっぽいですね。お墓なんてないだろうし、慰霊碑だけが個人を偲ぶ場所になるのかな。

普通なら私物は別の人が持っててもいいんでしょうか?花の彼、待屋さんの友人はそういったものが残らないくらいの襲われ方だったのかも。あれほど気軽に行き来できて話もできる「あの世」がある世界で、なに一つ残らないのは辛いだろうな…

正直あの世界の技術なら記憶を随時保存しておくぐらいはできそうな感じもするんですが。回収される直前までのバックアップとか。できないのは容量とか労力の問題だけの気がします。もし倫理的にダメというなら理由が気になる。

 

佐藤たちが普段暮らしている街が整然としているので、彼岸のゴチャゴチャ感は対照的で楽しい。招き猫とだるまが埋め尽くす空はちょっと悪夢みたいだけど。肉体の制約がないなら好きにやるぜ!って感じで、こんなあの世なら遊びに行きたい。

 

すあまとそらまめがわかりやすくキョロキョロしっぱなしですよね…ええーこの世界でもなにかあるのー?この前のは物理的な侵入でしたけど、彼岸のデータが破壊されたりしたらもっとエグイことになるぞ…

待屋さんみたいな人がもっと出るかもだし、待屋さん自身もまだ立ち直ってないのに心配だ。そこまでいきなり酷いことにはならないだろうけど…ならないといいな…

 

第38話

 SF怪談…?正体不明のものが一気に湧き出て、良いものか悪いものかわからないのが怖い。けど楽しい。認識外の領域で新キャラ(ではない?)にラムネ?をもらうプリたち、ヨモツヘグイ的で胸がざわついたんですが、あの人はいい人…?

ラムネ、どこかに吸い寄せられそうになってるすあまたちをむしろ引き戻してくれた様子でしたしね。

彼岸ではアバターを変えられるらしいので、なんでもできる能力の高さとか、おおらかな態度から所長かな?とも思ったのですが、佐藤さんって呼んでるから違うのかな。所長は佐藤君でしたよね。プリ愛が控えめだし。

 

世界の切れ目の向こうに人影が見える、なんて話の後に謎の場所に飛ばされて謎の人物がいたら、そりゃ警戒するでしょうよ。コンサルの態度から危険がなさそうなのはわかるとしても。うわさ→自分の身で体験って典型的ホラーの展開なんだもの。

侵入してくるのが得体の知れないもので終わるとホラーだけど、違う価値観を持った存在で、向き合うためには認識の転換が必要になる、だとSFだと思います。佐藤たちが暮らしている世界も私たちとは違うけど、さらに違うものが存在するのか、
どう見せてくれるのか、楽しみです。

 

この件、プリンタニアたちが花や種に反応することを知った残兵側の対応だとしたら怖いな。邪魔になる存在を排除するとか。うっ、嫌だ…できるだけ平和にもちもちしててほしい…

 

第39話

 瀬田くんはあれだけ心配してくれる人やプリたちがいることを自信に繋げられるといいね…それだけの関係作ったのは他でもない瀬田くんなんだから。プリたちをあそこまで心配してる優しさは間違いなく長所で、だからすあまもあんなになついているんだろうし。

すあまたちが脱出できた前例があったことも大きいんだろうけど、佐藤の冷静さがどん詰まりになってる瀬田君を落ち着かせたような気がします。最後に瀬田くん自身の言葉を思い出させるのがこれまでの積み重ねを感じられて温かい気持ちになります。塩野とはまた違うタイプの相性の良さだよね。

塩野の気遣いも適切なんだけど、なんていうかダイレクトアタックすぎる。

 

「ぷる…」「美味しい物が沢山食べられます」「挙手」のコマ、すべてがかわいい…過去の苦い経験にふるえるすあま、思案顔のそらまめ、したたかな遠野さん、即行動のそらまめ、ひしって感じで抱き着くすあま、上目遣いの佐藤…

 

第40話

 プリンタニアたちのことだけでも大変だけど、一気におおごとに!怪談から怪獣映画みたいになってる!でもさっそく対策が打てるのは頼もしいところで、しかも佐藤の職業が役立つ展開はうれしい予想外でした。地形設計で独立した安全な領域を作れるということ?

 

塩野は頭がいいので才能がどんどん買われていくのは納得でした。一方、佐藤はあくまで「巻き込まれる一般人」の立場だと思っていたんですよ。あの世界を維持する面々と個人的な交流はあっても中枢部分には関わらないんじゃないかと。

回顧祭の仕事もお祭りの景品づくりみたいなものでしたしね。そのちょっと離れてる距離感が淡々とした作品の雰囲気とも佐藤の性格とも合っていたし、このまま行くのかなと思ってました。

作品の中では当たり前とされていることを断片から読み取り想像していくスタイルも
謎解きみたいでじゅうぶん面白いんですが、佐藤が中枢に関わっていくとなればあの世界でなにが起こったのか、はっきり描かれる可能性があるのかも。

プリンタニアたちと過ごして交流が広がっていくにつれ佐藤にも結構変化がありましたもんね。佐藤が積極的に世界や人々に関わっていこうとするにつれ、世界の姿があらわになっていくようなリンクを感じてドキドキします。

 

しかし、さらっと明かされる「プリンタニア意識が戻らなくても理論上はいつまででも生きます」もやべーですね…本当になんて生き物を作ったの所長。これを原行人類には手を加えるのはご法度だけど、人類が作った生き物だからまあOKとする猫の基準もなかなかにこう…よきに計らえみたいな…

「残兵の生体機構が再発生」もやべーですし、やべーが同時進行じゃないですか。清潔安全な管理社会が実は薄氷を踏むが如しだったという展開は…まあ正直大好きですね!登場人物たちは大変だけど、危機で見えてくるものがとても楽しみです。ごめんよ…!

 

第41話

 そうか、バーチャル世界だから物理的に隔離することはできないんだ。現実的でないことができる空間という認識だったけど、現実の上に成り立ってること忘れてました。なんだかその隙から私の意識にも「黒いの」に侵入されたような怖さ。

とはいえバーチャル空間なので遠野さんが捕まってもあんまり危機感がないのが不思議でおかしい。「先帰りますね」って。
目から入ってくる情報と実際に起こってることのギャップが面白くもあり怖くもありだなー、とのんきに読んでたら瀬田くん瀬田くん!

一旦は佐藤に説得されたけど、まだあんな不安定になるくらい気にしてたのか…虚に入った瀬田くんに何かあったら周囲に心配かけるし、結果的にまたそれで自分を責めることになるのは普段の彼ならわかりそうなのに。

他人や他プリを気遣えるやさしさは間違いなく長所なので、そのやさしさを自分にも向けてあげて…

 

ローブの人、佐藤たちと服装の世界観が違いますよね。ハリスモデルに近いといえば近いのかな?終始余裕の態度もあって隠者感があるけど、どういう立場なのか全然予想つかないな。お口の形がかわいいことしかわからない。

 

第42話

 佐藤、頼りがいある…!
前からやるべきことは迷いなくやるタイプだったけど、周囲の人のことも自然と「自分のやるべきこと」の範囲に入るようになってる変化がうれしい。

淡々とした態度はあいかわらずでも柔軟性とか粘りが見えるようになりましたね。向井さん案件は遠野さんに丸投げするしたたかさまで身に付けちゃって。

 

もみもみしてるすあまともみもみされてるそらまめが両方かわいい…ふだんすあまが振り回されること多いのに、そらまめのほうがアワワワワってなってるのめずらしい。

 

「文句を言うのはかつての解放主義者」こういうのが会話の中でサラッと出てくるのたまんない。管理社会に不満を持つ層はやっぱり一定数いたんだという納得とともに、いまはいないんだという、うすら寒さを感じます。

以前佐藤が受けいていた精神テストでは自分を抑えてまで状況に馴染むことをよしとしていなかったので、猫たちが解放主義者を抑え込んだとは考えにくいのですが、だとしたら人間側が慣れてしまったということなのかな。双方の歩み寄りが進んだと楽観的に考えることもできるけど。

 

向井さんの普段の様子が見られたのはうれしかったんですが、「生体所持無し」にちょっとウッとなりましたね…無しって報告するってことは当然有る場合があるということで…出会った頃にも活動の様子が描かれたことありましたが、やっぱりハードそう。

まだああやって個別に残兵や汚染の対応するしかないんだとしたら、この星の人間ってまだ弱い存在なんだなと思いました。猫たちが残兵ぶっつぶす!みたいな強攻方針取るとは思えませんが、しないんじゃなくてできない状況なのかもしれない。

 

油断できない状況だけどチームでミッション(きっと塩野も入るだろうし)はちょっとワクワクします!

 

第43話

 現実世界よりも精神状態の影響が大きく「自分をしっかり保って」と忠告されるようなバーチャル空間内で瀬田くんが義腕になった自分を選択したことが沁みますね…これまでを経た、いまの自分自身を受け入れる第一歩を踏み出せたんだな。

遠野さんや佐藤の言葉もジーンとしたんですけど、瀬田くん自身がそれを認められなければ始まらないですからね。できないことだけじゃなく、できることがあるという方向に目を向けられるようになったのは本当によかった。

ここで瀬田くん大好き個体のプリンタニアが出てくるのも、あの子が彼にとって大事な存在だと示されてるようでうれしかったです。

 

それらのいい話の背後にムキムキのむきまがいるので頼もしく気が散ることこの上ない。ビッグそらまめとセットで擬音が全部重低音になってるのずるいよ。

もなかのかわいさはなにごとですか…!どんな姿になってもかわいいな!ネコちゃん風になってメレンゲとなかよしきょうだい感が増してほほえましい。

 

第44話

 残兵って怖いばかりの印象だったけど、今回読んだら守るべき対象を失っても探し続けている切なさを感じてしまったな…

暴走はしてるんだろうけど、もういない人々を探して作り続けられ、動き続けているのは哀れだ。やろうとしているのはあくまで「回収」なんですもんね。彼岸で流れる音声からすると回収して守りたいんだとわかります。いまはそれが傷つけることになっているんだけど。

向井さんが同じ場所でハリスの幻を見るというのがまた意味深で。ハリスもまた旧人類を守ろうとして守れなかった存在なのかな…守れなかった結果、かたや暴走し、かたや眠りにつくほどの使命を与えてしまったという事実も重い…

 

それはそれとしてハードSF要素に大興奮ですよ。
彼岸は肉体の寿命が来た人が意識を移す場所→
旧人類の抜け殻と呼ばれるものがそこにある→
旧人類は少なくとも肉体は存在していない、と読めます。

いまの人類をわざわざ「現行人類」って呼びかたがしてるから予想はしてましたが!やっぱり一度途絶えてたのか―!他の星に移住してる可能性もなくはないけど、時折出てくる過去の破壊の規模を見ればそうではなさそう。

たぶんですが、猫に管理されながら協力して復興していくシステムを大きく変える流れにはならないと思うんです。これまでの雰囲気からすると。なったらごめん。

それでもこの世界がどうしてこういう形になったのは興味あるし、それを知った登場人物たちにどう影響を与えるのか見てみたいです。

 

前回に続いて瀬田くんの前進がうれしい…彼の不安定さって事実よりも自分の不安でいっぱいになってしまうところからきてたけど、今回はすあまという自分以外の存在の反応を冷静に判断材料にできてる。しかも、できなかったことじゃなくできることを口にしてる。

佐藤の手助けもなしで自分主体でそうできるようになってるの、うわべだけじゃなくて、芯からそう思えるようになりつつあるんですね。

 

残兵が現れたとき一瞬でかなりゴツい武器イメージ生成する向井さんにキュンとしましたが、あの手足で対抗する気まんまんのすあまにもキュンとしました。いさましいぜ。いさましいちびのもちもち。

あと私もすらりもなかに「そふ…」からの「ぎゅ」してもらいたい。とてもしてもらいたい。

 

第45話

 人の業の深さよ…なんとしても我々を存続させよ、ありようが変わったとしても寄り添い続けよ。そのためだけの存在を生み出してまで続こうとする罪深さが刺さります。おま、命ってのはなあ!他の存在のためだけにあるんじゃねえんだよ!この世界の猫は機械っぽいけど!

こんな人類のためじゃなくもっと好き勝手生きてくれよ!って思いますね人類だけど。だけどそれはプリンタニア達の存在理由を取り上げることになるのかもと思うと、眉間のシワがどんどん深くなる…

 

そんな激重展開が怪獣大決戦の絵面とともにくり広げられるもんだから…いや怪獣大決戦も深刻な状況ではあるんだけど巨大やわらか生物がモッヂンモッヂンぶつかりあってるもんだから…感情の置き所が…

 

「純度の高いもの」というのは与えられた命題の存在理由における割合の大きさを指すんでしょうか。プリンタニアなら傷ついた人に寄り添いその心と身体を守り労わろうとする役目。思いによって姿が変わる彼岸においてビッグむきまにさせてしまうほどの感情の純度。

すあまが佐藤を慕う様子をほほえましく見てたけど、あのおとなしくてやさしいすあまが身を投げ出して戦うくらいの感情をあらかじめ植え付けられてるとしたらいままで見ていたものにも苦さを感じてしまいます。

佐藤はいいやつだけど、それはまた別なんですよね。その生の最初から人を慕う生きかたが定められてるというのが問題な訳で。そらまめはわりと自由だから個体差あるのかもしれませんが。

本当にあの所長はよお…第1巻最後の話を思い返したら彼なりに人類と猫のこれまでと行く先を思っての行動だったとはわかるんだけど…新たな命を巻き込むなよ…人類だけでケツ持って生きてこうぜ。それが無理だからこうなってんのかもしんないけど(ぐるぐる)

 

当面の大きな問題は残兵かと思っていたんですが、残兵も猫もプリンタニアも人類の業を背負わされている存在としたら、それらすべてに変化が起こる展開が来るのかもしれません。これもまた身勝手な願いかもしれないけど、みんなに幸せになってほしいよ。

 

第46話

 ホラー的導入から怪獣大決戦になって最終的に遊園地ができました。???
むきま像建立に笑ったりしてたら最後プリンタニアの生誕に重めの謎が提示されたり。しかしそれを和らげてくれるのもまたプリンタニアで罪悪感と愛おしさの混じった複雑な感情が…

 

名前が判明した彼岸の管理人さん・永淵さんはプリンタニアのように人への感応力が高いものがすでにあるのを知っていて、所長が本当にゼロから設計したのか問いただす。うお、なんすかそれ。また重い…でもそういうの好き…

あの献身的な性質から残兵という可能性もあるのかな。残兵はいま、なにかが狂ってしまったか、あるいは旧人類と現行人類の違いからか、本来設定されていただろう人類を守護する使命とは反する動きをしてしまってますよね。

彼岸で聞いた声からすると本来は人類に寄り添い守る役目があったように思えます。だけどそれが叶わなくなってしまったいま、今度こそ人類とともに連れ立って行ける存在を作ろうとしたのかなと。

以前向井さんがプリンタニアについて「爪も牙もない」と言っていましたが、武器を身に付けているがゆえに現行人類を傷つける存在として生まれても即破壊を望まれる残兵と同じ道を辿らないよう、爪も牙もない生き物を設計したのかもしれないと考えてしまいます。

丸くてやわらかくてかわいくて、攻撃的なところがなく、愛されるために生まれたような生きもの。土地の浄化もできて役に立つ。弱さも庇護をうながす武器になります。存在が許される可能性がとても高い生き物だと言えると思います。

「攻撃的なところがなく」って書いちゃったんですけど、そらまめドリルはじゅうぶん威力があるよね…じゃあ全部外れかもウフフ。まあもともと勝手な想像なので!

 

仮に所長にそういう意図があったとして、猫が気付いてないとは考えにくいのですが、気付いていても許容しているんでしょうか。これも人類の選択した道だと。あるいはいまのところ人類の誠実な守護者で指導者である猫には思いもよらないやりかたなのかもしれません。思考の抜け道的な。

 

なにかしらの思惑のもとに生まれてきたとしても、プリンタニアが与えてくれ、人との間に育まれるあたたかな感情は思惑を越えて労わりあえる関係をもたらしてくれると思っています。これまでの所長の描きかたもだし、今回最後の管理人さんの軟化もそういうことの表れじゃないかと。

ガチSF要素がでてきてそれも大好きだけど、すあまと佐藤の交流はただの前座ではないし、むしろ最後のよりどころにな大事なものとして描かれている感じがホッとします。